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Rd.7 United States Grand Prix
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アメリカGP テクニカル・プレビュー パスカル・バセロン Q+A

●カナダGPの金曜日に起こったヤルノのサスペンショントラブルについて説明してもらえますか?
「あの問題は、目で見てわかる通り、ロウアーウィッシュボーン接続部周辺の前輪右アップライトを破損させてしまった、ということだ。われわれの分析で最初に指針となったのは、あのアップライトが設計されたのがほぼ2年前のことで、2005年の末にTF105Bのサスペンションに運動学的な大きな変更を施した際に導入されたという事実だった。つまり今回の問題は基本的な設計段階での問題ではないことが明らとなったので、次にわれわれはほかのシーズンの状況と比較することになった。現状の設計のサスペンションですでに過去にもモントリオールを走っていたからね。そしてわれわれは、リアの挙動が大きく制限される状況(これは全チームのクルマが抱えている課題)に対応するため採用したセットアップのさまざまなパラメーターが絡み合い、ロウアーウィッシュボーンを固定していた部分とアップライトの間に干渉を招いていたという結論にたどり着いた。そこでわれわれは何か対応策を見つけなければならず、実際には2つの方策を施した。ひとつ目は技術的なことで、問題となっている干渉を回避できるよう、キャンバー、ライドハイト、サスペンションの動きに関するセットアップのパラメーターを見直した。そしてふたつ目として、これ以上のリスクをとりたくなかったこともあり、ドライバーのふたりにターン8のカーブの問題となっている部分を避けるよう依頼した。今回の問題はあのカーブの一番盛り上がっている部分に関連した特異な荷重の問題だったと私は考えている」

●ヤルノはラルフよりもターン8を深く切り取っていたのですか?
「そうだ。また、単にカーブを深く切り取っていたというだけではなく、あのカーブでの走行ラインの違いもこの問題につながっていたようだ」

●あのカーブの走り方を変えたことにより、ヤルノはどのくらいのラップタイムを失っていたのでしょう?
「各セクターに関するパフォーマンス解析からすると、おそらくコンマ2秒といったところだろう」

●そういった状況の中、ヤルノは10番グリッドを獲得するためどのくらいいい仕事をしていたのでしょう?
「彼は素晴らしい仕事をしてくれたが、失ったはずのコンマ2秒を勘案しても、おそらくレッドブルとルノー、ウィリアムズで構成される激戦の中団グループを抜け出すポテンシャルはなかったと思う。これは今シーズン初めての状況だった」

●ラルフの予選結果は18位でしたがこれの原因は何だったのですか?
「先週末のラルフは実際にはかなりいい流れだった。最初のフリー走行の序盤から彼のラップタイムはいいペースだったが、残念なことに予選ではアタックラップの際に4台ものクルマに引っかかってしまった。あのラップは間違いなく彼が第2セッションに進めるかどうかを決定づけるラップだったが、彼はブルツを先に行かせなければならず、その後、バリチェロとバトンとクビサに遭遇してしまった」

●おそらくは、赤旗が予選セッションをさらに慌ただしいものにしていたのではないでしょうか?
「その通りだ。赤旗のせいでセッションの最後は渋滞がひどくなってしまった」

●レースでは1ポイント獲得できたわけですが、これには驚きましたか?
「今回はとにかくどんなことでも起こり得る混沌としたレースで、そして実際にいろいろなことが起こってしまった! なによりも先に言っておきたいのは、ロバート・クビサがあれほど壮絶なアクシデントに見舞われながら比較的軽症で難を逃れたことを私もとてもうれしく思っている、ということだ。彼はあのときヤルノと競っていたわけで、ヤルノがあの状況を気にしていたことは私にもわかっていた。メディカルカーがずいぶん長い間コースに留まっていたからね。あのアクシデントの後、ヤルノはタイヤの内圧が下がったためピットインを余儀なくされ、レース終盤にもまたピットインした。その直後に彼はターン1でまっすぐ行ってしまった。彼の気持ちがどこか別のところに行っていたのは私も理解できるし、今もチーム全体がロバートのことを気遣っている。ラルフは第1スティントを長めにするため燃料を多く搭載していた。そのためレース序盤は渋滞に捕まることになってしまったが、前が開けた状況になるとそれなりにコンペティティブな走りができていた。その結果が1ポイントとなって報われたわけだ」

●インディアナポリスに話題を移しますが、セットアップの面でどれくらい妥協を強いられるのでしょう?
「インディアナポリスはふたつのサーキットがひとつになったコースと言われている。オーバルコースの外周に、モナコのようなインフィールドが組み合わさった形になっているからね。空力の面ではふたつの点で大きな妥協が必要になる。たいていの場合、いろいろと異なるウィングの設定値をシミュレーションしたところでその結果はかなり似通った数値になる。つまり、ラップタイムに関しては、ダウンフォースの強弱にかかわらずほぼ同じようなパフォーマンスを達成できるわけだ。そのためインディアナポリスは、理論上、ダウンフォースレベルが大きく異なっていても問題なく走れるコースということになる。だがレースではもうひとつ別の要素を考慮しなければならない。つまり、他車を追い越し、自分は追い越されないようにしなければならないということだ。あのコースの場合、追い越しのチャンスがあるのは間違いないからね。バンクから長いメインストレートが続き、そのストレートのぎりぎり最後の1コーナーが追い越しに絶好の場所になる」

●つまり、予選ではレースよりもダウンフォースを強めにするかもしれない、ということですか?
「予選とレースの間に(手を加えることが)許されている調整の範囲をうまく利用しなければならないわけだが、例年、インディアナポリスは低ダウンフォースのセッティングでスタートする最初のレースになる。モントリオールは中~低ダウンフォースだったが、インディアナポリスは間違いなく低ダウンフォースのコースだ」

●他に何か考慮すべき要素はありますか?
「特にこれといった要素はないはずだ。ブレーキについて問題は皆無だ。バンクから長いストレートが続くためブレーキを冷やす時間は十分にあるからね。アクセルの全開時間は約23秒にも及ぶ」

●タイヤの問題はすでに過去のものとなったのでしょうか?
「そうだね。現在はあのときとは構造が異なるタイヤを使用しているし、この点についてはもはや誰も考えてすらいないと言っていいだろう」

●インディアナポリスの規模とその歴史に関して、何か感じるものはありますか?
「正直に言えば特にない。もちろんあそこに素晴らしいレースの伝統があるのは知っているし、インディ博物館やもろもろのこともね。だが問題なのは、レースがモントリオールの後すぐに行われることだ。チームのスタッフにとって海外での2週連続開催は、求められるものが多すぎて、自分たちの身の回りの物事だけですでに手がいっぱいになっているんだよ!」