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Rd.9 Grand Prix of Great Britain
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イギリスGP テクニカル・プレビュー パスカル・バセロン Q+A

●フランスGPはフラストレーションを感じるレースだったのでは?
「その通りだ。2台そろってポイントを獲得できる速さがわれわれにあったのは明らかだったからね。ヤルノのレースは1周目にコバライネンと接触した時点で終わってしまったが、8番グリッドからのスタートだっただけに彼はトップ6を狙えていたはずだと私は思う。ラルフは1周目にコバライネンのクルマを避けようとした際に2台に追い越されてしまい、運がなかった。その後、遅いクルマにひっかかってしまったが、それを抜くことができず、そのせいで約20秒失った。1回目のピットストップで前に出た後、彼のペースはポイントが獲れるくらい良好だったが、その時点までにすでに大きくタイムロスしており、とにかくフラストレーションがたまったよ」

●マニクールで使用した標準仕様の空力パッケージについて、どのように評価していますか?
「フランスでは標準仕様と呼んでいるパッケージに戻った。これはモナコGPからアメリカGPまで続いたそのレース専用の特殊なパッケージと異なり、これからのほとんどのレースで使用していくパッケージだ。フランスのレースでのラルフの速さを見ると、各スティントでは平均して競争力の高いラップタイムを刻めることがわかる。マニクールの場合、予選で各車があまりにも接近し、100分の1秒が大きく結果に影響するため、パッケージの善し悪しについて正確な判断は難しく、レースでの走りがどうなるのかを待たなければならなかった。予選では10分の1秒の違いが2~3つもの順位に影響するわけで、平凡な結果なのにいい結果に見えてしまうこともある。そのためレース結果からのほうがもっと正確な統計データを得ることができるわけだ」

●シルバーストーンではフランスGPと同じ空力パッケージを使用するのですか?
「数値的には同じような領域で戦うことになるだろう。シルバーストーンとマニクールを比較すると、空力パッケージに求められる要素は非常に似通っているが、完全に同じというわけではない。2種連続開催ということで、なにかクルマに手を加える時間はないし、そのため今週末は新パーツを投入する予定もない」

●2週間前のシルバーストーンテストはいかがでしたか?
「アップグレードしたパッケージのいくつかの要素をチェックしたほか、コーナリングスピードが速いああしたタイプのコース用にセットアップ作業を進めた。テストはかなりうまく進んだし、何度か最速ラップも記録した。また通常の走行プランをこなしている間も最終的にかなり上位につけることができた。ドライバーはふたりとも高速時に非常に安定していて、パフォーマンスも良好だと感じていた」

●シルバーストーンではダウンフォースのレベルはどの程度が最適なのでしょう?
「シルバーストーンには高速コーナーが多く、平均速度もかなり速い。その意味では幾分スパ・フランコルシャンにすこし似ている部分もある。スパでは高速コーナーが非常に重要だが、平均速度がとにかく速いため、ダウンフォースは低めのセットアップにする。同じようにシルバーストーンのいくつかの高速コーナーを速く走るには大きなダウンフォースが必要になるが、いっぽうでは平均速度が速いため大きなドラッグはマイナス要因になる。そこで妥協が必要になるわけだが、ただしシミュレーションはそれほど困難ではないし、テストを終えた今はシルバーストーンでダウンフォースとドラッグの比率をどのくらいにすべきかはかなりよくわかっている」

●シルバーストーンでは風もひとつの要因になりますか?
「非常に大きな影響がある。クルマというのは路面に安定して車体を押し付けておくために風を利用しているため、周辺の大気が動けばそれが(クルマの挙動に)大きな変化を及ぼすことになる。ドライバーは、特に風向きについて何か変化が起これば、それを詳細に説明することができるものなんだ。向かい風のときは空気とクルマの相対速度が上がるため、ダウンフォースをさらに稼ぐことができ、パフォーマンスが向上する。追い風のときはストレートではいいが、ブレーキングやコーナーではかなり悪い方向に働いてしまう」

●雨への対策はしていますか?
「シルバーストーンではほかの多くのサーキットと異なり、ずっと雨が降り続く状況もあり得る。これはスパの場合も同じだ。夏場のほかのサーキットで雨が降る場合、にわか雨の後すぐにコースが乾くのが普通だ。レースの日に雨が降るケースとして、統計的にもこのパターンが一番多い。だがシルバーストーンでは、ずっとウェットのコンディションが続くこともあるため、レースマネージメントの観点からすると通常とはまったく違う問題を抱えることになる」

●コースによってはウェット用のセットアップをいつもより重視することもあるのですか?
「ウェット用セットアップについて説明するのは非常に難しいね。というのも、クルマのセットアップを決めるのは予選の直前だからだ。つまり、ウェット用セットアップを選択するのなら、気象予報の精度に十分な自信を持っていなければならない。たとえば2005年のスパのように、日曜日に雨が降ると確信できる状況も過去にはあった。その際は、ウェット用セットアップに集中することができた。だが通常はウェットを心配してドライ用セットアップを犠牲にすることはない。2005年のスパのときのようにウェット用セットアップをうまく使える例はまれだからね。基本的に大切なのはダウンフォースの配分とタイヤの内圧だ。雨対策としてセットアップを進める場合、このふたつの要素をあれこれ試すことになる」