ブラジルGP
テクニカル・プレビュー
パスカル・バセロン Q+A
●インテルラゴスの特徴を教えてください。
「今回のサーキットはサスペンションのセッティングが非常に重要になるという点で、他にはない独特なコースと言える。通常、F1カーのパフォーマンスを大きく左右する要素は空力とタイヤの使い方だ。インテルラゴスの場合、タイヤの使い方が重要なのは同じだが、コースにバンプ(盛り上がっている部分)が多いため、当然サスペンションのセッティングがパフォーマンスを左右する大きな要素になる。とにかくタイヤをしっかり路面に接地させ続ける方法を見つけなければならないし、それゆえ他のサーキットでは後回しになるセットアップの様々な要素が、ブラジルでは重要な鍵になる」
●毎年コースの地形が変化していますが、それによってバンプの特徴も変わるのでしょうか?
「変わる可能性もあるが、1周全体に渡って各所に満遍なくあるバンプに対処しなければならいことはわかっているからね。特に難しいバンプは高速左カーブのターン11にあるバンプだ。あの場所での走行スピードを考えると、あのバンプは他よりも問題が大きいと言える」
●特に今年のレースに関して、それ以外に何か考慮すべき要素はありますか?
「2007年のサンパウロでのレースに向けて、一つ興味深い要素と言えるのがタイヤの選択だ。ブリヂストンが我々に提示してきたのは、モナコで使用したのと同じ一番ソフトな方の2種類のタイヤだ。だがタイヤへの負荷を考えると、インテルラゴスはモナコよりも遥かに条件が厳しい。このためタイヤのマネージメントは今週末の難題のひとつとなるはずだ。また、特に一番柔らかい方のタイヤにとって、今回のコースはかなりキツいだろう。一番柔らかいタイヤは実際のところレースには向かないと考えている。予選では問題ないだろうが、レースで長持ちさせることが困難なのは間違いない」
●長い昇り坂のストレートは何か影響がありますか?
「あのストレートを考慮した場合、ダウンフォースを軽めにしたくなるかもしれないが、実際の所、それは無理だ。特にトラクションで苦しんでいる場合はね。インテルラゴスは横方向の力とトラクションという2つの要素が強く作用するため、考慮すべき要素が色々とある。このため、例えばもしタイヤの摩耗が進むようであれば、ダウンフォースを強めにしなければならない。従って、大抵の場合、当初想定していたよりも強めのダウンフォースレベルで走ることになる」
●ターン1は絶好の追い越し場所ですよね?
「過去のレースを見れば、あそこが追い越し場所の一つであることがわかる。2001年にあそこでファン‐パブロ・モントーヤが見せたミハエル・シューマッハーの追い越しシーンは誰もがよく覚えていると思う。あそこで追い越しは可能だが、ただしそのためには自分のクルマに十分なトップスピードがなければならないし、追い越しの際のドライビングも決して簡単なものではない」
●ブラジルでの仕事環境はいかがですか?
「サーキットの施設は素晴らしいというわけではない。我々にとって一番厳しいのは、使えるスペースが限られているということだ。スペースに十分な余裕がないため、スペアパーツの数量など、インテルラゴスに持っていく機材に関してはかなりよく考えておかなければならない。その点では少しモナコに似ているね。レースの場所に応じて、時としてそういったマイナス面も受け入れなければならない」
●ブラジルで何か特別な気持ちになることはありますか?
「過去約30年の間に本当に数多くのブラジル人ドライバーが出現し、フィッティパルディやピケやセナが何度もタイトルを獲得している。ブラジルはモータースポーツへの関心がとても高い国だ。実際、ブラジルには他のどんな場所よりも数多くのファンがいるように感じるため、我々もあそこを訪れるのが楽しいんだ。彼らには本物の情熱があるからね。ブラジル人にとってモータースポーツはサッカーと並んで重要な意味を持つ。ピットガレージの真正面にあるあの巨大なグランドスタンドにはすごい数の観客が集まるため、ブラジル人ドライバーの走りには否が応でも気づくことになる」