新井敏弘が勝田範彦との激闘を制し今季3勝目!
TOYOTA GAZOO Racing Vitz GRMN Turbo、デビュー戦でクラス2位

全日本ラリー選手権第5戦 がんばろう!福島MSCCラリー2015 レポート

2015.07.27 全日本ラリー選手権2015

タフな路面と猛暑のサバイバルラリー

全日本ラリー選手権第5戦「がんばろう!福島MSCCラリー2015」は、東日本大震災の被災地域となった福島を激励する思いから、2011年以降この名称で開催されている。前戦「2015 ARKラリー洞爺」に続くグラベル(未舗装路)ラリーで、セレモニアルスタート、ゴールが行われるのは福島県東白川郡棚倉町にあるスポーツリゾート施設「ルネサンス棚倉」。7月25日(土)~26日(日)の2日間にわたって15本のスペシャルステージ(タイムアタック区間/以下SS)が設定され、SS総走行距離62.02㎞、リエゾン(移動区間)を含めた総走行距離458.94㎞で競技が行われた。

初日は中低速のテクニカルコース、2日目は高速コーナーが多いハイスピードなコース設定となっており、林道ステージは鋭利な砕石が散乱し、轍ができやすく荒れた路面や、湿った泥が散乱し滑りやすい路面など様々あり、シリーズ全9戦のなかでもマシンへのダメージが大きいタフなラリーとして知られている。また、例年は6月の梅雨時期に開催されていたためウエット路面に苦しめられるラリーだったが、今年は梅雨明けの時期に開催されたことで、参加者は30℃以上の猛暑に苦しめられた。この暑さで脱水症状を訴えるドライバーやマシントラブルが続出、リタイアが多発するサバイバルラリーとなった。

ラリーの拠点となるルネサンス棚倉にはギャラリーステージとサービスパークが併設されており、観戦しやすい。
ラリーの拠点となるルネサンス棚倉にはギャラリーステージとサービスパークが併設されており、観戦しやすい。

[ JN6クラス ] 新井/田中組と勝田/足立組が壮絶な優勝争い

シリーズランキングは新井敏弘がトップ(47ポイント)、勝田範彦が2位(37.6ポイント)、炭山裕矢が3位(24.8ポイント)で、シーズン折り返しの第5戦を迎えた。タイトル奪還に向けて必勝を期する勝田は、このラリーにVAB型のWRX STIを投入するが、マシンが組み上がったのはラリー前日。ほぼシェイクダウンの状態で初日を迎えることとなったにもかかわらず、勝田範彦/足立さやか組はSS1でベストタイムを奪い、いきなりの好結果で周囲を驚かせた。

続くSS2から新井敏弘/田中直哉組(スバルWRX STI)の逆襲が始まる。SS2とSS3でベストタイムを叩き出した新井/田中組は、SS4終了時点で勝田/足立組に6.0秒差をつけてラリーをリードする。勝田/足立組もSS5、SS6でベストタイムを出して応酬し新井/田中組との差を1.8秒差まで詰めた。が、SS7で新井/田中組が再びベストタイムを奪い、最終SS8を終えて勝田/足立組に5.7秒差をつけて初日トップに立った。

2日目、勝田/足立組はタイムが伸びず2位に終わり、新井/田中組がトップを堅持して第4戦に続き連勝を飾った。3位には初日を3番手で折り返した奴田原文雄/佐藤忠宜組(三菱ランサーエボリューション)を逆転した炭山裕矢/保井隆宏組(スバルWRX STI)が入り、スバルWRX STIが表彰台を独占した。

JN6クラスは新井敏弘/田中直哉組が今季3勝目を飾った。
JN6クラスは新井敏弘/田中直哉組が今季3勝目を飾った。

[ JN5クラス ] 関根正人/竹下紀子組が貫禄の2連勝

JN5クラスは、第4戦で優勝した関根正人/竹下紀子(三菱ミラージュ)が、第5戦でも好走を見せた。初日はショートステージのギャラリーSS以外、すべての林道ステージでベストタイムを奪取。2日目もトップを堅持して2連勝を果たした。またトヨタの凄腕技能養成部のメンバーが車両を製作し、今回がデビュー戦となったTOYOTA GAZOO RacingのトヨタVitz GRMN Turboは、勝田貴元/石田裕一組が奮闘しクラス2位でフィニッシュ。勝田はFFマシンでのラリーは初挑戦ながらベテラン勢を相手に必死に上位に食らいつき、2日目はポイントトップを獲得する活躍をみせた。シリーズランキングトップながら、前戦でマシンを大破させた天野智之/井上裕紀子組(トヨタVitz GRMN Turbo)は、短期間でマシンを修復してこの戦いに臨んだが、SS1でターボパイプが外れてしまうトラブルで大きく出遅れ、クラス4位に終わった。

JN5クラスはベテラン関根正人/竹下紀子組が三菱ミラージュでグラベルラリー2連勝。
JN5クラスはベテラン関根正人/竹下紀子組が三菱ミラージュでグラベルラリー2連勝。

[ JN3クラス ] 寺川和紘/石川美代子組が2連勝

JN3クラスは、トップを快走していたシリーズランキングトップの岡田孝一/大久保叡組(マツダ・デミオ)がSS3で燃料タンクを破損。SS3を走行後に初日はリタイアとなった。岡田/大久保組のリタイアにより、第4戦で全日本初優勝を果たした寺川和紘/石川美代子(マツダ・デミオ)がトップに浮上し、そのまま2日目も首位を守り切り2連勝を飾った。2位には鷹野健太郎/尼子祥一組(マツダ・デミオ)、3位には荒れた路面に強いベテラン唐釜真一郎/松浦俊朗組(マツダ・デミオ)が入り、マツダ・デミオが表彰台を独占した。岡田/大久保組は2日目に再出走を果たし、2日目のポイントトップを獲得している。

JN3クラスは寺川和紘/石川美代子組が前戦での全日本初優勝の勢いをそのままに2連勝。
JN3クラスは寺川和紘/石川美代子組が前戦での全日本初優勝の勢いをそのままに2連勝。

[ JN2クラス ] 中西昌人/廣島真組が今季初優勝

JN2クラスは、中西昌人/廣島真組(スズキ・スイフトスポーツ)がSS1でベストタイムを奪うが、SS2で高橋悟志/箕作裕子組(トヨタ・ヴィッツRS)が逆転しトップを快走する。しかし、高橋/箕作組はSS7で土手にマシンをヒットさせてしまい、中西/廣島組が再びトップを奪い返した。続く初日最終のSS8のフィニッシュ直前で、高橋/箕作組はSS7でのアクシデントが原因でダンパーを折損して無念のコースアウト。オフィシャルの手でコース外に出されサービスに戻ることはできたが、規定によりSS8のタイムは一律3分と確定された。これにより中西/廣島組より2分半以上遅れた高橋/箕作組は、2日目の7本すべてのSSでベストタイムを奪うも逆転はかなわず、中西/廣島組が今季初優勝を果たした。

JN2クラスは中西昌人/廣島真組のスズキ・スイフトスポーツが今季初優勝。
JN2クラスは中西昌人/廣島真組のスズキ・スイフトスポーツが今季初優勝。

クラス別順位結果(上位3クルー)

class - JN-6
1位 ドライバー/コ・ドライバー
新井 敏弘/田中 直哉
スバルWRX STI
2位 ドライバー/コ・ドライバー
勝田 範彦/足立 さやか
スバルWRX STI
3位 ドライバー/コ・ドライバー
炭山 裕矢/保井 隆宏
スバルWRX STI
class - JN-5
1位 ドライバー/コ・ドライバー
関根 正人/竹下 紀子
三菱ミラージュ
2位 ドライバー/コ・ドライバー
勝田 貴元/石田 裕一
トヨタ・Vitz GRMN Turbo
3位 ドライバー/コ・ドライバー
石田 雅之/遠山 裕美子
トヨタ・86
class - JN-3
1位 ドライバー/コ・ドライバー
寺川 和紘/石川 美代子
マツダ・デミオ
2位 ドライバー/コ・ドライバー
鷹野 健太郎/尼子 祥一
マツダ・デミオ
3位 ドライバー/コ・ドライバー
唐釜 真一郎/松浦 俊朗
マツダ・デミオ
class - JN-2
1位 ドライバー/コ・ドライバー
中西 昌人/廣島 真
スズキ・スイフトスポーツ
2位 ドライバー/コ・ドライバー
高橋 悟志/箕作 裕子
トヨタ・ヴィッツRS
   
 
 

※JN4、JN1はクラス不成立。全日本ラリー選手権のクラス区分はこちらを参照ください。