Cars at home in the city; Cars at home in the country
Report 2015.08.13 - 08.27 FROM PHOENIX TO SOUTH LAKE TAHOE
#05
都市で生きるクルマ、自然で生きるクルマ
アリゾナ州フェニックスを後にし、チームはメキシコとの国境に近いカリフォルニア州の街、エル・セントロを目指す。山岳地帯のゆるやかなアップダウン、砂漠地帯を貫くように続く直線のハイウェイを走っていると、気温はみるみる上昇していく。この日、車載温度計は46℃、路面温度は72℃を記録した。
サンディエゴを経由し、チームは隣国メキシコに足を踏み入れた。国境を超えた先に広がっていたのは、80年代で時間が止まったような景色。国境と同時に、時空も超えたのかと錯覚してしまう。
灼熱の荒野へ
トーランスでは、北米での販売を開始するFCVのMIRAIを試乗。国内で開発に携わったスタッフが海を越え、北米の一般路でハンドルを握る。シームレスな加速と静粛性、乗り心地。MIRAIはこの地でも十分通用すると、確かな実感を得た。走破隊はその後、ベアマウンテンの山岳路を経て灼熱のデスバレーへと向かう。夜間でも40度を超える過酷な環境には、多くの自動車メーカーがテストのために訪れている。ここを走ることが出来なければ、他のクルマと肩を並べることはできない。
悪魔の坂
灼熱のデスバレーからサンタクラリタを経由し、西海岸の中心地サンフランシスコへ。待ち受けていたのは最大勾配31%(約17度)、この街の名物でもある坂の洗礼だ。人と車で溢れかえり、勾配の続く都市部ではパワーのある大きな車体が足枷となる。都市から離れ、また戻る。それを繰り返しながら「その土地で本当に求められている機能は何か?」と、一長一短ではいかないクルマづくりに逡巡することになる。
その地で生きる人を知る
レイクタホへと向かう峠道では、ワインディングロードが連続する。制限速度は55マイル(約90㎞/h)と比較的高く設定され、交通の流れを滞留させずに安全に走れるよう考え出された設計がされている。
レイクタホではオフロードコースを走り、そこに集っていたドライバーのミーティングに参加した。話題はクルマの使い方やカスタマイズだけでなく、環境意識、ボランティア精神にまで及ぶ。自然の中でクルマを走らせるということ、その中でドライバーはどうあるべきかを、彼らとの対話の中から学ぶことができた。