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Rd.4 Grand Prix of San Marino Keizo Takahashi report
grand prix
金・土曜日 日曜日
高橋敬三リポート:金・土曜日
2005年04月23日(土)

みなさん、こんにちは高橋敬三です。いつも公式サイトへアクセスありがとうございます。金曜日、土曜日の報告になります。

第2戦マレーシアGP、前戦バーレーンGPと、連続して表彰台に上がったことで、我々の今シーズンの実力をある程度は証明することができたと思っています。ただし、ヨーロッパラウンドの始まるサンマリノGPは、例年各チームとも大幅な改良を施してきます。そうした状況で、前戦までのポジションを維持できるか、きちんと見極めなければいけないと思っています。コンストラクターズ選手権の順位を上げることよりも、優勝することが先決です。チャンスは十分にあると思っていますので、早く頂点をものにしたいですね。

●縁石の攻略がポイント。空力パーツを一新
イモラは路面ミューの低いサーキットです。ラバーグリップの乗っていない金曜日の段階では非常にグリップが低く、タイヤのグレーニングが出やすい状況になります。今回、ミシュランはコンパウンドで5種類、ケーシングで2種類の組み合わせを用意してきました。供給を受ける各チームがそれぞれ自分のチームに合った組み合わせを指定した結果です。我々もバーレーン後のポールリカールテストでプライム、オプションともに試しましたが、かなり攻めたタイヤだ、という印象を受けています。いつもどおり、金曜日の走り込みでいかにタイヤを100%使い切るセットアップを見つけるかが重要になります。レースカーを温存したいので、サードカーを運転するリカルドの役割が大きいですね。

イモラはまた、縁石をどう攻略するかがカギになりますが、これについても対策済みです。ポールリカールで試した新しいダンパーを持ち込んでいますが、これは縁石をスムーズに乗り越えられる特性としています。イモラはカナダ、バーレーンに次いで、全レース中3番目にブレーキにきついサーキットです。温度や摩耗状況をしっかりコントロールする必要がありますね。また、ブレーキング時の車両姿勢、とくにリアの安定性を確保するのもイモラ攻略のカギ。立ち上がりのトラクション性能も重要です。

赤い小さなウイングの折り返しの湾曲がこれまでより強くなっている。  

空力はイモラの特性に合わせたチューニングというより、第2ステップに進化したととらえていだだいていいでしょう。フロントウィング、サイドポッド周り、エンジン周りの小さなウィング、ディフューザーを新しくしました。なかでも、フロントウィングはぶっつけ本番の投入です。これは本来次のスペインGPに投入するはずだったのですが、なんとか投入したいと開発部隊を鼓舞し、完成を早めてもらいました。木曜日の段階では2セット、スペアは土曜日に到着するという、まさにぎりぎりのタイミングで間に合いました。今シーズンは結果が出ていますので、ファクトリーの方も「やってやろう」という気になってくれているようです。

●天候不順の予報もあり、タイヤ選択に悩む
金曜日はいつもタイヤ選択がメインのテーマなのですが、3台とも予定されたプログラムを順調にこなしてくれました。午前中は路面のグリップが低いので、路面が出来上がるまではレギュラードライバーの走行は控え、その分リカルドに頑張ってもらいました。予定どおり、午後に入って本格的なロングランを開始。十分なデータがとれました。ですが、プライムかオプションかの選択は難しかったですね。一般的に、プライムは安定性に優れ、オプションは一発が速いのですが、一長一短があって悩ましい。日曜日に雨が降るという予報もあるので、タイヤ選択は慎重に行いました。

課題の縁石については、ドライバー3人が口をそろえて「問題ない」と言ってくれました。ただし、路面のバンプのところで車両が少し不安定になるというフィードバックがありました。その解決が予選までの課題になりますが、克服には自信を持っています。

●課題を克服。予選2回目での挽回は十分に可能
プラクティス3は路面温度が低いのと、多少汚れが残っているのとで、2台とも1回だけの走行にして、最後のプラクティス4でセットアップを確認しました。金曜日はちょっとバランスがとれていなかったのですが、最後にはバランスがとれて、バンプの特性も安定した状態で終えることができました。

雲が多くなってきた午後は、路面温度が最適な状態から少しずつ下がっていったので、条件が悪くなるのではないかと心配したのですが、最初から最後までほぼ安定したコンディションで推移しました。そんななか、ヤルノは完璧なアタックを見せてくれました。ラルフは路面温度が下がり気味だったこともあって、第1セクターで少し安全にブレーキングをしたようです。そのせいで少しタイムをロスしましたが、後半はヤルノとほぼ同じペースで走ることができました。ヤルノもラルフも前後のドライバーとのタイムが接近していますので、明日の予選2回目に向けては十分にポジションアップが可能だと思っています。

タイヤ選択は悩みましたが、やはりここは予選が大事ですから、一発のタイムが速いオプションタイヤを選びました。このタイヤを選んだときはレース中のペース悪化の度合いが心配になるのですが、そこをうまく、セットアップを施すことができましたので、予選2回目、決勝ともにいい方向に向かうと思います。

  イモラでは縁石部分の走行が課題だ。

明日の予選2回目、決勝は天気も心配なのですが、予報では午前中はドライ、午後もほとんどドライのようです。ただ、雨の可能性がなくなったわけではないので、レース中に雨がぱらついたときの対処も考えているところです。いずれにしても、1秒の中にたくさんのクルマがひしめく状態です。予選2回目の順位変動も十分あるでしょうし、レースでもかなり接近戦になる可能性があります。タイヤの摩耗やエンジンの耐久性などの状況でいろんなレースの展開が考えられますから、見ていて面白いレースになることでしょう。では、決勝後にもこの公式サイト「高橋敬三リポート」でご報告いたします。応援、よろしくお願いします。

高橋敬三プロフィール
予選1回目を前に細かな打ち合わせをする高橋敬三。