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新居章年リポート
2007年3月20日(火)いつも応援ありがとうございます。パナソニック・トヨタ・レーシング技術コーディネーション担当ディレクター(DTC)の新居章年です。いよいよ2007年が開幕しました。今年も1年間よろしくお願いします。それではさっそく、メルボルンで行われたオーストラリアGPの報告をいたしましょう。 ●最後のウインターテストでようやく方向性をつかむことができ、開幕が楽しみ ●もう少し金曜日に走り込みたかったが、セットアップの方向性は確認 開幕最初の走行でいきなりレイン。これには出鼻をくじかれた形となったが、その後のセッションではレースに向けてセットを確認することができた。
待ちに待った開幕戦でしたが、2年ぶりに開幕の舞台となったメルボルンは、予報通り朝から雨が降り、グランプリ初日となった金曜日最初のフリー走行はウエットコンディションでのスタートとなりました。今年は金曜日のフリー走行が1セッション60分間から90分間に伸びましたが、レースでは基本的に2種類のタイヤを使用しなければならなくなったので、金曜日のフリー走行で今回メルボルンに持ち込んできたブリヂストンのミディアムタイヤとソフトタイヤを履いて、それぞれの特徴をしっかり把握し、クルマをセットアップしていかなければなりません。しかし、路面が濡れていたので、午前中はウエットタイヤを履いて、インスタレーションラップ(確認走行)を行う程度にとどめました。 ●2台そろって予選トップ10入りを果たし、最低限の目標はクリア ヤルノは再び新しいヘルメットデザインを採用した。TF107のできには問題ないとしながらも、レースでは苦しい展開でポイント獲得まであと一歩。 今年最初の予選で、最低限の目標だった「2台そろってトップ10入り」が果たすことができて、正直ホッとしています。ただし、予選でご覧いただいたように、2台ともにつまらないトラブルがあり、一歩間違えば最終ピリオドまで残ることができなかったかもしれませんでしたので、その点は今後われわれが勝てるチームになるために、大いに改善していかなければなりません。リアジャッキが外れないままコースインし、リアウイングにダメージを負ったヤルノは、日曜日のレース前までにFIAに申告して新しいものに交換することになりました。 ●2台完走して1ポイント獲得。しかし、レースペースには不満
ラルフもクルマの仕上がりに不満はなかったと言っている。しかし、ニューマチック(エンジンのバルブ駆動用の空気圧)のシステムがレース終盤にトラブルにあうなど苦しみながらの8位でのフィニッシュだった。
スタート前のフォーメーションラップに出て行くとき、ヤルノのクルマから派手に白煙が上がりましたが、あれは余分なオイルが燃焼室に入って燃えてしまっただけで、テレメトリーのデータを見ても何も問題がなかったので、心配はしませんでした。ただ、スタートは予選8位のヤルノのグリッドが走行ラインではない内側だったことが影響してか、やや出遅れてしまいました。しかし、その後ポジションを取り返し、ラルフとともに2台でポイント争いをしつつ、最終的にラルフが1ポイントを獲得できたことは良かったと思います。 レース序盤と終盤に揃って周回を重ねるトヨタの2台。予選トップ10入り、決勝2台完走ポイント獲得と“最低限の目標”はクリア。これで満足することなくトヨタF1はさらに上を目指してシーズンを戦っていく。
それ自体はうまくいったのですが、ミディアム、ソフトともにレース中のペースが上がりませんでした。予選では2台そろってトップ10に入るスピードを見せたのに、レースではファステストラップでトップ10に入ることができなかったことに関しては、満足していません。ウインターテストではロングランを中心にプログラムを消化していたため、一発の速さにまだ課題が残っているものの、レースペースではもう少し上位との差を縮められると思っていただけに、残念です。これはクルマのポテンシャルが低いのではなく、われわれがまだクルマのポテンシャルを100%引き出しきれていないだけだと思っています。 開幕戦オーストラリアGPに挑む新居章年。今年最初のレースを2台そろって完走で終え、次戦マレーシアではさらに上位を狙う。 |