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Rd.15 Grand Prix of Japan
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日本GP テクニカル・プレビュー パスカル・バセロン Q+A

●富士スピードウェイを説明するとしたらどんな言葉になるでしょう?
「富士スピードウェイはまさに最高レベルのコースだ。レイアウトそのものは元々のコースの特徴を維持しているので、F1を念頭に置いて新たに建設されたサーキットのいくつかと似たような感じではない。富士スピードウェイには長いストレートと低速のインフィールド区間がある。非常に高速なセクターに続いて低速区間が来るため、クルマのセットアップに関しては異なる方向性が求められるが、当然、この点に関しては妥協せざるを得ない。このサーキットでテスト走行したチームは皆無なのでレースの週末には難しい状況が予想されるが、とにかくわれわれはシミュレーションをしっかりやるしかない。コース周回時の速度の変化について言うと、スタート/フィニッシュラインがある高速のストレートに続いて低速で曲がりくねったインフィールド区間が続くため、インディアナポリスのレイアウトに似ているとも言える。ただしインディアナポリスと比較できるのはその程度までで、それ以外のコースの細かな部分は異なっている」

●インディアナポリスの時のように、予選ではダウンフォースを最大にして、レースではダウンフォースを弱めにすることになるのでしょうか?
「その点については最善の妥協点を見出すために現在検討中だが、ただし、間違いなく低ダウンフォースのセッティングにはならないだろうね。そうしてしまうと高速コーナーでタイムを大きく失うことになるし、低速のインフィールド区間でもそうだ。だから恐らく中程度、あるいは中~高程度のダウンフォースになると思う」

●富士スピードウェイはレース向けのいいコースですか?
「それは間違いない。長いストレートとタイトな1コーナーがあるので、追い越しも何度か目にできるはずだ」

●最終コーナーで前を走るクルマのすぐ後ろにくっつくのは難しいでしょうか?
「(前のクルマの)スリップストリームに入ってストレートの最後で追い越すためには、最終コーナーの立ち上がりで前のクルマとのギャップを縮めておくことが鍵になる。ストレートの直前、第3セクター終りにある非常に低速なターン13とターン16では空流の乱れが最小限に抑えられ、それによって後ろを走る速いクルマは直線で前を走るクルマにかなり接近してアタックすることができる」

●パナソニック・トヨタ・レーシングのクルマには何か大きなアップデートが施されるのでしょうか?
「今回がシーズン最後の大掛かりなアップデートになる。アップデートされる空力パーツはかなり多いよ」

●富士スピードウェイはトヨタのホームコースですが、レースの準備に関して何かチームにアドバンテージはあるのでしょうか?
「いや、それはない。他チームが持っていないものを持っているわけじゃないからね。もちろん日本のファンとトヨタの同僚の声援を受けて心理的な面で勢いが生まれることは確かだが、技術的な面では何もない。一方で他の全てのチームと同じように、われわれはシミュレーションに必要な詳細なデータを持っている。たとえばレイアウト、高低差、コースの特徴などに関してね。すでにレースの週末でクルマに施すセットアップの幅についても予測はできている」

●多くのF1にとって1976年の富士スピードウェイでの一戦は、土砂降りの雨の中、ニキ・ラウダがレースを途中で棄権し、それによってジェイムズ・ハントがタイトルを手にしたレースとして記憶されています。何か思い出はありますか?
「その顛末については私も覚えている。それからウェットコンディションの中、あのレースで素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた星野一義選手の走りも記憶に残っている。彼は一時3位にまで順位を上げていたね。彼の走りは雨の中でも素晴らしかった。彼のことは1990年代のスーパーツーリングやGTカーのレースで知った。彼がその実力の片鱗を見せてくれた1976年のレースの話は、何度も耳にしたよ」

●あなたは、あのコースでの経験も豊富なのですか?
「私はこれまで富士スピードウェイを10回以上訪れている。初めて行ったのは1994年だったと思う。その後、ツーリングカーやGTカーのレースのため、1年に1~2度通うようになった。コースの周辺地域についてはかなりよく知っているし、雲がかかっていない富士山も何度か見たことがある。実はこれは特別なことなんだ!」

●“特別”なのですか?
「そう、なぜなら何度足を運んだところで一度も富士山の頂上を見れないことだってあるからね。高度差が非常に大きいため、ほとんどの場合、頂上は雲に隠れているんだ。だからそこに山の頂があることはわかっているのに、実際に見ることはできない。F1が富士スピードウェイを訪れるときもそうなってしまう可能性があるが、私としてはそうならないことを願っている。あれを目にできるというのは、本当に特別な体験だからね」