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toyota-f1.comインタビュー
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高橋敬三が語る“F1の波及効果”、そして“勝利への方程式”
「トップチームに追いつき追い越すための重要課題、それが空力です」
ここでは、高橋敬三氏(技術コーディネーション担当ディレクター)に、ケルンのTMGで働く日本人スタッフや量産車への波及効果、そして今季への展望を伺う。
  高橋敬三プロフィール

異なる文化の中でF1に取り組む日本人スタッフたち
●F1でお仕事されている敬三さんが、F1という世界の中でどういった体験をされ、どんなことを考えていらっしゃるのかを伺いたいと思います。まず、F1は年間18~19レースを世界各国で開催していますから、当然スタッフの皆さんも世界中を転戦することになると思います。常にレースの現場でお仕事されている敬三さんの場合、たとえば転戦すること自体が大変なんじゃないかなと思うのですが、実際体験されてみていかがですか?
「でもね、僕自身がレースが好きですから、転戦すること自体を辛いと思ったことは一度もないんです。ただ当然身体面では辛いところがあるので、健康面には十分気を付けていますよ。でもトヨタF1に関わっている日本人は私だけではないですからね。トヨタ自動車の日本人がケルンには30名近く滞在していて、TMGのいろいろなセクションで働いているんです。彼らはトヨタでずっと量産車の開発をしてきた人間ですが、ドイツではそれぞれが担当のセクションで実験をしたり計算をしたり、設計をしたりしているわけです。レースの現場に行く人は少ないですけどね」

「それで彼らひとりひとりと話をしてみるとわかるんですが、やっぱり日本とヨーロッパのものの考え方の違いとか、言葉の壁とか、いろいろな障害があるんですよね。しかもこの仕事は非常にスピードを要求される独特な世界ですから、その中でいかに自分をアピールして、相手を説得して、仕事を進めていくかという部分で苦労しているわけです。もちろんみんなレースが楽しくて、とにかくレースが好きでこの仕事をやっている人たちですが、同時に厳しさというのを十分味わいながら、それでもくじけずにがんばろうということで日々仕事に取り組んでいるんですよ」

「現在駐在している人たちはみんな非常に優秀ですから、特に最初はF1という畑違いの所にやってきて戸惑いを感じたようですが、半年も経つと周囲にとけ込んで、こちらが考えていた以上の仕事を今はやってくれています。私から見ても彼らは非常に頼もしいですよ。また、F1のすべてのオペレーションにそれぞれ日本人がいるということは、私にとってもいろいろな情報が逐次上がってきて状況がつかみやすいんですね。つまり私自身にとってもありがたいですし、彼ら自身にとっても勉強になりますし、トヨタにとってもすべてのオペレーションを理解し、量産車にまたフィードバックできるというわけです」

●なるほど。すべてのオペレーションに日本人が関わっていることで当然経験や知識がどんどん蓄積されていき、それが財産になっていくわけですよね。
「その通りです」

F1から量産車へのフィードバックとは?
●ところで量産車へF1の技術がフィードバックされていく部分というのはどういったところなのでしょうか? それは具体的なエンジニアリングの部分なのでしょうか?
「短いフェーズと長いフェーズの両方を考えるといいと思います。たとえばF1で使っている素材を量産車にすぐに使えるわけではありません。いっぽうでたとえば、機械の加工の精度を上げるとか測定の精度をあげるとか、短い時間でものを作るとか、そういうノウハウや技術は今すぐにでも量産車にフィードバックできます。実際に今の段階でそれがフィードバックされつつありますしね」

●それはやはりF1という厳しい世界に足を踏み入れたことによって発見できたものなのでしょうか?
「ええ、そうです。量産車の場合、試作にも1~2カ月かけます――これは普通のやり方であれば当然のことなんです。ところがF1でそれだけの日数をかけていると、何レースも終わってしまうわけです」

●短時間で開発を進めていくという意味では、今季はすでにそれが形になっていますよね。1月8日に新車を発表しましたが、2月中旬のバルセロナ・テストでは空力を一新したTF105が登場しています。今年はこうした速いペースでどんどんクルマが進化していくと思うのですが、その中でもファンに注目してもらいたい点はどこになるでしょうか?
「やはりわれわれにとって一番の重要課題は空力です。本当にトップチームに追いつき追い越すためにも、空力はどんどんと開発を進めていかなければならないポイントですよね。現時点ですでに開発はヨーロッパラウンドのほうに移っていますが、いいものが見つかった時点で最短で投入できるレースにそのパーツを持ち込むつもりでいます。ヨーロッパラウンド向けだからヨーロッパラウンドまで待つのではなくて、間に合えばその前のバーレーンなり、あるいは第2戦のマレーシアなりにどんどん入れていくつもりです。今年は常に攻めの姿勢で、短期間でどんどんレベルアップをしていきたいなと思っています」

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