2~3月の中東走破後のアジア走破は、インド・東南アジアだ。
前半のインド、ミャンマー、タイの3カ国の道は数キロごとに表情が変わる。一日の間に激しく変化する天気。自由に横切る人や動物。逆走するバイク。大量のポットホールで荒れた舗装道路。運転には高い集中力と冷静な対応力、明確な意志表示が要求される。気の抜けない道中での経験は、彼らに「クルマは命を乗せている」という基本的なことを実感させた。
後半のマレーシア、シンガポール、インドネシア、フィリピン、ベトナムでも国の経済状況や激しい交通渋滞、一見無秩序に走るクルマやバイクなど各国特有の環境を学んだ。ベトナムに入る頃には、走行は厳しいと思われていた道も、それまでに培われた経験とチームワークでスムーズに乗り越えられるようになっていた。
現地のお客さまとの会話から得られる気づきも多いが、実際に自らハンドルを握ってみて初めて共有できる感覚は多い。8カ国に渡って得た経験を、隊員たちは、いいクルマづくりの種として各自持ち帰っていくことだろう。
INDIA & SOUTHEAST ASIA
走破日数
51日:2019/9/16~11/29
走破国
インド、ミャンマー、タイ、マレーシア、
シンガポール、インドネシア、フィリピン、べトナム
走破距離
8,600km
走破メンバー
115名
走破車両
Land Cruiser 200、Fortuner、Hilux Double Cab、Prado、Rush、Vios、Yaris、 Yaris Ativ、Yaris Hatchback, Prius PHEV,C-HR、C-HR HV、Sienta、Alphard、Camry HV、Corolla Altis、Corolla Altis HV、Avanza、Hiace、RAV4 HV、Innova、Innova Crysta、Innova Touring Sport、Innova Venturer、Glanza、Suzuki Vitara Brezza、Xenia(Daihatsu)
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01 Bengaluru > Surat
意思を持つクラクション。ついにインド・東南アジアパートの走破が始まった。走破メンバーを乗せた9台のクルマがベンガルールのTKM(Toyota Kirloskar Motor Private Ltd.)工場からニューデリーに向けて出発した。初日はマディケリへ。インドと日本では文化や交通ルールが大きく異なる。メンバーたちは、インドの交通事情に少々戸惑いがあるようだった。
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02 Surat > New Delhi
創業の精神を追体験する。グジャラート州の主要都市アフマダーバードを目指す。車両技術開発部 商品監査室の矢倉恭介は同乗者と共にグランザのシートの座り心地やサスペンションに対する意見の交換を頻繁に行った。「インドの道に対し、クルマがどうリアクションをするか興味がある。グランザには加速感があり、高速道路でも恐怖感がない。直進性もあり、
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03 Yangon > Chiang Mai
喜びを燃料にして走るミャンマー最大都市ヤンゴンの南部近郊に位置する2014年設立のティラワ経済特別区を視察。2021年、トヨタ新工場が稼働する際にはハイラックスを生産する予定だ。バイスキャプテンである先進車両技術開発部の八百板修は、キャプテンと共に走破メンバーを率いてきた。温厚な八百板ではあるが、走破が始まる前は健康管理の徹底を促し、
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04 Chiang Mai > Bangkok
クルマという共通言語走破隊はチェンマイから古都・ランパーンへ出発した。ドイ・インタノン国立公園の山道を行く。第3駆動・EHV 設計部の石井康之は「英語は不得手だ」と言うが、臆することなく、ローカルメンバーたちとコミュニケーションを図っている。Hiluxの運転をしていたTMAP(Toyota Motor Asia Pacific Pte Ltd.)のカリャンが首をかしげた。
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05 George Town > Singapore
ハイスピード・ワインディングロード。アジア走破後半は、マレーシアのペナン島から始まった。古い街並みの残るジョージタウンでは、日本では見ることのない数のバイクの集団が信号待ちをしている。車道を多くの人々が歩いていたり、狭い道でトラックが追い越しをかけてきたり、日本とは違う環境に身を置いていることをメンバーたちが強く実感している。
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06 Jakarta > Surabaya
未来の礎となるネットワーク。左右からバイクが隙間を埋めるようにして追い抜いていく。いったい何車線なのかわからないような道。一見、無秩序に見えるが、事故はほとんど見かけない。どこかにぶつけたようなクルマも走っていない。ジャカルタの街は懐が深い。過去に3度、この街を訪れたことのあるシャシー設計部の本田は、数年間でGrabなどの配車サービスが劇的に増えていることに驚いていた。
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07 Santa Rosa > Manila
最適な品質、必要なクルマ。フィリピンの首都マニラは、世界で有数のクルマが進まない渋滞都市。片側5車線の道路が埋め尽くされている。しばらく進むと4、3、2と車線が減り、合流してくるクルマが頭を突っ込んでくる。仕方なくブレーキを踏み、また渋滞がひどくなる。市街地を抜けるのにザッと3時間。郊外からハイウェイに乗るとようやくクルマが流れ出した。
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08 Da Nang > Hanoi
工場の決意と、ベトナムの道。ベトナム中部の街・ダナンから北の首都ハノイを目指す。海沿いにハイウェイが通されているが、チームが走るのはホーチミン・ルートと呼ばれる山岳路。かつてベトナム戦争時に使われたジャングルのトレイルは、現在は舗装されているとはいえ、その歴史を残したような狭く荒れた道だった。小川を越える際には必ずと言っていいほど橋の補強工事が行われていて、その横をすり抜けるようにして走っていく。
MIDDLE EAST
アジア走破の序盤である中東では、6カ国にわたってクルマを走らせた。サウジアラビア、オマーン、カタール、クウェート、バーレーン、UAE。ドライバーたちは、国が変わるたびに出会う、クルマの“リアル"な風景に驚く。漁師町では、船を引っ張る“道具"としても使われていること。荒野では、基本性能が命に関わっていたこと。かたや、FUN TO DRIVEを求める国もしっかりあること。
テストコースだけでは測り知れなかった中東の道を、隊員たちは全身の感覚を研ぎ澄ませてインプットしていた。アジアは広い。5つ目となる大陸走破は、まだ始まったばかりだ。
走破日数
20日:2019/2/20~3/11
走破国
サウジアラビア、オマーン、カタール、クウェート、バーレーン、UAE
走破距離
3,500km
走破メンバー
40名
走破車両
Land Cruiser 200、Land Cruiser Prado、Hilux、Fortuner、Avalon、FJ Cruiser、Camry Hybrid、Camry HEV、RAV4、Rush、Mirai、Prius PHV、Lexus LX570
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01 Jeddah > Abha
緊張感のある、タフな喧騒。サウジアラビアのジェッダの空港からホテルへと向かうバスの中で、すでに喧騒に目を奪われていた。ウィンカーも出さずにいきなり割り込んでくる前方車両に思わず腰が浮きそうになり、車間距離の近さに声が出てしまう。走破メンバーの表情には明らかに緊張が見える。トヨタ車、あるいはLEXUS車が多く走っていることに気づくと同時に、
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02 Muscat > Doha
オマーンの山奥にある生活道。オマーンでの走破初日は、ワジと呼ばれる涸れた河川へと向かった。都市部マスカットからレジャーで訪れる人が多い場所という。日本と比較してもクリーンで質の良いハイウェイから、山へと続くオフロードへ。先の見えないカーブでは、クラクションを鳴らして対向車がいないかを確認するローカルたち。分け入るほどに壮大な風景が広がっていて、初めての海外渡航である田原工場品質管理部の吉見は
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03 Doha > Abu Dhabi
激変する街に求められるクルマ。走破を行う国がめまぐるしく変わった1週間。短い滞在ながら、チームは集中して道と向き合い、人々の暮らしからよりよいクルマ作りのヒントを探ろうと試みる。乗車中、さまざまな話題をローカルドライバーへと振っているのがレクサスボデー設計部の藤井だ。レギュレーションにより運転することが叶わなかったカタールでもその姿勢は変わらない。
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04 Abu Dhabi > Dubai
新たに作られた道で求められるクルマ。中東走破の最後の6カ国目、UAE。アブダビにて、いつものように車両点検を行う。毎日繰り返してきた作業も、淡々と丁寧に行っていく。田原工場品質管理部の早山はいつものようにエンジンルームを覗き込む、凄腕技能養成部の日塔はメンバー全体の動きを見回しつつ、一番に動いて作業がスムースに運ぶように手配する。カタールからの参加となった日塔は、中東での印象を「新しい道が作られている土地」と語った。