スーパー耐久2013
秋晴れの鈴鹿に集まった3万人に笑顔が溢れた。クルマの格闘技」FIA世界選手権WTCCと、S耐史上初の超濃密40分3本勝負 スーパー耐久シリーズ2013 第6戦、 2013年9月21日(土)・22日(日) 鈴鹿サーキット
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第5戦岡山で念願の初勝利を飾った86号車 GAZOO Racing TOYOTA86は、ここ鈴鹿でも好調。チームを率いる三塚監督も「順当に行けば1、2位を狙えるポテンシャルがあると思います」と自信を見せる。
土曜日に行われた予選は、Aドライバーの影山正彦選手がセッション中の赤旗中断により、満足なアタックができず6番手に終わるが、Bドライバーの井口卓人選手はきっちりアタックを行ない2番手に。合算タイム4分46秒853でクラス2位の好位置につけた。特別ルールにより第1レースと第3レースは2位から、第2レースは6位からのスタートとなる。三塚監督は第1レースと第3レースに井口選手、第2レースに影山選手を指名。「40分の短いレースなので、序盤の1~2周が勝負。コーナーで前に出ないとチャンスはない」と監督は続ける。
第1レースは井口選手が無難なスタートを決め、1周目を2位で終える。前を行く41号車TRACY SPORTS ings S2000(井入宏之)との差は徐々に広がり、このまま後方を抑えれば2位でチェッカーとなるが、セーフティカーの導入により、後続車へのリードが帳消しとなり、SC解除になった周に58号車ウィンマックスTEINワコーズKRP☆DC5(関豊)にパスされて3位でチェッカー。
第2レースは6番手からスタートした影山選手が1周目からホンダ勢とのバトルを繰り広げ、5位でチェッカー。途中333号車オートバックス.GLORY-R.F.N.2(野間一)をしとめてのポジションアップだった。「86勢のトップを守れてよかった」とは影山選手の正直な気持ちだろう。
第3レースは井口選手がスタート直後から41号車S2000(長野賢也)との差をグングン詰め、2周目からは完全にテールトゥノーズとなる。そして「狙っていた逆バンク」(井口選手)で、41号車S2000のインに飛び込む。「行けー」と叫ぶピットの三塚監督。誰もがモニターに釘づけになったが、オーバーテイクにはあと数メートル、いや数センチ足らず、トップ奪取は果たせず。その後は後方をしっかり固めての2位。1戦ごとに確実にレベルアップを果たしているのは間違いなく、今後のレースに十分な期待を持たせるものであった。尚、41号車S2000はレース1~3すべてを制し、ポイントリーダーの貫禄を見せた。
スーパー耐久シリーズ初となるドライバーチェンジなしのスプリント3レース開催。1レースあたりの走行時間はわずか40分で、GT3クラスで20周弱の周回数を予想。スタートからチェッカーまで、1人のドライバーが最も速く走れば勝てるというフォーミュラー的なレースは、これまでの耐久レースと全く異質なもの。しかも、コースは名うてのテクニカルコースである鈴鹿サーキット。一体どんなレースになるのか、誰にも展開は読めなかった。
予選はグリッドの決定方法こそ違うが、Aドライバー、Bドライバーのタイムと、その合算タイムが重要になるのは同じ。
土曜日の午前中に行われた公式予選では、Aドライバー、Bドライバー共にGT-R勢がトップタイム。しかしながら合算タイムでは、28号車PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3(片岡龍也/Jono Lester/Fariqe Hairuman)が今季初めてGT-Rを下し、見事第3レースのポールポジションに。2番手も1号車PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3(Dominic Ang /谷口信輝/Melvin Moh)。SLSはコーナーが速く、鈴鹿のコースレイアウトにマッチしているように見える。
そして土曜日午後の第1レースを皮切りに日曜日まで、張りつめた空気の中、3レースが行われた。結論から言うと、S耐史上、前代未聞のスプリントレースは、周回遅れを上手に処理したチームが勝利をつかんだ。その筆頭はもちろん、2台のSLS。3レースとも、わずか数周で目の前に現れる周回遅れを丁寧にかわし、先行するGT-R勢との差を詰めていった。特に、第2レースで前を行く81号車GT-R(青木孝行)をジワリと追い上げ、ヘアピンアウト側からパスした28号車SLS(片岡龍也)は見事。1号車SLS(谷口信輝)も第1レースで、周回遅れと交錯しながら、前を行くマシンをパスする離れ技をやってのけた。終わってみれば3レースとも2台のSLSによる完勝だった。
ST-1以下のクラスも同じような状況。下位のクラスもレースをしているため、ラインは譲りたくない。40分のレースでは失った数秒を取り返すのもままならないからだ。
これもまたレースを楽しくするための演出。各コーナーではWTCCに負けずとも劣らない接近戦が繰り広げられ、観客はスリリングなバトルを楽しんだ。
最多14台のエントリーを集め、熾烈な戦いを繰り広げるST-4クラス。これまでS2000、インテグラのホンダ勢が3勝、86のトヨタ勢が2勝と、星を分け合っているように見えるが、強いのはやはりホンダ勢。S2000、インテグラともに熟成の域に達しているうえに、エントリー台数も多いので、常に上位を争う存在となっている。
予選から好調なのは、41号車TRACY SPORTS ings S2000(植松忠雄/井入宏之/長野賢也)。今年すでに2勝をマークし、現在ランキングトップを走っている。この41号車は必ず予選で上位に食い込んでくるレース巧者で、今回もしっかりクラストップの合算タイムをマーク。3レース全てを先頭からスタートできる位置につけた。ホンダ勢では48号車DIJON IS WAKO’S ED DC5インテグラ(鶴田和弥/井上恵一)も好調。ストレートの長い鈴鹿にインテグラの特性がマッチしているようだ。86勢で気を吐いたのは、ホンダ勢にいつも食い下がる86号車86と、52号車埼玉トヨペットGB with Revo(大井貴之/番場琢)。52号車86も、86勢の2番手となる4番手につけた。前戦岡山での2位入賞はフロックではなく、実力は本物のようである。
フタを開けた決勝。結論から言うと、41号車S2000が3レース全てでトップを守り、圧巻の3連勝。結果だけを見ると横綱相撲のように見えるが、3レース全てがDC5や86勢とのマッチレース。大きなプレッシャーの中、ミスなく走り切った3人のドライバーは称賛に値するだろう。また、86勢は52号車が第3レースで見事3位に入った。86勢のエントラント同士、積極的に情報交換をし、底上げを図ってきた成果が出てきたと。
トップ争いの常連に86が加わり、ますますのヒートアップが予想されるST-4クラスである。
スーパー耐久とWTCCの併催というツーリングカーのお祭りに合わせて、グランドスタンド裏のGPスクエアでも様々なファンサービスを実施。詰めかけた多くのファンの笑顔で埋め尽くされた。
まず土曜日は、遊園地入場券もしくはモートピアパスポートでレース観戦できるというサービスを実施。小さなお子さん連れのファミリーには特に好評で、生のレースの迫力をグランドスタンドという特等席で味わった。また、レーシングカー&トラックヘッド搭乗体験や、レーシングカータイヤ交換チャレンジなど、ファミリーで参加できるプログラムも充実。圧巻はWTCC開催にちなんでの「SUZUKAユーロカーズ ミーティング」。2日間に渡って100台近くの新車、旧車、カスタムカーが展示され、GPスクエアは華やかな雰囲気に。めったに見ることのできない貴重なクルマの前で記念撮影を楽しむ来場者の姿が目立った。また、このミーティングに関連した雑誌社のブースも出展。それぞれ独自のコンテンツを展開し、来場者と盛り上がっていた。さらに、スーパー耐久、WTCC両シリーズにタイヤを供給するヨコハマタイヤの巨大なブースも出現。限定のオリジナルグッズも販売され、多くの来場者を集めていた。
ふたつのレースが1日で見られるうえに、誰でも気軽に参加できるコンテンツも充実。とってもお得感溢れる2日間となったのである。
今年もツーリングカーレースの世界最高峰、「2013WTCC JVC KENWOOD Race of Japan」が、シリーズの10番目の開催地としてここ鈴鹿で開催された。土曜日に予選、日曜日に26周の決勝レースが2回行われ、レース1をノルベルト・ミケリス(シビックWTCC)、レース2をトム・コロネル(BMW320 TC)がそれぞれ優勝を飾った。
WTCCは2005年から始まった市販車ベースのマシンで争われる世界選手権のツーリングカーレース。4座席を有するボディに1600ccターボエンジンを搭載したFIAスーパー2000規定によるマシンで争われ、エンジンの回転数を制限し、ECUやターボチャージャーを指定部品にするなど、性能の均衡化が図られているのが特徴。レース距離が50~60kmと短く、オープニングラップからスリーワイドの激しいバトルが繰り広げられる人気のレースなのだ。今シーズンはシボレー、BMW、ラーダ、SEATに加えて、ホンダがフル参戦を開始。ドライバーとマニュファクチャラーズの両部門を争っているが、ドライバーズチャンピオンシップはイヴァン・ミューラー(シボレー・クルーズ1.6T)が今回の鈴鹿でタイトルを獲得、マニュファクチャラーズタイトルは前戦のアメリカラウンドで、ホンダがすでにタイトルを決めている。
東コースを使って行われた決勝レースは噂に違わぬ激しさ。全車ほとんど玉突き状態のまま2.243kmの東コース上をグルグルと走りまわる。“格闘技レース”と言われるのも納得である。ローリングスタート(レース1)、グリッドスタート(レース2)と、2種類のスタートが楽しめるのも得した気分になれるし、レース1とレース2の短いインターバル(リペアタイム15分)では、必死でマシンを修復するメカニックの作業を見るのも楽しい。
WTCCは今回の鈴鹿ラウンドのレース2で、記念すべき200回目のレースを迎えた。次戦は11月2日~3日の上海。スーパー耐久と同様、ますますの激しいバトルを期待しよう。
「TOYOTA GAZOO Racing FESTIVAL2013」(11月10日、富士スピードウェイ)の開催までいよいよあと1か月半。今年のテーマは「お客様が主役!!」ということで、なんとTGRF史上初となる入場無料での開催。ここでは改めて当日の内容を紹介しよう。
まずはトヨタ車以外でも参加できる「愛車自慢コンテスト」(参加費用:展示のみ1500円、パレードランに参加する場合は3000円、9月27日〆切)。来場者の投票によりコンテスト優秀者を決める全員が参加できるコンテンツだ。そして86/BRZオーナー注目の「世界最大級の86/BRZパレードラン」(参加費用:1台3000円、10月4日〆切)。広い富士スピードウェイの本コース上を86/BRZで埋め尽くそうというスケールの大きな企画だ。さらに、トヨタ車以外の参加も可能な「オーナーズクラブミーティング」(参加費用:1500円。パレードランに参加する場合は3000円。10月10日〆切))もスタンバイ。クラブごとに専用の駐車場を設け、同じクルマのオーナー同士、とことん見て、乗って、語り合おう。
新たに更新された情報としては、2014年型スーパーGT車両の走行や往年のレーシングカー、トヨタ7の走行が発表されたほか、ニュルブルクリンク24時間レースを走ったレクサスLFAや86、スバルWRX STIや、スーパー耐久シリーズで初優勝を飾った86の走行も決定済み。場内に駐車するために必要な駐車券(4輪1500円、2輪750円。P12、P13、1コーナーに駐車できる指定駐車券3000円)も発売が開始されている。
また、ファミリーでの観戦を予定している人にうれしい情報が!なんとメインスタンド2Fのプラチナルームをファミリールームとして販売。専用のモニターやイベントガイドも完備し、小さい子供連れでも安心して観戦することができるのだ。使用料は1万円(1部屋あたり)。応募者多数の場合は抽選ということなので、早めに申し込むようにしよう。
自分のクルマで参加するもよし、同乗走行に参加し体感するもよし、疾走するレーシングカーに声援を送るもよし。11月10日は富士に集合だ。
TGRF2013公式サイト http://www.tgrf.jp/
<第1レース>
総合優勝
順位 | Car No. | 車両 | ドライバー |
---|---|---|---|
1位 | 1 | PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3 | 谷口信輝 |
2位 | 24 | スリーボンド日産自動車大学校GT-R | 藤井誠暢 |
3位 | 81 | GTNET ADVAN NISSAN GT-R | 青木孝行 |
各クラス優勝
クラス | Car No. | 車両 | ドライバー |
---|---|---|---|
GT3 | 1 | PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3 | 谷口信輝 |
ST-1 | 9 | Faust Racing Team | 堀主和ロバート |
ST-2 | 20 | RSオガワADVANランサー | 阪口良平 |
ST-3 | 80 | PETORONAS TWS GS350 | 佐藤晋也 |
ST-4 | 41 | TRACY SPORTS ings S2000 | 井入宏之 |
ST-5 | 99 | RS☆R・DIXCEL・NUTECデミオ | RYU1 |
GAZOO Racing SPIRITレース結果
ST-4 3位
ST-4 | 86 | GAZOO Racing TOYOTA 86 | 井口卓人 |
---|
<第2レース>
総合優勝
順位 | Car No. | 車両 | ドライバー |
---|---|---|---|
1位 | 28 | PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3 | 片岡龍也 |
2位 | 81 | GTNET ADVAN NISSAN GT-R | 青木孝行 |
3位 | 8 | もり山R8 LMS ultraからあげ | 荒聖治 |
各クラス優勝
クラス | Car No. | 車両 | ドライバー |
---|---|---|---|
GT3 | 28 | PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3 | 片岡龍也 |
ST-1 | 9 | Faust Racing Team | 佐藤茂 |
ST-2 | 20 | RSオガワADVANランサー | 阪口良平 |
ST-3 | 15 | 岡部自動車DIXCELチームテツヤZ34 | 田中哲也 |
ST-4 | 41 | TRACY SPORTS ings S2000 | 植松忠雄 |
ST-5 | 36 | エンドレスアドバントラストヴィッツ | 井尻薫 |
GAZOO Racing SPIRITレース結果
ST-4 5位
ST-4 | 86 | GAZOO Racing TOYOTA 86 | 影山正彦 |
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<第3レース>
総合優勝
順位 | Car No. | 車両 | ドライバー |
---|---|---|---|
1位 | 28 | PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3 | Fariqe Hairuman |
2位 | 1 | PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3 | Dominic Ang |
3位 | 81 | GTNET ADVAN NISSAN GT-R | 尾本直史 |
各クラス優勝
クラス | Car No. | 車両 | ドライバー |
---|---|---|---|
GT3 | 28 | PETRONAS SYNTIUM SLS AMG GT3 | Fariqe Hairuman |
ST-1 | 9 | Faust Racing Team | 堀主知ロバート |
ST-2 | 59 | STURM・MOTUL・EDインプレッサ | 松田晃司 |
ST-3 | 80 | PETORONAS TWS GS350 | 脇阪薫一 |
ST-4 | 41 | TRACY SPORTS ings S2000 | 長野賢也 |
ST-5 | 19 | BRP☆HYPER ECU C72制動屋J‘Sフィット | 古宮正信 |
GAZOO Racing SPIRITレース結果
ST-4 2位
ST-4 | 86 | GAZOO Racing TOYOTA 86 | 井口卓人 |
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