2013年11月2日(土)~3日(日)、2013年SUPER GTシリーズ第8戦「MOTEGI GT 250km RACE」のサポートレースとしてナンバー付車両によるJAF公認のワンメイクレース「GAZOO Racing86/BRZ Race」第7戦がツインリンクもてぎで開催。久々に予選/決勝共にドライのコンディションで開催だ。エントリー数は第1戦(富士スピードウェイ)の82台をさらに超える92台(トヨタ86:78台、スバルBRZ:14台)である。
A組/B組に分かれて行なわれた予選は(4台は未出走)、A組はNo.92 谷口信輝選手(コウベトヨペット86)が2分20秒143でポールポジションを獲得。B組はNo.7山野直也選手(P.MU RACING86)は2分20秒503を記録するも谷口選手には及ばず…。45台が決勝に駒を進めた。
10周で行なわれた決勝は、No.7山野直也選手(P.MU Racing 86)が得意のジャンプスタートでトップに踊り出たが、No.92 谷口信輝選手(コウベトヨペット86)とNo.962 織戸学選手(TR with COLLARS86)がピッタリマークし独走態勢にはならず。毎周・毎コーナーでサイドbyサイド、テールtoノーズの超接近戦の戦いが繰り広げられたが、8周目の130Rコーナーで織戸選手が山野選手を捕えトップに浮上。そのまま織戸選手がトップでゴールした。「久々に楽しいレースをしましたね。トップ争いでここまでバトルをしたレースも初めてじゃないかな(織戸選手)」2位は「スタートダッシュは上手くいったのですが、逃げ切ることができませんでした」と言う山野直也選手、3位は谷口信輝選手が獲得した。
また、予選落ちしてしまった43台のために、3日の8時から5周のコンソレーションレース(決勝に残れなかった参加者によるレース)が行なわれたが、No.53日比野哲也選手(YMS☆サンライズ☆DL86)がトップでゴールした。
「GAZOO Racing 86/BRZ Race」は全7戦で争われているが、ポイントは7戦中5戦の「有効ポイント制」が採用されている。すでに年間シリーズチャンピオンは第5戦(十勝スピードウェイ)を終えた時点でNo.7山野直也選手(P.MU Racing 86)が獲得しているため、第7戦(ツインリンクもてぎ)では、「シリーズ2位は誰が獲得するのか?」に注目が集まった。
第6戦までのランキングは、2位が57.5ポイントのNo.37蒲生尚弥選手(ケンダタイヤ86)が、3位は49ポイントの No.557大西隆生選手(オートバックスG786ポテンザ)、4位は45ポイントのNo.100 富澤勝選手(N1TechポテンザWIN86)。この3人に絞られた。
決勝は織戸/山野/谷口のトップ集団のすぐ後方で、富澤/大西/蒲生の順でゴール。ポイントを合計すると蒲生63.5ポイント、富澤55ポイント、大西50ポイントで、ランキング2位は蒲生尚弥選手が獲得した。ちなみに全7戦のレースでポイントを獲得したのは、大西隆生選手1人だけであった。
ちなみに蒲生選手は、開幕戦/第3戦と未出場、第2戦は参戦し上位を走っていたもののマシントラブルでリタイヤ。第4戦(岡山国際サーキット)から連続参戦を開始し1勝をあげている。今回、シリーズ2位になった喜びを聞いてみた。
「クルマのバランスもよくタイヤのタレも少なかったのですが、それ以上にエンジンの熱ダレが厳しかったので、前に出るのは難しかったですね。あまり深く考えて参戦したわけではなかったのですが、上位にイケるとは思っていました。岡山では優勝することができましたが、それ以外のレースでは山野選手とは中々差がつまらなかったですね。細かいドライビングの違いや、クルマをいい状態にキープするノウハウなどが、僕らにはちょっと足りなかったのかもしれませんね。来年の体制はまだ何も決まっていませんが、やるなら目指す所は1つしかありませんね。」
ツインリンクもてぎの最大の特徴は、小さく回り込むコーナーが多い「ストップ&ゴー」のレイアウトを採用していることだ。そのため、よく曲がる、よく駆動力がかかることはもちろんだが、よく止まる…という要素が非常に重要である。
トヨタ86/BRZのブレーキは、市販モデルとしては非常に性能が高いが、サーキットの連続走行となると話は別である。「GAZOO Racing 86/BRZ Race」に参戦するマシンは、レギュレーションにより「ブレーキパッド」、「ブレーキホース」、「ブレーキフルード」は自由に選択が可能だ。今回、国内サーキットの中でもっともブレーキに厳しいツインリンクもてぎでは、参加者はどのようなブレーキをセレクトしているのかをブレーキメーカーの関係者聞いてみた。
「もてぎは他のサーキットに比べてブレーキに厳しいサーキットです。ブレーキローターの温度を測ると、鈴鹿では300度くらいなのですが、もてぎではローターも真っ赤になる700度近くまで上がります。なので、どのブレーキメーカーも、86/BRZ Raceに限らず、もてぎに照準を合わせたブレーキの開発を行なっているはずです。もてぎで問題なければ、他のサーキットも大丈夫ですから。
86/BRZ Raceではローターやキャリパーの交換はできません。そのため、ブレーキパッドのみで効きやコントロール性、スタートからゴールまで安定した制動力、ドライバーへのフィーリング、耐久性の高さや耐摩耗性など、様々な要件をクリアさせなければなりません。そのため、磨材はもちろんバックプレートも含め、通常のスポーツパッドとは違う専用品を用意しています。クオリティで言えばスーパーGTや海外レース用のパッドに近いと思います。値段も通常の製品よりも高めになってしまいますが、“止まる”という安心感はもちろん、交換サイクルを含めるとトータルコストとしてお買い得だと思っています。」
今回の第7戦で、「GAZOO Racing 86/BRZ Race」の2013年シリーズ終了。レース終了後、GAZOO Racingホスピタリティテントで2013年シリーズ表彰式が開催された。東海地方で活躍する「走るパーソナリティ」であり、今回のレースにもエントリーしているNo.96黒岩唯一選手(KUHL Racing GY86)とGAZOO LADYのSAYAさんの司会で行なわれた。
最初に、影山正彦選手による今シーズン総括を語ってもらった。「初年度にも関わらず数多くの台数のエントリーに恵まれました。最初は心配な部分もありましたが、シリーズが進むにつれ全員がレベルアップし、毎戦非常に盛り上がるレース展開を見せてもらいました。レース中のマナーも大きなクラッシュもなくシーズンを締めくくることができたと思います。来シーズンも参加者で盛り上げていただけることを期待しています。」
GAZOO推進室室長の柴尾嘉秀からは、来年の2014シーズンの開催概要が発表された。より多くの皆さんに参加してもらえるように、2クラス制を設ける予定だという。1人でも多くのクルマファンが増え全国的に盛り上がるように、今後もGAZOO Racingは取り組んでいきます。
最後にシリーズ6位までの表彰が行なわれ、トロフィーと賞金が「GAZOO Racing 86/BRZ Race」アドバイザーの影山正彦選手から各ドライバーに授与された。年間チャンピオンの山野直也選手は「レギュレーション的には“腕勝負”のレースなので、楽しんでレースができました。そんな中でチャンピオンを取れたのはすごく嬉しいですね。来シーズンも、このレースに何らかの形で関わり合っていきたいと思っています。」
今回、スーパーGT300クラスに参戦する「SUBARU BRZ R&D SPORT」の応援団としてツインリンクもてぎへやってきた、タレントのアッキーナこと南明奈さん。TV番組のカート対決で抜群の速さとドライビングセンスを発揮しているのは有名な話だが、最近MT免許を取得したと言う。今回、「GAZOO Racing 86/BRZ Race」のシリーズ表彰式のサプライズゲストとしてGAZOO Racingホスピタリティテントに登場した。
実際に決勝レースを観戦し「白熱のレースでした。見ていたら私も参戦したい気分になりました」と言う感想を語ってくれた。得意のカートは、16歳に海外ロケに行った際に、人に勧められて“遊び感覚”で乗ったと言うが、怖さよりも楽しさが上でのめり込んだという。カートはスピード感や音の迫力がたまらないそうだ。
アッキーナはクルマの運転は大好きで、普段からドライビングを楽しんでいるそうだ。TV局などに向かう時も自らステアリングを握っているだけでなく、OFFの時には、秋田のひいおばあちゃんの家まで1人で運転していった…というエピソードも語ってくれた。どうやらアッキーナにとって、クルマは欠かせない相棒で、これからも暇ができたら色々なところにドライブに行きたいそうだ。
「もしよければ、来年は参戦してみませんか?」という質問に対して、「カートからワンメイクレースにステップアップしてみたいですね。スケジュールの都合がつけば出てみたいなぁ」と。エントリーお待ちしています(笑)。
また、それ以外にも自動車雑誌の企画で、アッキーナとスバルBRZでレースを戦う若手ドライバー(!?)たちとの対談なども行なわれた。若きドライバーとアッキーナ、どのような話で盛り上がったのか?この模様は12月10日発売の交通タイムス社発行の「XaCAR 86/BRZマガジン」で紹介されるということなので、そちらも合わせてチェックしてみてほしい。
順位 | Car No. | 車両 | ドライバー |
---|---|---|---|
1位 | 962 | TR with COLLARS86 | 織戸 学 |
2位 | 7 | P.MU RACING 86 | 山野 直也 |
3位 | 92 | コウベトヨペット86 | 谷口 信輝 |
順位 | Car No. | 車両 | ドライバー | 合計 ポイント |
---|---|---|---|---|
1位 | 7 | P.MU RACING 86 | 山野 直也 | 105 |
2位 | 37 | ケンダタイヤ86 | 蒲生 尚弥 | 63.5 |
3位 | 100 | N1TechポテンザWIN86 | 富澤 勝 | 55 |