スーパー耐久2013

やっぱりレースは楽しい!待ち焦がれた開幕戦 スーパー耐久シリーズ2013 第3戦もてぎスーパー耐久 5hours ROAD 2013年7月20日(土)・21日(日) ツインリンクもてぎ

大雪で中止になった開幕戦菅生から韓国・インジェでの第2戦を挟んで約3か月。ようやくこの日がやってきた。天候は予選・決勝日ともに晴れ。2012年の最終戦も悪天候にたたられたので、国内では3戦ぶりに、待望の完全ドライコンディションでのレースとなった。

決勝レース。ポールポジションの24号車スリーボンド日産自動車大学校GT-R(藤井誠暢/千代勝正/GAMISAN)がトラブルでピットアウトできず、不本意なピットスタートに。予選2位から順当なスタートを決めた81号車GTNET ADVAN NISSAN GT-R(青木孝行/星野一樹/尾本直史)がトップを走るが、後続をなかなか引き離せない。スタートから2時間を経過すると、トラブルフリーで周回を重ねる28号車 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3(片岡龍也/Jono Lester/Fariqe Hairuman)がその存在感を見せ始める。トップは3号車ENDLESS・ADVAN・PORSCHE(峰尾恭輔/谷口行規/TOSHI ARAI)だが、61周目。28号車SLSがついに3号車ポルシェをV字コーナーでパス。トップに躍り出る。その後ライバルのペースダウンやスピンでの後退などがあり、4時間経過の時点では28号車SLS、1号車 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3(Dominic Ang/Melvin Moh/谷口信輝)のワンツー態勢に。その後、レースはこう着状態になり、チェッカーの5分前まで誰もが28号車SLSの勝利を疑わなかった。しかし、残り4分、なんと28号車SLSが90度コーナーでコースアウト。これで1号車SLSがトップに立ち、そのままチェッカーとなった。波乱はST-4クラスにも。チェッカーまで残り3分というところで、ST-4クラスのトップを走る41号車TRACY SPORTS ings S2000(植松忠雄/筒井克彦/井入宏之)を58号車ウィンマックスTEINワコーズKRP☆DC5インテグラ(小林康一/関豊/ピストン西澤)が豪快にパス。感動のチェッカーとなった。

この日のレースを待ち焦がれただけにチェッカー後の皆の思いはひとつ。「やっぱりスーパー耐久は楽しい」。その一言に尽きる。公式発表によると決勝当日の入場者は6000人ということだが、実数以上に多く感じられた真夏のもてぎラウンドだった。

GT3クラスは4台がコース上で順位を入れ替える大接戦。ファンを飽きさせないレースとなった
GT3クラスは4台がコース上で順位を入れ替える大接戦。ファンを飽きさせないレースとなった。
41号車S2000との差をじわりじわりと詰めて最後は抜き去った58号車インテグラ。あきらめずに最後まで戦った成果だ。
41号車S2000との差をじわりじわりと詰めて最後は抜き去った58号車インテグラ。あきらめずに最後まで戦った成果だ。

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待ちに待った新車投入! ホンダ勢の一角に食い込みクラス5位を獲得

GAZOO Racing SPIRITチームは今回から待望の新車を投入。新車はチームのニュルブルクリンク24時間レース参戦と並行して製作が進められ、富士スピードウェイでの2日間のテストを経て、今回の参戦となった。三塚監督は「軽くできたのが一番の武器。恐らく86勢の中で一番軽いのでは」とコメント。前戦まで戦っていたクルマから比べて70~80kg(!)も軽くなっているという。

予選はAドライバーの影山選手、次にBドライバーの蒲生選手の順でそれぞれ15分間のタイムアタックを行う。合算タイム4分27秒159でST-4クラスの9番手となった。「新車のポテンシャルを感じられただけに、セットアップが煮詰め切れないままのアタックになってしまったのが残念」と影山選手。86勢では52号車埼玉トヨペットGB with Revo(大井貴之/服部尚貴/脇阪寿一)に続く2番手だ。

明けて決勝日。決勝当日朝のウォームアップ走行で、影山選手が予選終了後に変更したセッティングを確認する。「昨日気になった点、不具合を手直しした。調子は上向いている」と影山選手。満タンでの感触も良好で、スタートドライバーを務める蒲生選手も期待を寄せる。スタート直後の混乱に巻き込まれることもなくST-4クラスの5~7番手、86勢のトップを走行。途中ジャンプスタートのペナルティを受けるも、その後はトラブルもなく順調に周回を重ね、順位も上っていく。スタートから約1時間半後、蒲生選手から影山選手へ。約1時間の走行後、再び蒲生選手が1時間半、最後は影山選手が最後の1時間を締め、クラス5位でチェッカー。ホンダ勢の一角に食い込んだ。

「昨年から86で戦ってきてやっとレースらしいレースができたなと思っています。トップ勢についていくにはまだまだ課題がありますが、新車のポテンシャルを確実に感じることができました。GAZOO Racingの一員として他の86と一緒にどんどんレベルアップしていきたいです」と三塚監督。次戦はGAZOO Racingのホームコース、富士スピードウェイだ。

蒲生選手も終始、順調なペースを刻む。高速コース富士での飛躍に期待したい。
蒲生選手も終始、順調なペースを刻む。高速コース富士での飛躍に期待したい。
チームを引っ張る、三塚監督(左)と影山選手(右)。次戦の富士スピードウェイに向けた秘策が2人にはある。
チームを引っ張る、三塚監督(左)と影山選手(右)。次戦の富士スピードウェイに向けた秘策が2人にはある。

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もてぎのコースとの相性は? 86勢は熟成が課題

開幕戦菅生同様、ここもてぎでも86号車GAZOO Racing TOYOTA86を含めて4台の86が集結。第2戦の韓国インジェでは13号車ENDLESS DIJON ADVAN SAYAMA(Takamori博士/村田信博/下田亮次)の村田信博選手がBドライバーレースで優勝したこともあり、86勢のパフォーマンスに注目が集まった。

パドックで最も注目を集めたのは、52号車埼玉トヨペットGB with Revo。菅生の予選では86勢のトップ、ST-4クラス全体でも4番手のタイムをマークし、引き続き好調を維持するのかが気になるところ。今回は大井貴之選手に加えて服部尚貴選手、脇阪寿一選手という超ビッグネームのドライバーがスポットで参戦。いやがおうにも初優勝への期待が高まる。

前戦のウィナーでもある13号車の村田選手は「油断はできません。もてぎのレイアウトに86がどうマッチするか気になります」とコメント。18号車コスモソニック・FK・ings・FT86(浅野武夫/中島佑弥/笠原智行)の浅野代表は「86で初めての長丁場」と緊張した面持ちだ。

フタを開けた予選。結論から言うと、まだまだ熟成段階というところ。ストップ&ゴーに特化したもてぎのコースレイアウトはホンダ勢に味方をし、低重心かつコーナリングスピードに優れる86勢にはやや不利に作用したようだ。86勢の予選トップは52号車で、ST-4クラス全体の7位、9位に86号車を挟んで10位に13号車、18号車は13位という結果になった。

決勝は13号車が86号車のすぐ後ろの6位、52号車が電気系トラブルを抱えつつも、粘り強く周回を重ねての11位。18号車はアクシデントでリタイア。3チームともこの経験を活かし、さらに熟成を進めていくと語ってくれた。次戦富士での活躍に期待したい。

86号車をのぞく3台の86はまだ1、2レースしか消化していない。今回のレースで貴重なデータがとれたはずだ。
86号車をのぞく3台の86はまだ1、2レースしか消化していない。今回のレースで貴重なデータがとれたはずだ。
52号車のピットはサインを求めるファンで行列が。服部選手、脇阪選手ともに今回のみの参戦とのこと。
52号車のピットはサインを求めるファンで行列が。服部選手、脇阪選手ともに今回のみの参戦とのこと。

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GAZOO Racingブースに未発表車「GRMN Vitz Turboプロトタイプ」が登場来場者の注目を浴びる

GAZOO Racingブースは今回、中央エントランスをくぐってすぐ右手のスペースにブースを出展。3台の車両を展示したが、その中でもひと際注目を集めていたのが「GRMN Vitz Turboプロトタイプ」。近々の登場が噂されているGAZOO Racingの手によるカスタマイズカー「GRMN」のヴィッツ版で、昨年のニュル24時間に86で参戦したトヨタ自動車のテストドライバー、勝又義信氏が開発ドライバーを務めるプロトタイプモデルである。このGRMN Vitz Turboはボディ剛性と軽量化のために、あえて日本には存在しない3ドアボディを採用!ヘッドライトも日本には存在しないヤリスハイブリッドと同じ物を装着し、迫力のエクステリアに仕上げている。エンジンは1.5リッターがベースだが、ターボチャージャーをドッキングし、152ps、21.0 kgf・mの高出力を実現。ベース車は存在しないが、スポーティグレードであるRSと比べると、パワーにして43ps(109ps→152ps)、トルクにして6.9kgf・m(14.1 kgf・m→21.0 kgf・m)の大幅パワーアップとなっている。今後GAZOO Racingが参加する様々なイベントで、実車を見ることができるだろう。

また、GAZOO Racingブースには開幕戦菅生に引き続き2人のGAZOO Ladyが登場。前回から参加の小嶋千尋さんに加え、今回から新たに黒須さおりさんが登場。2人はマイクを手にしてのブース紹介から、ブース内に用意されたGAZOO Racing86/BRZレースの表彰台に来場者と一緒に登っての記念撮影、ピットウォーク時のファンサービスと大忙し。「大雪で何もできなかった」(小嶋さん)開幕戦の悔しさと、「GAZOO Lady初仕事としてブースを盛り上げたい」(黒須さん)という言葉通りの大活躍だった。GAZOO Racingではこの他にも、21日の決勝日に「ワクドキ! ちょっとサーキットを走ろう」を南コースで実施。登場したばかりのレクサスISや86Racingを含め合計12台のレンタル車を用意し、84組限定でサーキット走行を体験してもらった。午前中の組は満員御礼となる盛況ぶり!参加者はそれぞれスポーツドライビングを楽しんだ。

BBS製の専用ホイールや、対向4ポッドキャリパーがスポーティな仕様になっている。
BBS製の専用ホイールや、対向4ポッドキャリパーがスポーティな仕様になっている。
小嶋千尋さん(左)と黒須さおりさん(右)。どちらもレースクイーンとしても活躍している、人気者だ。
小嶋千尋さん(左)と黒須さおりさん(右)。どちらもレースクイーンとしても活躍している、人気者だ。

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GAZOO Racing Vitzレース東北シリーズもここもてぎで開幕

GAZOO Racing86/BRZレースが先週の富士スピードウェイで開幕。82台のエントリーを集め盛大に開催されたことで大いに注目を集めたが、ここツインリンクもてぎではGAZOO Racing Vitzレースの東北シリーズが開幕。正確には第2戦なのだが、スーパー耐久同様、開幕戦の菅生が中止になったため、今回のもてぎが実質的な開幕戦となった。

パドックを練り歩いてみてビックリ。7月14日に富士スピードウェイで行われた86/BRZレースにも参戦し、今回のヴィッツレースにも参戦しているエントラントを発見。911号車KYC Vitz TRZで今季関東と東北シリーズ全戦に参戦を予定している横田剛さんに、改めてヴィッツレースの魅力について聞いてみた。
「ヴィッツレースはほんわかしているというか、皆でワイワイしながら楽しめるレースです。すぐに横のつながりで友人ができました。チームではなく個人で参加している人が多いのも特徴です。86はチーム単位で参戦している人が多いですね」と横田さん。また、これまでヴィッツレースに150戦以上参加し、オートポリスや十勝でも優勝経験のある16号車ADVICSヤサカVitzとまの橋本元さんは「ヴィッツレースの魅力はズバリ、同じクルマで競うところです。あと、改造範囲が非常に制限されているので、ドライバーの腕の違いが出やすいですよ」とコメント。夏本番を迎え、ヴィッツレーサーのパドックもますますホットになっている。

写真右が横田剛さん。左は中山にんに君さん。2人は7年前、ヴィッツレースのパドックで偶然知り合った。
写真右が横田剛さん。左は中山にんに君さん。2人は7年前、ヴィッツレースのパドックで偶然知り合った。
橋本さんは特定の地域に限定せずに、参加するレースを自由に選ぶのがスタイルだ。
橋本さんは特定の地域に限定せずに、参加するレースを自由に選ぶのがスタイルだ。

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学生が参加する24号車R35GT-Rの活躍とニューマシン・アウディR8の参戦

残り4分でのトップ交代により1号車PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3(Melvin Moh /Dominic Ang/谷口信輝)がウィナーになったGT3クラスだが、実は今回、GT3クラスに関して2つのトピックがあった。1つ目は24号車スリーボンド日産自動車大学校GT-R(藤井誠暢/千代勝正/GAMISAN)のポールポジション獲得。24号車のBドライバー、千代勝正選手がGT3クラス唯一の1分51秒台突入を果たし、全体での最速をマーク。開幕戦菅生でポールポジションだった81号車GTNET ADVAN NISSAN GT-R(青木孝行/星野一樹/尾本直史)を合算タイムで逆転したのだ。

この24号車GT-Rは、スリーボンドとKONDO RACING、日産自動車大学校の三者のコラボレーションによって成り立っている。若者のクルマ離れを食い止めるために始めたプロジェクトということだけあって、メカニックをはじめとするチーム運営には日産自動車大学校に在籍する多くの生徒が参加している。「レースに勝つことが参加の目的ではない」とは学校関係者のコメントだが、実際に参加している学生はやっぱりうれしかったというのが本音だろう。決勝は残念ながらスタート直前のトラブルでピットスタートとなり、その後もなかなか順位を上げることができなかったが、104周目に意地のファステストラップをマーク!ドライバーは最後まであきらめないということを学生に伝えたかったのかもしれない。

2つ目は、今季初参戦となるアウディR8(8号車もり山R8 LMS ultraからあげ 湯澤翔平/渋谷彰良/荒聖治)の初参戦。ご存じの通り、荒選手はアウディでル・マン24時間レースを制しており、同じアウディでの参戦はパドックの話題に。荒選手は「R8はとってもバランスの良いクルマ。チームワークを活かしてきっちり5時間を走り切りたい」とコメント。その言葉通り、きっちり完走で締めくくった。

日産自動車大学校に在籍する学生で、チームの広報担当、高瀬裕基さん。
日産自動車大学校に在籍する学生で、チームの広報担当、高瀬裕基さん。
アウディR8のロー&ワイドなフォルムはコース上でも映える。次戦までの熟成が楽しみな存在だ。
アウディR8のロー&ワイドなフォルムはコース上でも映える。次戦までの熟成が楽しみな存在だ。

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決勝結果

総合優勝

順位 Car No. 車両 ドライバー
1位 1 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3 Melvin Moh /Dominic Ang/谷口信輝
2位 28 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3 片岡龍也/Jono Lester/Fariqe Hairuman
3位 81 GTNET ADVAN NISSAN GT-R 青木孝行/星野一樹/尾本直史

各クラス優勝

クラス Car No. 車両 ドライバー
GT3 1 PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3 Melvin Moh /Dominic Ang/谷口信輝
ST-1 9 Faust Racing Team 堀主和ロバート/佐藤茂/山野直也
ST-2 59 STURM・MOTUL・EDインプレッサ 大澤学/吉田寿博/松田晃司
ST-3 80 PETRONAS TWS GS350 佐藤晋也/脇阪薫一
ST-4 58 ウィンマックスTEINワコーズKRP☆DC5 小林康一/関豊/ピストン西澤
ST-5 36 エンドレスアドバントラストヴィッツ 後藤比東至/井尻薫/木村正治

ST-4 5位

ST-4 86 GAZOO Racing TOYOTA86 影山正彦/蒲生尚弥

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