サポート役であった2号車がいなくなってしまい、1号車(三橋ドライバー/ゲネックナビ)の孤独な戦いがここから始まる。同じ車両で部品の共有ができ、同じ構造の車両を知っているメンバー2人が戦列から外れてしまったのは大きい。だが、チームは気持ちを切り替えて、その後の競技に望んだ。
1号車は、第4ステージ以降もリズムが上がらないものの、堅実な走りで市販部車門首位をキープする。ただし、2位以下を大きく引き離せない。
市販車部門での最大のライバルは、スペイントヨタがサポート、X・フォジ選手が運転するランドクルーザー・プラドだ。
車両の特性上、TLCのランドクルーザーは、堅牢であるため、長距離の競技になればなるほど有利に働くが、今回のラリーのSS(競技区間)では距離が例年より約1000km短く、これも2位以下を引き離せない一つの要因でもある。
第6ステージは、アルゼンチンからチリの国境を超えるコースを予定していたが、積雪のためレースがキャンセルされ、さらに総走行距離が短縮された。当日は、別ルートで山脈を越え、チリのコピアポへ入る600kmの移動日となり、アルゼンチンを後にした。この時点では、2位との累積タイム差は20分弱と、トラブルに見舞われるとすぐに逆転される僅差であった。
第7ステージ(1月7日)からはチリでの戦いが始まった。
8日の休息日を挟み、第9ステージ(1月10日)までの間、砂丘、フェシュフェシュというパウダー状の砂、標高2,000m超の丘陵と難所が続く中、1号車はスタックするなど細々としたトラブルには見舞われるものの、ようやく調子を取り戻してきた。2位のX・フォジ組(トヨタ・ランドクルーザー・プラド)が大きく遅れをとったこともあり、累積タイム差は1時間43分まで広げた。
だが、昨年の大会では第9ステージ終了後には約13時間の差を広げている。大きな差をつけられないことが、ラリー終盤に差し掛かるにつれTLCに大きく響いてくることとなる。