ニュルブルクリンクへの挑戦 2012
VLN3レポート

2014.03.17 ニュルブルクリンクへの挑戦2012

「VLN(ニュルブルクリンク耐久選手権)」第3戦を舞台に、「ニュル24時間」へ向けた最後の実戦テストを行ったGAZOO Racingは、LFAがクラス優勝、86がクラス3位・4位と充実した内容で締めくくった。

5月の「ニュル24時間」を目前にした最後の実戦テストのチャンスとあって214台ものレース車両とトランスポータ―がパドックを埋め尽くした。ポルシェ、BMW、メルセデス、アウディなど上位の常連チームも揃いサーキットは走行前から本番さながらの熱気と緊張感に包まれた。前回の「VLN2」ではLFAが総合22位/クラス優勝、86が109位/クラス4位・128位/クラス8位と幸先の良いシーズンのスタートをきったが、レースを通じて様々なテストプログラムを行ったことでその結果以上の成果を得たという。フィードバックを施された純白の3台はピットの中で輝きを放ち、メカニックの表情からも期待感がうかがえた。ドライバーラインナップはLFA#152が木下隆之選手、飯田章選手、脇阪寿一選手、86#304は勝又義信選手、影山正彦選手、佐藤久実選手、井口卓人選手、86#305は高木実選手、大嶋和也選手、井口卓人選手。ニュル初年度の井口選手はコース習熟と本戦出場の必須条件をクリアする為にダブルエントリーとなった。

金曜日のフリー走行では、LFA#152がサスペンションの仕様、前後車高バランス変更などのチェックを行い早めに走行を終了。86はサスペンションの仕様、ストラットタワーバー、ギア比などのテストを2台エントリーのメリットをいかして効率的に行った。翌土曜日午前8時40分、気温15℃/路面温度15℃、晴れてはいるものの路面はウェットの難しいコンディションで予選が始まった。LFA#152はほぼ全車がレインタイヤかカットスリックを選択する中、飯田選手がドライ用のスリックタイヤでコースイン、結果的にカットスリックへ交換したが積極的なトライが頼もしさを感じさせた。86はレインタイヤからスリックタイヤへ変更しながらそれぞれのドライバーが順調に走行。結局、コースが完全に乾いた終盤に次々とベストラップが更新される展開となり、LFA#152が総合22位/クラス1位、86#305が総合138位/クラス6位、86#304が総合145位/クラス7位のグリッドを獲得した。

気温22℃/路面温度27℃、初夏のような強い日差しの下で12時5分に決勝がスタート。
LFA#152は木下選手、脇阪選手、飯田選手の順で予選タイム(8分41秒188)前後のハイペースで走行を重ね、「サスペンションセッティングを変更し、安定した速いペースで走り続けられるようにした成果」と木下選手が語った通り、一時は総合9位までポジションをアップ。終盤、飯田選手が「順位は下がるが本戦へ向けてタイヤ交換の練習をしよう」と無線で提案し新人メカニックが迅速な作業でコースへ送り出した。交換したリヤタイヤにはクラッシュ車両のものと思われるパーツの破片が刺さっており、結果的に想定外のアクシデントを未然に防いだ。86#304は気温27℃/路面温度40℃までコンディションが変化していく中、影山選手が約2時間のロングランを行った。タイヤの内圧が上がりグリップが失われていったにもかかわらずピットイン直前までベストタイムを更新し続け、86のポテンシャルの高さを証明した。86#305も#304同様に前回を上回るペースで順調に走行、中盤以降は2台の86がランデブー走行を続けギャラリーの注目を集めた。両方のステアリングを握った井口選手は「異なるセットアップの2台をドライブでき本戦へ向けていいテストになった。目標の9分台が見えた」と笑顔で語った。ゴールまで残り10分、コース上で大きなアクシデントが発生したため赤旗が掲示され、LFA#152は総合12位/クラス2連覇、86#305が総合85位/クラス3位、86#304が総合96位/クラス4位でレースを終えた。
ところで、「24時間レース」の告知ポスターにはアウディ、ポルシェ、メルセデスに続いてGAZOO RacingのLFAが大きくコラージュされている。チームスタッフは「常連チームと呼ばれるにはまだまだ」と否定したが、挑戦開始から6年、その実力と期待感は確実にアップしている。

<レース後のコメント>

LFA#152木下隆之選手
「流れはとてもいい。今年のテーマである24時間を安定して走りきる仕様でありながら速い。いくつかの残った課題は本戦までにまとめあげる自信がある」
86#304勝又義信選手
「凄いコースで驚きと少し恐怖感もあったが、国内での経験を活かして自分なりの走りが出来た。86はコーナリング性能が素晴らしい」
86#306影山正彦選手
「色々と試せたことで本戦へ向けてやるべきことがより明確になった。ハンドリングと燃費の良さをいかして24時間をじっくりと戦いたい」
86#304平田泰男チーフメカニック
「一番の成果は新人メカニックの結束力が強くなったこと。心が一つになれば作業は自然にうまくいくのでこのまま引っ張っていきたいと思う」

総合順位

1位 No.10 Manthey Racing / Porsche 911 GT3 R (SP9クラス)
2位 No.5 Audi Sport Team Phoenix / Audi R8 LMS (SP9クラス)
3位 No.19 BMW Team Schubert / BMW Z4 (SP9クラス)
4位 No.15 Audi Sport Team Phoenix / Audi R8 LMS (SP9クラス)
5位 No.96 Manthey Racing / Porsche 911 GT3 Cup (CUP2クラス)
6位 No.13 Gemballa RACING / McLaren MP4 GT3 (SP9クラス)
7位 No.6 ROWE RACING / Mercedes-Benz SLS AMG GT3 (SP9クラス)
8位 No.98 PZ Aschaffenburg / Porsche 911 GT3 Cup (CUP2クラス)
9位 No.16 MARC VDS RACING TEAM / BMW Z4 (SP9クラス)
10位 No.37 Young Driver AMR GmbH / Aston Martin Vantage G1 (SP9クラス)

決勝出走:201台/完走:148台

SP8クラス(自然吸気エンジン:4000cc~6250cc)順位

1位 GAZOO Racing / LEXUS LFA
2位 Aston Martin Test Centre / Aston Martin Vantage
3位 Roadrunner Racing GmbH / Ferrari F430

SP8クラス出走:7台

SP3クラス(自然吸気エンジン:1750cc~2000cc)順位

1位 Honda Civic
2位 Honda S2000
3位 GAZOO Racing / TOYOTA 86(No.305)
4位 GAZOO Racing / TOYOTA 86(No.304)

SP3クラス出走:13台