―まずは今の心境から聞かせて下さい。
私は2回目のダカール挑戦になるのですがで、今年はどっしりと構えて落ち着いているんです。
―その要因はどこにありますか。
私の信条であるチームの「和」。それがみんなに伝わっているな、と感じるからです。だからこそ、何があっても目標に届くんじゃないかと思っています。企業用語でリスク管理という言葉がありますが、森監督の背中を見ていると、リスク管理をしっかりしてくれているなというのがよくわかります。
―ラリーではチーム全体のメンバーの体調管理も重要になりそうです。
はい。日中は気温が40度を超えるのですが、夜には10度近くに下がります。まさに体力勝負だということを昨年のラリーで感じました。まさに、モータースポーツなんですよね。
―チーム代表というのは、現場ではどんなことをしているのですか。
私は実践は監督に任せてますから、いわゆる総合コーディネーターという役割です。みんなの気持ちの問題をクリアしたり、意識をどうもってくんだということを定めるのが役割です。細かなレース運びなどは、監督が引っ張っていってくれますから、安心してその部分は任せています。
―いよいよレースが近づいてきました。最後に応援してくれるファンの方へメッセージを。
レース前にはファンや従業員の方など多くの皆さまから、様々な言葉をもらいます。その中で、特に多く書かれていて印象的なのが「絆」という言葉でした。私達のレースを通じて、少しでも多くの人に同じ日本人が世界の舞台で頑張っているということを届けたいですね。
―まずはレースを前にした今の心境から聞かせて下さい。
やはり7連覇必達が我々にかせられた命題。私が入った時は3連覇を達成中だったのですが、そこを引き継ぎ、これまで積み上げてきました。私は大会を重ねるごとに緊張感がアップしてきているのですが、それはつまりラリーのことがより理解できてきたのかな、とも思っています。
―震災の影響もあり、エントリー自体も協議されたそうですが。
はい。その点ではまずスタートラインに立てることにとても感謝しています。ただ、同時にいつも以上に結果を残さないといけない大会であると考えています。
―去年に比べてメカニックの新加入はあったが、ドライバーとナビゲーターは1号車も2号車も同じコンビですね。その安心感はありますか。
えぇ。昨年はチームの目標を達成するために、チームの持っている人材を最大限に活かしてチーム作りをしました。そして去年は優勝できました。でも課題はある。さらにそれを盤石な体制にし、勝ち方を確立したいんです。
―トレーニングもやりやすい部分はありますか。
トレーニングも雰囲気がまず違いますね。「チームが勝つために何をすればいいか?」と、メンバーから自然と出てくるようになりました。
―ファラオラリーでは、いろんなことにトライして収穫もあったというコメントがありました。 具体的にはどのようなことですか。
まずハード(クルマ)でいうと、今年はモロッコ訓練ができなかった分、実戦にトライできたことがまずひとつ。もちろんファラオもレースなので、試したい事の全てはできませんが、オーバーに言うと、リスクを冒しながらも試すことは出来ました。ダカールではこういう走りをしないだろうな、ということをあえてやってどこまでいけるかを図ったんです。
―なるほど。今年は国内練習に時間を多く取ったそうですね。
通常、国内トレーニングは2回行いますが、今年は5回実施しました。国内ではあまり走行訓練はしないのですが、長野県でしっかり走行トレーニングを積みました。ドライバーだけでなく、メカニック訓練も充実したものができたと思います。
―監督はレースの現場では、具体的にどんなことをしているのですか。
監督といえば、チームの練習メニューを考え、作戦を立ててと思われるでしょうが、今のチームはレベルの高い個々の集まり。世界一のプロ集団ですので、ドライバーやナビゲーターに対して、私が事細かく言う必要はありません。ですので、彼らがストレスなくできる環境を作ってあげることを一番に考えています。全力でやってくれて 転倒したとかはしょうがない。ドライバーもメカニックも結果を気にすることはないんです。結果の責任は私にあるので、「しっかりやってくれればいいよ」、と声をかけています。
―周りからの期待も大きいですが。
レース前の声援も励みになりますし、さらにレースが終わった後に「優勝おめでとう」、「感動つくってくれてありがとう」。そう言ってもらえるのはとても嬉しいです。
―自分の記録を自分で塗り替える難しさもあるのでは。
相手も負けないように私達を目標にして挑んできますからね。勝ち続けるプレッシャーに勝って、最後にまたポディウムで最高の笑顔を見せたいです。