レースでは1周目にヤルノがレッドブルのクルサードと接触しリタイヤ。チームにとってはありがたくないスタートとなってしまう。
「ラルフがチームのために本当にいい走りをしてくれたので私もうれしく思っている。ただし私にとってこのレースは忘れてしまいたい一戦になってしまった」と話すヤルノ。「1周目でリタイアせざるをえないときというのは、とにかくフラストレーションがたまってしまう。私はクルサードのすぐ後ろを走っていたが、彼はかなり遅くて、ストレートでクルマを大きく横に寄せていた。そこで彼のインに飛び込んだわけだが、ターン6に進入する際には私のクルマほうが前に出ていた。ところが彼がクルマをかぶせてきて、私のクルマの後部に接触してしまった。リアサスペンションが壊れてしまい、それで私のレースは終わりだった。今回のオーストラリアではいいペースで走れていたし、かなり上位でポイントが獲得できると考えていた。今はとにかく、このところ続いていた私の不運がこれで終わりになってくれればと願っている。ヨーロッパラウンドが開幕する次のイモラでは運が変わってくれれば、とね」
いっぽうのラルフは序盤から先頭集団と共に走行を続けていた。ところが19周目に最初のピットストップを行った際にピットレーンでスピード違反を犯してしまう。このためラルフにはドライブスルー・ペナルティが課され、23周目にコースに復帰したときにはかなり順位を下げることになった。だがその後、フェラーリのミハエル・シューマッハーとトロ・ロッソのヴィタントニオ・リウッツィが相次いでアクシデントに見舞われ、2度もセーフティーカーが入る事態となる(今回は結局4度もセーフティーカーが登場した!)。そしてチームの素晴らしい戦略とラルフの積極的なドライビングのお陰で、最後は表彰台フィニッシュを達成した。
「今日の成果にはみんなとても満足している」と笑顔で話すラルフ。「1回目のピットストップではスピードリミッターのボタンを2回押してしまった。でもその後、再びセーフティーカーが入ったため、予想以上にレース順位を取り戻すことができた。今シーズンはタイヤにうまく熱を入れることができずこれまで苦しんできたが、今日はセーフティーカー・ピリオドのせいでタイヤ温度が低下してしまうと、かなりの数のライバルたちがわれわれと同じ症状を抱えていた。多くのクルマがあちこちで滑ったり、タイヤをロックさせたりしていて、どたばたの展開だったね。自分のクルマのグリップもそれほどしっかりはしていなかったが、ニック・ハイドフェルドとジェンソン・バトンがコースアウトしたときにうまく順位を上げることができた。われわれにとって今日は素晴らしい結果となったが、トップチームのレースペースについていくためには、さらに懸命に仕事を続けていく必要がある」
レースではディフェンディング・チャンピオンのフェルナンド・アロンソ(マイルドセブン・ルノーF1チーム)が今季3戦目にして早くも2勝目を達成。2位はチーム・マクラーレン・メルセデスのキミ・ライコネンとなった。3位のラルフに続いてニック・ハイドフェルド(BMWザウバーF1チーム)が4位、5位はルノーのジャンカルロ・フィジケラ、6位はBMWザウバーのジャック・ヴィルヌーヴ、7位はラッキーストライク・ホンダレーシングF1チームのルーベンス・バリチェロ(チームメートのジェンソン・バトンはゴール目前にエンジンブローでリタイヤ)
シャシー部門テクニカルディレクターのマイク・ガスコインにとって今回のラルフ表彰台は、彼自身の誕生日にちょうどいいプレゼントとなった。「今日のラルフは素晴らしい仕事を成し遂げてくれた。難しいスタートとなったが、チーム全体がいい仕事をしてくれた」と話すガスコイン。「ヤルノは予選でもレースでも運がなかった。ラルフにドライブスルー・ペナルティが課されたときは、ノーポイントで帰国することになるだろう、と思ったよ。表彰台のチャンスは完全に消えてしまったと思ったが、さまざまな状況をうまく利用したラルフの素晴らしいドライビングと、いつもながらの見事なチームワークのお陰で、そこから順位を挽回することができた。今後は、イモラからのヨーロッパラウンドに先駆けて予定されているテストに臨むことになる」
シーズン開幕から3戦連続となった“フライアウェイ”レースを終え、ラルフ・シューマッハーは7ポイントを獲得。これで彼はドライバーズ選手権で7位となった。またパナソニック・トヨタ・レーシングはコンストラクターズ選手権で6位につけている。
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