ダカールラリー2013

国内外の厳しい訓練を経て、更に強いチームになったTLC昨年の雪辱を晴らすべく、首位奪還をねらう! 林代表・森監督

勝つために何をすればいいのかという目的意識をしっかりもっている

チーム代表:林 正敏

チーム代表:林 正敏

―初のダカールラリーとなりますが、本番に向けての意気込みをお願いします。

前回まで続いていた7連覇が途絶えまして、2013年はその雪辱を果たすためのラリーになります。1度負けたことで、国内外の厳しい訓練を経てチームワークもしっかりしてきました。個人それぞれが自分の役割を再認識して、勝つために何をすればいいのかという目的意識をしっかりもっている。さらに強いチームになったと思っています。もちろん若干のプレッシャーは感じておりますが、きっといい結果を出してくれると今は信頼していますね。

―テスト等には帯同していらっしゃるのですか?

先日のフランスで行なわれたシェイクダウンにも行きましたし、ファラオラリーへも行きました。現場で見ていると、例年以上に勝つための目的がチーム全体でひとつになっていると感じます。

―チームの雰囲気についてはどうご覧になりますか?

本来であれは社員ナビゲーターがひとりいる予定でしたが、勝ちを狙っていくためには少々ハードルが高い部分もあり、チーム編成を変えたこともありました。そういうなかでは時間的にも厳しい状況であったのですが、それぞれが自分の役割についてあらためて見つめ直してもらったので、それをきっかけにチームは結束を強めていると思います。

―100%バイオディーゼルでダカールを走る、その意義とは何でしょう。

我々も環境という領域を非常に重要視しております。ひとつは、環境にも配慮したレースをしているということをみなさんに知っていただきたい。もうひとつは、ラリーでどこまで100%ディーゼルが使えるかということを精査したい。実戦を通じて今後の発展に結びつけばと思っております。また、廃てんぷら油などを集めていただく過程で、地域の輪ですとか、いろんな方の輪ができますよね。社員にも廃油を提供してもらっていますが、そういう中でダカールについての関心が広まったり、そういう輪が広がったと、いまは感じています。

―今大会の目標をお聞かせください。

目標は首位奪還です。そのベースとなるもののひとつは、安全性、信頼性、走破性に優れたランドクルーザー。加えて、チームメンバーのスキルとチームワーク。そしてファンの皆さんのご声援ですね。この3つの柱で首位奪還を目指して戦ってまいりますので、ぜひ熱いご声援と温かいご指導をお願いします。

自分の役割だと思っていることを全うしてほしい。

チーム監督:森 達人

チーム監督:森 達人

―前回大会の流れと、改めて今大会に臨む意気込みをお聞かせください。

勝利が簡単ではないということを再認識させられたなと思います。心の中に隙があると、即座に結果にでてしまうなと思いました。私はTLCに来る前にはハンドボール部のコーチをやっていたのですが、当時は『常に勝つ』というチャレンジャー精神を持ってやっていた。その頃の気持ちを忘れていたなと。人の慣れとはおそろしいものですね。勝ち続けることが非常に難しいというのは、報道で見たり本を読んだりしてはおりました。ですが、実際これまでは幸運なことにそういう経験がなかったのです。それを実際に経験して、やはりそうだなと強く感じました。今回はイチからスタートとなりますが、次に前回と同じような状況になった時も、失敗せずに7連覇を達成できそうなチームができるのではないかと。そのスタートの年にしたいなと思います。

―チーム編成についてはいかがでしょう。

今年の選手選択については私が行いました。さきほど林も申しましたとおり、新人をデビューさせるという年でした。しかし、勝つという目標に向かう場合、新人ナビゲーターがごく短期間で三橋淳やニコラ・ジボンの横に乗って、ナビゲートできるレベルまでいかなければならない。つい昨日まで普通の社員だった若者が、まして世界一を決めようという大会で、その責任を背負わねばならないというのはいささか酷かなという部分もありまして。2012年の2号車をドライブした寺田昌弘さんも社員ナビの育成に協力していただき感謝しているのですが、やはり勝つために必要なチーム編成を考えた時、ニコラ・ジボンという選択肢があるならばそちらを選ばざるを得ません。そこに乗せるナビゲーターとなると、3年間一緒にやって優勝も経験している三浦がいます。三浦はトヨタ車体の社員ではありますが、ダカール出場の経験を活かして、現在は別の部署で仕事をしております。それを呼び戻すわけですから、本人や会社の協力がなければできません。本人も勝つということを承知してくれ、また、会社も理解を示してくれたおかげでこういう編成ができるのです。だから、絶対に結果を残していきたいと思っています。

―社員ナビの育成については中長期的な計画はありますか?

新人ナビゲーターにまず必要なのは、目的意識とモチベーションだと思うんです。世界でトップレベルになるには、普通の社会で生きている以上に、研ぎ澄まされた感性というか、努力と忍耐力も必要になってきます。まずは心の強さがないとできないものですから。そこを新人ナビゲーターや社員が来たら教えたいのです。それができれば、スキルは後からついてくるものだと思いますので。なかなか1年単位の短い時間ではできない部分なので、そこを業務やトレーニングのなかで磨いてやって、できたら1年トレーニングして、まずは完走、その次はナビゲートができるようになればいいなと思っています。

―トヨタ自動車から社員メカニックの方が参加されていますね。

実は昨年、ダカールとはどういうものかと車両実験部の方が現場に視察にみえたんですよ。それで、実際のランドクルーザーの使われ方を見て、ひとり派遣させていただきたいということになりまして。車両の開発に活かすことができればいい循環ができますし、こちらも実験部の意見やアドバイスをいただいたりとか、その輪が今後も大きく広がっていけばいいなと思っています。

―戦術等については作戦がありますか?

実際には本番のコースは分からないものですから、ドライバーはコースを見て自分で判断できます。それと、一番は焦らないこと。スピードでタイムが短ければ勝つ競技ですが、焦って埋まってしまっては意味がない。遠まわりでも確実性を優先した判断がきちんとできるようにしてほしいなと。チームで勝つという目標がありますが、それ以外は細かく指示したりしません。そのなかで自分の役割だと思っていることを全うしてくれればいいと思います。それがしっかりできるチームですし、それをやれば勝利に繋がることは全員が自覚しています。それはぶれないようにやっていければと思います。

―改めて目標と、応援してくれるファンにひと言お願いします。

まず勝つのは当然として、いい勝ち方をしたいというのがあります。チーム全員が真剣に取り組んで、妥協することなく戦ってゴールした時、自然とチームメンバー同士が讃え合うようなフィニッシュを迎えられたらいいなと思っています。また、応援してくださるファンの皆様にも、なにかに向かってチームが一丸となって取り組み、それを成し遂げる素晴らしさを共感していただいて、応援していただけるように、全力でやっていきたいと思います。