TOYOTA GAZOO Racing #08 終わりなき旅 | AUSTRALIA 2014 | 5大陸走破プロジェクト
ブリスベン、シドニーという大都市の渋滞を走行した。渋滞も道のひとつ。とくにシドニー市内の道の車線は、曲がりくねっていてアップダウンもある。また車線幅が非常に狭く、隣の車両との安全マージンが少ない。そこを70km/h、80km/hといった高速で走行する。正確なハンドリング性能はもちろんのこと、加速?減速?操舵を集約してクルマとの一体感が求められる。
自分のイメージ通り操作できないとブレーキや再加速といった追加操作が発生する。それが都会の大きな渋滞では短時間で疲労として蓄積されていく。基本性能を向上し、疲れないクルマづくりの重要さを体感した。
0Km→100kmの加速力
長距離走行では欠かすことのできない休憩。そんな休憩エリアが、オーストラリアのハイウェイには、約20km毎に設備されている。チーム3も約一時間に一度ドライバーチェンジをするととともに、10分間の休憩を行った。
しかし、問題はレストエリアからハイウェイ本線の合流場面だ。 安全に合流する為には、本線上の車両と同じ速度で合流しなければならないが、日本のパーキングエリアと異なり、加速レーンが20mほどしかなく、かなり短い。つまり停止状態の0km/hからの100km/hへの加速性能がとても重要なのだ。
ゴールは出発地点
メルボルンを出発し、西海岸のパース、ダーウィンから南下しアリススプリング、ウルル、そして東海岸の大都市ブリスベンとシドニーを経由し、再びメルボルンに戻ってきた。チーム1からチーム2へ、そしてチーム3に渡されたタスキを無事にゴールへと届けることができた。世界の80%の道が存在するというオーストラリアの過酷な、およそ2万kmの道を誰一人欠けることなくゴールし、スタートの地であるTMCA(Toyota Motor Corporation Australia Ltd.)のアルトナ工場へ帰還することができたのだ。毎朝、円陣を組み「安全に行くぞ!」と声を出し、全員をゴールまで届けるという大きなプレッシャーから解放されたリーダーの角谷さんは、ゴール後にチームメンバーの前で涙を流した。
オーストラリア一周というロングドライブがもたらしたのは、旅の高揚感だけではない。クルマに関わる自らの仕事、人生を見つめることでもあったかもしれない。誰もがチームメンバーに感謝し、サポートスタッフに感謝し、そしてどんなコンディションでも安心して走ってくれたパートナーのクルマたちに感謝した。「道を知る」という原点に振り返ることができた、夢のような時間。この財産を走破メンバーは、日本へ持ち帰る。日々の通勤路も、出張先のドライブも、テストコースでの試走も、これまでとは違う感覚で走ることができるはずだ。すべての道が、オーストラリアへと繋がっている。ゴールは常にスタート。TOYOTAの旅は、これからも続く。