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中山選手に聞く。サーキットの極意。 #05 レーシングドライバー 中山雄一 編

中山選手に聞く。
サーキットの極意。

#05

レーシングドライバー
中山 雄一 編

モータースポーツの楽しみ方は人それぞれ。でもせっかくだからレースの楽しみ方も知っておきたい。そこで若手の中でも注目されるレーシングドライバー、中山雄一選手にあれこれ聞いてみた。サーキットとレースのこをと知り尽くした中山選手による、女子でも楽しめるサーキット観戦の“極意”とは?

サーキットを訪れ、まずは五感で楽しむ。
そして“推しメン”を見つけて、レースに通おう

初めてサーキット場に行ったら、初心者はまずどうすればいいのでしょうか?

とりあえずグランドスタンドに座ることですかね。目の前を時速300kmで何台ものマシンが走り抜けるスピード感と大迫力を味わってほしいですね。ここは何よりサーキット全体が見渡せるし、目の前に大きなモニターがあるので、その先のコースで今何が起こっているのかが手に取るようにわかります。レース玄人でも「まずはグランドスタンドへ」が基本ですね。

特にレースがスタートする瞬間は見逃さないでください。赤いランプが付き、それがブラックアウト(赤いランプが消えること)すると同時に、マシンが一斉に走り出す。誰もが前に位置する車を追い抜いてやろうという気構えでブレーキからアクセルに踏み変えるので、選手の持てるパワーが一気に解き放たれるんですよ。現場の僕たちももっとも興奮する瞬間でもあります。なかには、スタートで5~6台抜いてしまうレース巧者もいるんですよ。ヘルメットを被って、顔が見えない分、まずはこの駆け引きを体感してもらって、ドライバーの格好良さを知ってもらいたいですね。

走りを見た上で、自分の“推しメン”を探せばいいんですね。ちなみに選手の素顔を見るにはどうすればいいのでしょうか?

そんなお客さんのためにピットウォークというオプションがあるんです。グランドスタンドの向かい側にあるピットレーンに入場できるイベントです。テレビ中継でもお馴染みの、レース中のマシンが調整をするためにピットインするあの場所です。マニアの方がマシンや作業風景などを間近で見るためだけではなくて、ドライバーにも会える貴重な時間なんです。だから、気になる“推しメン”の顔や素の姿を見ることができるんですよ。

だけど、日本一を決めるレースなどの前はみなさん、けっこうピリピリしている感じなので、なかなか話し掛けづらかったりもします。だから、まだまだ初心者の女子には富士スピードウェイで年4回開催されるインタープロトシリーズ*というレースがおすすめです。入場料も無料ですし、和やかな雰囲気のレースなので、ドライバーもリラックスしています。しかも、女子向けにネイルやマッサージができる場所まであるんです。

インタープロトシリーズ
インタープロトシリーズは、2013年(平成25年)から富士スピードウェイで開催されている自動車レースのシリーズ戦。通称「ips」と呼ばれる。アマチュアドライバーとプロドライバーがペアを組み、1台のマシンをシェアしてレースを戦う仕組みを取っている点が大きな特徴である。

そんなイベントがあるんですね。“推しメン”との距離もグッと縮まりそうな気もするし、まさかレース場で女子っぽいことを楽しめるなんて意外です。ちなみにもっとストイックにレースを楽しみたい女子はどうすればいいんでしょう?

グランドスタンドで応援するのも楽しいですが、実はとっておきの観戦場所があるんです。それが第1コーナーです。スタートの瞬間以上に、男の生き様が垣間見られるレース上の聖域です。
モータースポーツって、アクセル踏んで、ハンドルを操作するだけで簡単でしょ、と勘違いしている人がいますが、通常の4倍のG(重力)が掛かったなかで戦っているんですよ。そんな環境に90分間(富士スピードウェイのスーパーフォーミュラの1レースにかかる時間)耐え続けていると、心拍数は平均180にもなるんです(一般成人の正常値は60~100)。そんな極限状態の中にあって、第一コーナーは魔境ですね。マシンが1トンの力で上から押さえつけられる直線コースは走りも安定しているんですが、第1コーナーに入った瞬間、速度が時速100kmにまで落ちて、抑えつける力がふっと弱まるので、タイヤが滑りやすくなるんです。だから、マシンを滑らせないように巧みにコントロールして、次のストレートへ向けて最良のコース取りをしなくちゃいけないんです。コーナーのギリギリでいきなりスピードを落とす人もいれば、スムーズなライン取りをする人もいる。ドライバーの性格が最も出やすい場所なんです。僕はどちらかと言うと、ミスをしないように注意しながら、いい速さのラップタイムを着実に重ねていくタイプ。様々なドライバーの個性を見極めるのは、第1コーナーがベストスポットかもしれません。

中山 雄一 [レーシングドライバー]

1991年、東京都生まれ。5歳からキッズカートを始め、15歳の時にフォーミュラトヨタ・レーシング・スクールを受講。2008年に4輪デビューを果たし、フォーミュラチャレンジジャパン、全日本F3と着実にステップを重ね、2014年に日本最高峰のレース、スーパーフォーミュラに参戦。富士スピードウェイで育った若きレーシングドライバー。

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