バーレーンGP
テクニカルインサイト
パスカル・バセロン Q+A
●オーストラリアGPではティモのアクシデントがありましたが、あれは5日後のセパンで何か技術的な問題につながったでしょうか?
「ティモのシャシーはケルンで修復中だが、損傷はわずかしかなく、またそのほとんどが表面的なものだった。負荷のほとんどはサスペンションの各パーツが吸収したからね。サスペンションへの負荷はかなり大きかったが、シャシーそのものは間もなくコースに戻れるだろう。マレーシアでのレースに向けて、我々は別のシャシーを空輸した」
●セパンでの速さから察すると、残りのシーズンもかなりいけそうでしょうか?
「現実がどうなのかはいずれ統計が教えてくれるだろう。だが最も満足できたのは、マレーシアでの我々の競争力が、バルセロナで行った冬の最後のテストの時とぴったり同じレベルだったことだ。一方のメルボルンではそれをやや下回っていた。メルボルンではパフォーマンスに関してちょっと通常とは異なる結果になることが分かっている。その後のシーズンで再現されないようなおかしなことがメルボルンでは起こるんだ。だからメルボルンの後、余りにも多くの結論を下してしまわないよう、気をつける必要があった。オーストラリアでの我々も悪くはなかったが、マレーシアでの我々ほど速くなかったのも確かだ」
●予選ではティモが2戦連続でトップ10入りしました。いい滑り出しと言えますよね?
「予選に関してはこれ以上は望めないほどいい結果だった。彼はF1でまったくの新人というわけではないが、2004年にジョーダンで走ったのはかなり昔のことになる。彼は求められている時にしっかり速いラップで走れることを示してくれた。ドライバーに求めているのはまさにそういったことだ。あれほど厳しい集団の中にいながら、2戦連続で予選第3セッションに進出できたのは、とてもいい戦績と言えたね」
●今回もティモは「タイヤの性能を最大限に引き出そうとしたが、問題を抱えていた」、と言っていました。
「今シーズンはあらゆるチームからそういった声が数多く聞こえてくるし、それが収まりそうな気配もない。最適な性能を発揮できる範囲にタイヤのパフォーマンスを持っていくのが難しい、というのは全体的に言われていることだ。また、今シーズンのトラクションコントロールの禁止によってこの問題が顕著になっているのも確かだ」
●ティモによれば、土曜日の午前中は柔らかいオプションタイヤを上手く使えていたものの、予選ではプライムタイヤに苦しんだということです。これはなぜなのですか?
「走行時の状況に対し、プライムが硬すぎたため扱いがやや難しくなる、というのは極めて論理的なことだ。摩耗を上手くコントロールできていても、グリップの低下は瞬時に明らかになる。適切な性能幅の中でタイヤを使い続けるのは難しいことだ。従って2種類のタイヤについてティモが感じたことは理にかなっている。オプションタイヤはセパンの状況にぴったり適合していたため、本来の性能幅の中で上手く使うことができたし、それを維持するのもプライムより容易だった。プライムはオプションほど良くはなかったものの、1周目に対処が必要となるグリップ不足を除けば、他に目立つ問題はなかった。残念ながらティモは1周目にニコ・ロズベルグと接触し、サスペンションが壊れてしまったため、それを実感する機会を手にできなかった」
●次戦はバーレーンです。現地でシーズン前にテストした際、TF108のパフォーマンスには満足していたでしょうか?
「バーレーンでの冬期テストに関してはとても満足しているが、理由はいくつかある。まず我々がバーレーンでテストした理由は、良好な天候が保証されていたことだ。極度に暑くはならなかったものの、気温がそれなりに上がり、我々にとってはいい準備ができた。またコース自体が、トラクションが必要になる低速コーナーと幾つかの高速コーナーの組み合わせという、面白いレイアウトになっており、それぞれ(のコーナーで)求められる要素をパッケージ全体に反映させて、上手く開発を進めることができた。セットアップをコース状況に合わせていくという点で、2008年の開発の第一歩を刻むことができた場所がバーレーンだった。現地でテストをしたお陰で、バーレーンGPではいいレベルから週末を始められるだろうから、かなりいいレースができると考えている」
●バーレーンでは砂埃が一つの要因になりますよね?
「2004年に初めてバーレーンがF1カレンダーに加わった時は、陽射しと砂埃が大きな不安要素となり、恐らくほとんどのチームがフィルターやその他の面でかなりの準備をしたはずだ。タイヤがかなり汚れることを予想していたが、これは大きな問題ではないと私は思う。2月にバーレーンへ行った時は、半日もすればコースが問題ない状態になった。従って、砂や埃がそれほど大きな問題になるとは言えないね。ただし、言うまでもないが、風が強くなれば状況は悪化する」
●ブレーキに厳しいコースですが、この点に関して問題が生じる可能性はあるでしょうか?
「その点も最早驚きにはならないだろう。バーレーンはブレーキに厳しいコースだが、これについては通常全チームが問題なく対処できている。シミュレーションを行い、負荷のレベルを理解できているからね。シミュレーションをすれば、ブレーキング時に生じるエネルギーがF1のサーキットの中で3~4番目だということがすぐに分かる。バーレーンはF1カレンダーの中で一番厳しいわけではない。モントリオール(カナダ)が一歩抜き出ている。ただし、冷却と(ブレーキパッド等の)摩耗には注意しなければならない」