Joy of the winding road
Report 2015.07.05 - 07.19 FROM ATLANTA TO BOSTON
#02
歓びのワインディング・ロード。
長閑で大きな変化に乏しいハイウェイを走ってきたせいもあるのかもしれない。テネシー州とノースカロライナ州の間にあるスモーキー・マウンテン国立公園を走るワインディング・ロードの名所、”テイル・オブ・ザ・ドラゴン”では、誰もが目を輝かせていた。
11マイル、およそ17kmの間に318のコーナーが連続する峠道。全米から”走ること”が好きな人々が愛車とともに訪れる聖地で、アメリカに”走り”の文化がいかに熱く根付いているかを実感する。ただし、日本とは違ってカーブミラーもガードレールもない。安全への感度を高めつつ、クルマと語るようにコーナーを攻め、走る歓びを再確認していた。
大地の形のハイウェイ。
テネシー州ノックスビルからワシントンDCへと向かうハイウェイ81号線。アメリカのハイウェイは地形に沿って作られているため、大地の形を変えたり、トンネルを掘るようなことは滅多にない。そのために日本では考えられないような勾配が続き、長く緩やかな登りがあり、急激な下りがある。
その加速度や道の変化によって、求められるクルマも変わる。南部ではもっとも快適だったピックアップトラックが、都市部へ進むと大きすぎる。道と周囲の環境が、「必要なクルマとは?」と問いかけてくる。
タクシードライバーの言葉。
マンハッタン島へと入ると、碁盤の目の道が人とクルマで埋め尽くされている。360度全方位に神経を使わなければいけない道路。路面も想像以上に荒い。NYの街は常にどこかで工事が行われ、生き物のように絶えず変化し続けている。
ここでは日中夜問わず、年間10万マイル(約16万㎞)もの距離を走るタクシードライバーに話を聞くことができた。彼らから求められたのは急発進と急停車を繰り返すような、荒い運転にも耐えうる高い基本性能と低燃費。長距離を走るドライバーほど、基礎性能の向上により受けるメリットは大きい。クルマと共にこの街で生きる彼らそのリアルな言葉こそ、この走破の旅で求めていたものだった。