ダカールというレースに日本人ドライバーと日本車がチャレンジしているのを知ってもらいたい。

1号車 三橋淳ドライバー

1号車 三橋淳ドライバー

―まずは昨年、ナビゲーターのアランさんと組んだレースの感想は?

ダカールの前にファラオでも組ませてもらったのですが、最初の印象はとてもジェントルマンだなぁと思いました。ドライバーというのは、レース中はとても冷静ですから、隣にいるナビは落ち着いている方のほうがドライバーとしても落ち着いて走れますね。それに2011年のダカールで総合優勝したチームのナビゲーターを彼はずっとやってたんです。それくらいトップカテゴリーでずっとやってきた選手ですから、ナビゲーションセンスが素晴らしい。ドライビングに集中できます。

―ファラオラリーでは残念ながらマシントラブルがありましたが、最終日まで総合で2位でした。レースで学んだことは?

今年のファラオに関しては、ペースを上げて走ろうとチームで話し合って走りました。ですから何らかのトラブルがあるのもやむを得ないと考えてはいました。でも、最終日に不具合があったことは、もちろん悔しいです。ただ、クルマのポテンシャルもクリアになったし、自分の技術も少し伸びしろを付けられたと思う。順位を落としてしまいましたが、良い材料を得ることができたかな、という気持ちなのが、今の心境です。

―去年に比べて、ドライバーとしてレース車両に関して注文したことはどんなことですか。

ドライバーが感じるフィーリングの変更をメインにさせてもらいました。たとえばステアリングの切れだったり、ブレーキング時のパッドのフィーリングなどを変更しました。ブレーキはエンドレスさんに協力してもらってますが、とても良いモノが出来たと思います。

―三橋さんにとって、次のレースは3連覇、そして4度目の優勝がかかっていますね。

レースをしているので、もちろん結果が残らないとやっている意味がありません。私達プロドライバーは数字を残すことが仕事です。極端な話をしてしまうと、プロセスはどうでもいいんです。自分が成長する上でのプロセスは大事ですけどね。私はアランとは逆で自分にプレッシャーをかけることをあえてブログに書いたりして、励みにしています。

―では最後に、レースファンに一言お願いします。

元旦から始まるレースで、しかも開催地は南半球。興味が湧きずらい環境かもしれませんが、パリダカらしいチャレンジ精神は今も残っています。ですので日本の選手と日本のクルマが楽しんでいるのを、まずは見てもらいたいです。今はインターネットも普及していて情報も早く伝わるし、TLCのサイトなどでも細かく詳細をアップしてくれています。ちょうど時差も日本と真逆ですから、会社勤めの最中の休憩時間とかにネットで情報をチェックしてもらったりしてくれると嬉しいですね。

毎年状況が変わるラリーレース。常に謙虚さを持って挑むことに変わりはありません。

1号車 アラン ゲネックナビゲーター

1号車 アラン ゲネックナビゲーター

―去年を振り返って、三橋選手というドライバーへの印象から聞かせて下さい。

自分より、まずは若いなと思います(笑)。逆に言えば自分の方が経験もあるとは思います。
去年は、最初にダカールをやる前にファラオラリーに挑戦しました。そこで上手くいくかどうかを判断して、ダカールに挑もうというチームとの契約だったんですが、ファラオラリーで組んでみてその点も問題なかったので彼と一緒にダカールに出ることを決めました。

―なるほど。相性も良かったということですか。

はい。レースに対するアプローチの仕方だとか、精神的な部分でも似ている部分が彼と私にはあるんだと思ってます。私が前に参戦していたものに比べ、市販車部門に移るわけですから、ペースは遅くなるだろうと思っていたのですが、彼はドライバーとしてそれもよく理解しながら走っているので、非常に良いドライバーだと思います。おそらく彼の技術的な面からすると、次のレースもそんなに難しいものではないと思うので、その点は安心しています。

―アランさんは20回以上、ダカールラリーに出ています。現在の心境はこれまでと違う点はありますか?

感じるストレスという意味では1年目と変わりません。それほどの緊張感は常にあります。逆に言うと、今までこれだけやったからどうにでもなるだろう、という気持ちではレースには挑まないので、やはり緊張感は変わりませんね。

―毎年、レースで現地に入って、年々、違いは感じますか?

結局、ダカールはその特性上、どういったレースになるのか前もってわからないんです。
だから、自分たちが決めることもよりも、レース自体が決めてしまうという事がとても多い。
そういった意味では謙虚さをもって挑んでいます。

―ゴール地点も変わりますね。

はい。ゴールもそうですが、これまで通ったコースも例年以上に難しくなっていると聞いているのでそういった意味では、場所が違うということよりも、全体的な流れをしっかり把握しながら行こうと思っています。

―では、最後にファンの方にひとこと。

目標としては、もちろんクラス優勝ですが、市販車でありながら改造車部門なども含めて総合で20番手以内にくるのは、とても価値があるものです。今まで所属してきたチームのクルマと比較してもそう思います。ですから、そういった点を少しでも頭に置いて応援してくれると嬉しいですね。