中国GP
テクニカル・プレビュー
パスカル・バセロン Q+A
●上海サーキットのレースに向けて準備を進める際、一番気をつけるべきことは何でしょう?
「2004年以降、上海サーキットを何度も訪れているが、その経験から言えるのは、あの路面ではかなり大きなアンダーステアが生じるということだ。その結果、左フロントタイヤの摩耗が激しくなる。つまり、あのサーキットではとにかくタイヤの摩耗をうまくコントロールすることが課題となるわけだ。今シーズンはブリヂストンの4種類のタイヤのうち、耐摩耗性がかなり高い硬い方の2種類を使用することになっている。その意味では昨年までよりも負担が軽い週末になるだろう。このタイヤであれば、摩耗の問題に対応するのも比較的容易になるはずだからね」
●なぜ上海ではそういった問題が起こるのですか?
「あのサーキットの非常にスムーズなアスファルト路面に合わせてグリップが最適なタイヤを選ぶと、耐摩耗性が十分でなくなり、その結果ひどいアンダーステアを抱えることになる。というのも、あそこには左フロントに大きな負荷がかかる長いコーナーが2つあるからね」
●コースレイアウトについて他に考慮しておくべきことはありますか?
「上海サーキットのレイアウトは非常に特殊で、クルマのセットアップに関していろいろと興味深い影響がある。上海サーキットには2つの長いストレートがあり、そのうちバックストレートは特に長い。ただし非常に長い右カーブのターン13のことを考えると、クルマのバランスに関していろいろと面白い状況が生じる。ターン13がある最終セクターはほとんどが直線で構成されており、比較的ダウンフォースを強くした場合でも、スピードはそれなりに稼ぐことができるし、かなり良好なセクタータイムを出すこともできる。とにかく重要なのはこの長いコーナーでいかにバランスを取るかという点で、また、それが直線の平均速度を左右することにもなる。この点をどうするかはタイヤの摩耗がどんな状況になるのか次第だが、それでも今年の上海では恐らくハイダウンフォース仕様の方向でセットアップを進めていけると思う」
●それ以外の要素についてはいかがですか? たとえばブレーキに厳しいサーキットなのでしょうか?
「ブレーキの摩耗やエンジンに対する負荷など、その他の要素に関する限り、上海サーキットは平均的なレベルと言えるだろう」
●レース向きのいいコースと言えるでしょうか?
「とにかくレイアウトが特殊で他に例がないような形になっている。あのサーキットの場合、そのこと自体が興味深いと言えるだろう。ただし追い越しはそれほど容易ではない。これといって大きな追い越しのチャンスになるような場所がないしね。恐らくバックストレートの終わりのターン14に入っていくブレーキングでそのチャンスがあるかもしれないが、ただしターン13で前のクルマの後ろにくっついたまま走るのはかなり困難だ。そのためドライバーが実際に追い越しを仕掛けるにはかなり難しい仕事をこなさなければならなくなる」
●富士スピードウェイでのレースからこれだけの短いインタバールで中国GPを迎えるわけですが、何かロジスティックの面で問題はないのでしょうか?
「初めて上海サーキットを訪れた時は誰もがロジスティックについて不安を感じていたと思う。だが結果的に全員が準備段階で本当いい仕事をし、そして全てがスムーズに進んでくれた。日本から直行する場合でも、いつも以上に心配しなければならない問題は一つもない」
●恐らく中国GPで走るクルマは富士スピードウェイを走ったクルマと同じスペックですよね?
「そう。実質的に日本GPのパッケージを続けて使うことになる。ブラジルGPに向けて1~2カ所の細かな空力アップデートはあるが、基本的にシーズン残りのレースは同じパッケージで戦う。日本GPでは、天候の影響もあり、我々が準備した富士スピードウェイ用のパッケージを検証することが難しかったが、テスト結果からは一歩前進していることがわかっている。我々としては中国GPでその成果をお見せできることを願っている。また、いつもと同じく、我々は上位フィニッシュできるはずだと考えている」