ダカールラリー2013

2011年チャンピオンが目指すのは、市販車部門首位奪還! 1号車 三橋・アランペア

砂丘という未知の世界を走っていくところも、ダカールラリーならではのポイントだと思います。

1号車ドライバー:三橋 淳

1号車ドライバー:三橋 淳

―いよいよダカールです。現在の心境を伺えますか。

あと2週間で出発ですが、あと2週間しかないんだという感じですね。実は色々やらなければならないこともありまして、少し慌ただしく過ごしています。本番はスッキリした気持ちで臨みたいですね。

―前回の大会を振り返っていま思うことはありますか?

話は前回のダカールの前のファラオから続いているんです。総合2番手をずっと走っていて最終日にマシントラブルでリタイアしたのですが、その時はけっこう攻めて走っていました。結局はマシンが壊れてしまったのですが、攻めて走った結果なので、僕がクルマを壊してしまったのかなと疑心暗鬼になっていたんです。その後ダカールラリーが始まってからも、不運がいっぱいありました。たとえばラジエタートラブル。1回目はふたりでリカバーできたのに、2回も連続で起こってしまった。それで、自分の走りに問題があるのではないかと疑心暗鬼に陥っていたんですよ。でも先日のファラオラリーで原因がはっきりしたんです。そこで、僕は僕の走り方をすればいいんだと分かった。それだけでもすごくスッキリしましたね。

―マシンについて昨年との変更点はありますか?

不具合の対策をしたくらいで、特に大きな違いはありません。ですから、ライバルとの差はこれまでよりも小さくなっているのではと思います。ライバルたちは年々改良を続けてきているうえにコースも短くなってきているので、ランドクルーザー200の優位性を示すことが難しくなりつつあることは確かですね。

―市販車部門で参戦することの難しさとはなんでしょうか?

クルマは市販車をベースにしているものですので、プロトタイプのマシンに比べたら速くはないわけです。そして、強くもないわけです。そこを保たせながら、なおかつ速く走るというところですね。いまや市販車部門でも、壊れてリタイアするようなところは少ないんですよ。どんどんマシンが熟成していくので、前がリタイアするのを待って上位に残るような戦い方はもうできないんです。だから速く走らなければなりませんが、トラブルは速く走ろうとする中で起きるんです。攻めすぎたら壊れてしまうし、ゆっくり走っていたらライバルには勝てません。その境界線が非常に難しいクラスだと思います。

―前回のダカールを終えてからチームの雰囲気は変わりましたか?

現場はあまり変わりませんが、トヨタ車体としては逆に盛り上がっている感じはありますね。非常に活気が出てきていると思います。

―日頃のトレーニングはどういったことをやっていらっしゃいますか?

基本的にはランニングやマウンテンバイクといった、持久力をつけるトレーニングを中心にやっています。それと、夏にけっこう根を詰めて合宿トレーニングをするので、そこでガッチリ鍛え上げて、あとはそれを維持するという感じですね。

―今回のルートでポイントになりそうなのはどこでしょう。

前半の軟らかい路面もそうですし、アルゼンチンの後半セクションも難しいと思います。ランドクルーザーが得意とする硬い路面は距離が短いので、その砂丘エリアでいかにロスせずに走るかというのがポイントになると思いますね。砂丘も標高が高い山に砂が乗っているので、非常にトリッキーですね。

―2号車としてニコラ選手、三浦選手が加わりました。その面での変化はありますか?

2号車ドライバーが誰でも、基本的には自分の力で勝つというスタンスで臨みます。誰かを頼るということを考えていては勝てないと思うので、自分の力で勝つつもりで走ります。ただ、あのふたりは人の幸運を奪い取る力があるので、運を吸われないようにしたいなと思います(笑)。

―ファンの方にメッセージをお願いします。

日本ではオンロードとオフロードのモータースポーツを分ける傾向がありますが、世界では『モータースポーツはモータースポーツ』という大きな枠で考えられています。ダカールラリーには元F1ドライバーやWRCドライバーも出ていますし、スキーヤーたちも出場するような、カテゴリーの垣根がない面白さがあります。GAZOOのウェブサイトをご覧になる方はサーキットレースのファンの方が多いと思いますが、そういう目で見ていただけるといいのではと思います。砂丘という未知の世界を走っていくところも、ダカールラリーならではのポイントだと思います。

自分たちの戦いをしっかりと組み立てていけば、お互い上位に出てくるというのは分かっています。

1号車ナビゲーター:アラン・ゲネック

1号車ナビゲーター:アラン・ゲネック

―三橋選手はどんなドライバーでしょうか。

私はこのチームに来るまで、ほとんどプロトタイプのチームで戦ってきました。ですから、三橋選手が市販車部門で最初のドライバーです。他のドライバーとの比較は難しいですが、見た感じでは市販車クラスのクルマも運転できますし、プロトタイプのクラスでも通用するドライバーだと思っています。

―コンビネーションについてはいかがでしょう。

彼とのコンビネーションについても、これまでは問題なく来ていますから、これからも変わる理由はないと思いますよ。

―2号車としてニコラ選手、三浦選手が加わりましたね。

チームとして、同じ競技者として考えた場合にはお互いの経験など、いろんな意味で有利に働く部分もあるかと思います。ただレースの本番では、自分たちの戦いをしっかりと組み立てていけば、お互い上位に出てくるというのは分かっていますから。あまり意識せずに、自分たちのレースをして行くというのが一番いいと思っています。パーツを壊して予備が無くならないように気をつけるのはお互い様ですね(笑)。

―ファンの方にメッセージをお願いします。

『トヨタ』という広い意味では、市販車部門ではどこのチームが勝ってもトヨタ車が勝つことになると思います。でも、どのチームのトヨタが勝つかが重要ですよね。できればドライバーが日本人で、ナビゲーターがフランス人のチームをなるべく応援するようにしてください。せっかく勝つなら、日本人のドライバーの方がいいでしょう?(笑)