―阪本さんは今回で2年目のチャレンジ。去年の感想から聞かせて下さい。
去年は何もわからない世界に飛び込んだな、というのが率直な感想です。すべてが勉強の1年でした。
―チームとしての結果は残しましたね。
はい。チームとして、個々の役割が明確になっていましたからその点は助かりました。先輩のメカニックもいるので、その方々にいろんなことを教えてもらいました。
―メカニックの方は年間通してどんなスケジュールで動いているんですか。
ファラオラリーに参戦したり、国内で訓練したりなどチームとしての年間スケジュールに沿ってチームに帯同して動いています。それ以外の日は福岡のトヨタ自動車で通常通り勤務しています。
―メカニックとして整備性を向上させるためにどんな取り組みをしていますか。
毎年、状況は変わりますから前回レースの経験などを活かして、ラリー中に次はこうしようなど柔軟に対応するようにしています。
―メカニックの皆さんはレース中に車両がビバークに戻ってきて、それから自分たちの仕事が始まるわけですか。
ラリーによって違いますね。先発隊、後発隊と分かれているレースもあり、その場合はメカニックも乗って先発隊として先にビバークに到着しているケースと、さらに別でチェックポイントをクルマが通過するのを見届けてから、後でメカニックが競技車を追いかけていくレースもあります。ダカールはレース中はメカニックはクルマを触れないですから、メカニックは先にビバークについて待っているレースになります。なので、ビバークに戻ってきてからがダカールの場合は、我々の仕事です。
―レース中はどんな整備をされているんですか。
基本的に、日本でいう車検の時に行う点検、交換作業に近いです。チーフメカのフィリップらが組み立てた、何日目に何を換えるかのメニューがあるのでそれを見て作業が進めます。ただ、その通りにはいきませんから急な交換部品があれば、チーフの判断で状況に応じて対応しています。
―コースも新しくなり、よりハードになると言われています。
不安点を挙げるとキリがないんですよね。ただ、南米は4回目になりますから、過去のデータを見て柔軟に対応したいですね。
―メカニックとして見てランドクルーザーの耐久性は実感しますか。
市販車部門で完走している車両のほとんどがランドクルーザーです。なので我々だけでなく、他のチームも耐久性を信頼しているのでしょう。そのことを痛感した1年でした。
―では最後に目標を聞かせて下さい。
僕は日本人メカでは2年目。どちらかというと指示をする立場にいないといけない。なので周りを広く見える状況にしたいですね。それともう少しフランス人のメカと連携をよくしたい。通訳が来るのをまっている時間ももったいないので、コミュニケーションをうまく取れるようにしたい。みんなフランス人メカは経験値も高いので、学ぶ点は多いですね。
―初めての挑戦になりますね。まずは今の心境から聞かせて下さい。
選ばれた時は「まさか!」という心境でした。もちろん自分から希望は出しますが社内の選抜もあり、面接などもありますから選んでもらって光栄でした。素直にありがたいことだなと思います。
―メカニックとして担当する車両は決まっているんですか。
私と阪本さんの2人は1号車の担当です。あともう1人フランス人のペドロがいるので、彼を含めて3人で1号車を受け持ちます。2号車はフランス人のパスカルとニコラの二人が担当します。
―ビパークでの整備はリフトなどもなく、大変な面も多いのでは。
ハンドジャッキで上げて作業を行います。行うことは通常の整備と変わりませんが、環境が違う、工具の数も違いますから大変な部分もあります。それに国内でする整備以上に、より細かな部分までチェックする必要はどうしてもありますね。
―工具も整備環境も違うので苦労も多そうですね。
私が阪本メカニックと異なるのは、私は普段の職場では自動車の板金作業を主にやっている点です。なので普段からメカニックをしている阪本さんよりも、より経験を積まないといけない。普段やらない分、どこでカバーをするのかが私の課題でもあります。ファラオラリーの時が初めてのレース参戦でしたが、その時にうまくいかなったことを、自分なりに次のダカールまでにどう噛み砕いて本番にチャレンジできるかも重要な自分自身の改善点です。
―個々の目標を聞かせて下さい。
ファラオの時に残念ながらマシンに不具合がありました。ただ、今思えばトラブルの面では、たくさんの経験をしたんじゃないかなと自分では思います。私個人的には砂丘の中で整備したりという経験も積めたので、それを活かしたいです。メカニックはドライバー、ナビゲーターに気持ちよく走ってもらいたいというのが一番思っていることなんです。そこに自分の力を注ぎたいです。