スーパー耐久2013

またも悪天候の九州オートポリス!2013年シーズンを締めくくる42台の真剣バトル!九州での2回目の開催となるスーパー耐久レースは、昨年同様の短縮レースに スーパー耐久シリーズ2013 第7戦 スーパー耐久レースinオートポリス 2013年11月9日(土)・11月10日(日) オートポリス

「昨年と全く同じ状況だよ」。パドックのあちこちから、そんな会話が聞こえてきた。2012年のここオートポリスでの最終戦と同じ、激しい雨と濃い霧に覆われた決勝日。一時は決勝レースの開催も危ぶまれたが、最低5周のセーフティーカー(SC)ランを行い、2時間の短縮レースになることがアナウンスされ、SCが隊列を先導したまま14時にレースはスタート。1周目の終了時、ほとんど全車と思えるくらいのマシンがピットになだれこんでくる。霧は依然として濃く、いつ赤旗が振られてもおかしくない状況。5周のSCランの後、レースが終了になる可能性があるので、ほとんどのチームが、義務づけられている2回以上のドライバー交代を一気に済ませてしまおうと考えたからである。その翌周に続けてピットインするマシンも多く、ピットの混乱は続く。順位は全クラス入り乱れての大シャッフル状態に。結局、1回目のSCランが解除される17周まで、レースはほとんど動かなかった。

今回のレースの見どころは、今シーズン未勝利ながら4度目のポールポジションを獲得した、最高峰GT3クラスの81号車GTNET ADVAN NISSAN GT-R(青木孝行/星野一樹/尾本直史)と、スポット参戦ながら2番手スタートの555号車 マッハGOGOGO車検GT-R(玉中哲二/山野直也)によるマッチレース。これまでのGT3クラスはPETRONAS SYNTIUM TEAMの2台のSLSが全レースを制してきた。それだけに81号車GT-Rがなんとか一矢報いようとしていたのは想像に難くないし、555号車GT-Rもそんな状況を一気にひっくり返そうとしてエントリーしたのではないか。レース中盤になると、チーム内でほぼタイトルを手中にしているSLS勢は手堅く順位をキープする作戦に。レース後半は意地を張り合う2台のGT-Rによるマッチレース。徐々に雨脚が弱まり、81号車GT-Rが1.5秒差までグングン差を詰めるが、2時間が経過し、555号車GT-Rがトップチェッカーを受けた。今季初となるGT-Rの優勝は、2台の激しいライバル心があったからこそ、達成できたのかもしれない。

555号車GT-Rと81号車GT-Rの息詰まるバトル。悪コンディションの中、戦った2台の健闘は称賛に値する
555号車GT-Rと81号車GT-Rの息詰まるバトル。悪コンディションの中、戦った2台の健闘は称賛に値する
表彰台ではお互いの健闘をたたえ合う。ドライバーたちの笑顔で、セレモニーは締めくくられた
表彰台ではお互いの健闘をたたえ合う。ドライバーたちの笑顔で、セレモニーは締めくくられた

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ST-4クラスを活性化させた86エントラントの増加 最終戦の各チームの戦いぶりは?

オートポリスにも、86号車GAZOO Racing TOYOTA86(影山正彦/井口卓人)を含む4台の86が元気な姿を見せた最終戦。ST-4クラスのチャンピオンはすでに41号車S2000に決定しているが、86勢はどのチームも非常にモチベーションが高い。4台の86がフルシーズンを戦った今季、各チームとも1つでも上の順位でフィニッシュしたいのはもちろんだが、少しでも走り込んでデータを取り、来季につなげたいという思いがあるのだろう。

86勢の予選トップは、番場琢選手と、第3戦以来のエントリーとなる服部尚貴選手がコンビを組んだ52号車埼玉トヨペットGB with Revoでクラス7番手。すぐ後ろに13号車ENDLESS DIJON ADVAN SAYAMA(Takamori博士/村田信博)が8番手につけ、ホンダ勢の間に割ってみせた。専有走行でクラストップタイムの86号車86は、予選でクリアラップをとれず12位。18号車コスモソニック・FK・ings・FT86(浅野武夫/中島佑弥/西村和則)はグリッド最後方からのスタートとなった。

決勝レースは、ミスなくまとめ切った52号車86が3位に入り、今季3回目となる表彰台を獲得。86号車86は井口選手が後方から怒涛の追い上げを見せ、一時は2番手まで上がったが、アクシデントで悔しいリタイア。13号車86は村田選手が粘りの走りを見せ5位、最後尾からスタートした18号車86は10位だった。これで86のデビューシーズンが終了。13号車86と86号車86がそれぞれ1勝をあげるという上々の結果に、各チームは十分な手応えをつかんだ様子。来シーズンへ向けての、期待を感じさせる言葉が各チームから聞こえてきた。

トップのテールまで見えていた井口選手。リタイアした悔しさは、来年に必ず晴らす
トップのテールまで見えていた井口選手。リタイアした悔しさは、来年に必ず晴らす
開幕から速さを発揮し、話題を提供した埼玉トヨペットチーム。来年も引き続き86で参戦する予定
開幕から速さを発揮し、話題を提供した埼玉トヨペットチーム。来年も引き続き86で参戦する予定

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GT3クラスは1号車SLS、ST-2は59号車インプレッサがチャンピオンの座に

ここ最終戦でGT3クラスとST-2クラスのチャンピオンが決定した。まずGT3クラスのチャンピオンは1号車PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3(Melvin Moh)。チームメイトの28号車PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3(Fariqe Hairuman)との争いだったが、手堅く2時間を走り切り5位に入ってタイトル確定。

レース前のポイントでは1号車SLSが28号車SLSをリードしていて、タイトル獲得は堅いと思われていたが、1号車SLSのエース谷口信輝選手の欠場が発表され、戦力ダウンは否めない状況に。一方、28号車SLSは片岡龍也選手を含む、3人のレギュラードライバーが顔をそろえており、レースの行方によってはまさかの大逆転劇があるかもという中でのタイトル獲得だった。

また、ST-2クラスは59号車STURM・MOTUL・EDインプレッサ(大澤学)が優勝し、20号車RSオガワADVANランサー(大橋正澄)を逆転してタイトル獲得。今シーズン、全国のサーキットで激しい戦いを繰り広げてきた2台の4WD対決に注目が集まったが、緊迫感溢れるマッチレースの末、予選1位からスタートした59号車インプレッサが、2番手からスタートした20号車ランサーをしりぞけ、見事トップチェッカーを受けた。

2013年スーパー耐久レース・シリーズチャンピオン

GT3; 1号車PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3(Melvin Moh)
ST-1; 9号車Faust Racing Team(堀主和ロバート)
ST-2; 59号車STURM・MOTUL・EDインプレッサ(大澤学)
ST-3; 80号車PETRONAS TWS GS350(佐藤晋也)
ST-4; 41号車TRACY SPORTS ings S2000(植松忠雄)
ST-5; 19号車BRP☆HYPER ECU C72制動屋J'Sフィット(奥村浩一)

1号車PETRONAS SYNTIUM TEAMは昨年に引き続きタイトルを獲得。終わってみれば最終戦以外は2台のSLSの完勝
1号車PETRONAS SYNTIUM TEAMは昨年に引き続きタイトルを獲得。終わってみれば最終戦以外は2台のSLSの完勝
今シーズン3勝し、ST2クラスのタイトルを決めた59号車インプレッサ。20号車ランエボとの戦いは手に汗握るものだった
今シーズン3勝し、ST2クラスのタイトルを決めた59号車インプレッサ。20号車ランエボとの戦いは手に汗握るものだった

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山野直也選手と佐々木孝太選手が参戦! 多くのファンを魅了する

今シーズン9号車Faust Racing TeamからST-1クラスにエントリーしていた山野直也選手。今年から始まったGAZOO Racing 86/BRZ Raceの初代チャンピオンとしてもおなじみだが、9号車のST1クラスタイトルはすでに確定し、最終戦に参加しないため、昨年同様、地元九州のTEAM MACHから、555号車 マッハGOGOGO車検GT-Rを駆り、GT3クラスにスポット参戦した。

山野選手は1週間前に、ツインリンクもてぎでのGAZOO Racing 86/BRZ Raceの最終戦を戦ったばかり。車体もエンジンも全く違うマシンを週替わりでドライブする難しさについて聞いてみると「クルマが違っても、運転の仕方にさほど大きな違いはありません。セッティングについてもクルマの良いところを伸ばし、悪いところは消すだけで、そのやり方に違いがあるわけではありません」とさらり。その言葉通り、ドライバーもマシンも好調のようで、予選で圧巻の2番手を獲得。決勝ではスタート直後のピットインで順位を落とすが、そこから追い上げを見せ、あれよあれよという間にポジションを回復。それまでGT-Rがなし得なかったSLSを下しての優勝を果たしたのだ。TEAM MACHは昨年のフェラーリ458イタリアでの優勝に続く2連勝。山野選手のうまさが目立ったレースだった。

また、今回はスーパーGTのGT300クラス(SUBARU BRZ R&D SPORT)で、今季優勝1回、ポール5回を獲得した佐々木孝太選手が第5戦の岡山以来となる39号車TRACY SPORTS IS350で参戦。佐々木選手自身、最近のクルマが多く走るST-3クラスが好きということで、ISでのレースを楽しんでいた。佐々木選手はピットウォークでも人気者。多くのファンからのサインの求めに応じていた。

今シーズンは、スーパー耐久&GAZOO Racing 86/BRZ Raceに加えて、全日本ジムカーナにも参戦
今シーズンは、スーパー耐久&GAZOO Racing 86/BRZ Raceに加えて、全日本ジムカーナにも参戦
佐々木選手は、スーパーGT用とスーパー耐久用の2タイプのサインを用意。ファンに自由に選んでもらい、サインに応じていた
佐々木選手は、スーパーGT用とスーパー耐久用の2タイプのサインを用意。ファンに自由に選んでもらい、サインに応じていた

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地元九州・井口卓人応援ブース&専用シートがオートポリスに出現

GAZOO Racingのドライバーを務める井口卓人選手の地元は福岡県の柳川市。今回の会場であるオートポリスからもそう遠くないとあって、井口選手のファンクラブ「Monkey Boy's」が中心になってさまざまな仕掛けが行われた。

グランドスタンド裏のイベントスペースに、ファンクラブのブースが出現。入会受付や井口選手のトークショーが行われた他、パーソナルスポンサーであるポップコーン専門店「Jerrys popcorn」の即売会を実施。キャラメル味を実際に試食してみたが、口の中にほんのり広がる甘さが特徴で、なんとも言えず美味。6つの味を楽しめるお楽しみセットもあり、ファンたちのお腹を満たしていた。

また、井口選手自身が観光大使を務める柳川市のブースも出展。町ぐるみでモータースポーツを盛り上げるプロモーションを行っていて、井口選手のヘルメットやトロフィー、写真の展示などの他、柳川市の魅力をアピールしていた。さらに、決勝日にはファンクラブ企画の井口選手応援バスツアーに100名以上が来場され、グランドスタンドの井口選手応援席でレースやイベントを楽しんだ。この応援席は、井口選手のグッズ(A4クリアファイル)とGAZOO Racingのグッズ(トートバック&ステッカー)がもらえる大変お得なチケットで、あいにくの雨ではあったが、地元の雄である井口選手の活躍を一目見ようと多くのファンが集結。決勝レース前には井口選手本人によるあいさつや、サイン会などのファンサービスも行われた。

井口選手のファンクラブブースも盛り上がる!前列右が井口選手のお父さん
井口選手のファンクラブブースも盛り上がる!前列右が井口選手のお父さん
応援席の前で行われたサイン会の様子。たくさんのファンが列をつくった
応援席の前で行われたサイン会の様子。たくさんのファンが列をつくった

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GAZOO Racing SPIRITチームマネージャーが振り返る1年

GAZOO Racing SPIRITを支えるチームマネージャーの渡部さん。スタッフ全員のホテルの手配、移動手段の確保などの事前の準備から、現場でのホスピタリティ設営など、チーム運営に関するあらゆる裏方を切り盛りする、縁の下の力持ちである。2013年のスーパー耐久レースも早いもので最終戦。渡部さんにマネージャーの視点で今シーズンを振り返ってもらった。

「印象に残っているのはやはり優勝した第5戦の岡山ですが、チームマネージャーとしては、2カーエントリーで臨んだ第4戦の富士がお客様、スタッフとも多く大変でした」と渡部マネージャー。富士ではGAZOO Racingのホームコースということもあり、初めての手作りケータリングサービスにチャレンジ。チームのご家族からも助っ人が参戦し、カツカレー、そうめん、天丼…と日替わりでメニューを変える力の入りよう。シリーズで最も長い7時間レースでベストを尽くせるようにという思いからだが、ドライバーやメカニックにはすこぶる好調だった。またWTCCとの併催で行われた第6戦の鈴鹿では、ピットを2チームでシェアするため、非常に気を遣いながらのホスピタリティ運営だったことも話してくれた。

さらに「岡山でチームの雰囲気が変わりました。目標が86勢のトップから、クラストップへと変わったのだと思います」という興味深いコメントも。結果として、チームは感動の初勝利を手にしたわけだが、その勝因のひとつを物語るエピソードだ。クルマだけではなく、チームも1年間を通して成長しているのだ。

渡部さんが白板に書き込むタイムスケジュールは、チームにとって欠かせない情報だ
渡部さんが白板に書き込むタイムスケジュールは、チームにとって欠かせない情報だ
富士でのケータリングは、チームスタッフの家族も加わっての一大イベントに。レトルトカレーでお腹を満たした
富士でのケータリングは、チームスタッフの家族も加わっての一大イベントに。レトルトカレーでお腹を満たした

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2013年のスケジュール無事終了!来年もサーキットでお会いしましょう

まさかの大雪による開幕戦の中止からスタートした2013年のスーパー耐久も、
無事全スケジュールを終了。86をはじめとするニューマシンの登場により、エントリー台数も増え、
非常に盛り上がったシーズンだった。まだスケジュールは発表されていないが、来年の開幕戦の顔ぶれが楽しみ。
サーキットに詰めかける多くのファンからもまた笑顔が溢れるだろう。

決勝結果

総合優勝

順位 Car No. 車両 ドライバー
1位 555 マッハGOGOGO車検GT-R 玉中哲二/山野直也
2位 81 GTNET ADVAN NISSAN GT-R 青木孝行/星野一樹/尾本直史
3位 28 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3 片岡龍也/Jono Lester/Fariqe Hairuman

各クラス優勝

クラス Car No. 車両 ドライバー
GT3 555 マッハGOGOGO車検GT-R 玉中哲二/山野直也
ST-1 - -
ST-2 59 STURM・MOTUL・EDインプレッサ 澤学/吉田寿博/松田晃司
ST-3 80 PETORONAS TWS GS350 佐藤晋也/吉本大樹/脇阪薫一
ST-4 40 車買取りHERO'S S2000 井入宏之/平峰一貴/Sarbjit Singh
ST-5 19 RP☆HYPER ECU C72制動屋J'Sフィット 奥村浩一/古宮正信/恩塚将一

ST-4  リタイア

ST-4 86 GAZOO Racing TOYOTA86 影山正彦/井口卓人

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