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パスカル・バセロンに聞く インタビュアー:TMG広報スタッフ2007.01.12
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2006年シーズンに学んだ主なものは?
「非常に忙しいシーズンであったが、パフォーマンスの改善は十分ではなかったと言うことを学んだ。そして信頼性が非常に重要だということも学んだ。2005年と比較すると全く異なったパターンのシーズンであった。2005年はパフォーマンスに関して良い状況でスタートし、終盤はやや厳しいものとなった。2006年は中団グループでスタートし、終盤にはトップチームに近いパフォーマンスを見せられた。しかし、このシーズンを通しての進歩は恐らく目に見える形では現れなかった。このことは受け入れなくてはならない。このような結果に終わった大きな原因は、様々な信頼性の問題に見舞われ、期待していた多くのレースで完走を果たせなかったことにある」
信頼性について、2006年に何が起こったのですか?
「全てを通した、根本的な原因は見出すことは出来なかった。それは簡単なことであった。よくあるように、基本的なミスによって問題が引き起こされたのでなければ、それはいくつかの原因が組み合わさって起きたものだ。例えばパッケージに関して言えば、より激化する開発競争によって、ぎりぎりまで詰められたものになっていた。そのことで、信頼性のトラブルが発生しやすくなった。また、別のケースでは、すぐにはコントロールしきれないような、あまりに革新的すぎるコンセプトによって、信頼性を失った。これら全ては、信頼性という点で、前年よりも多くのリスクを負ってしまったということを意味している」
新しい“TF107”はどのような考えで作られましたか?
「最も重要な要素は年を経ても大きくは変わらない。物理学の法則が変わらないように。我々は主要な性能に関わる2つの要素である、空力とタイヤについて、最適化を続けている。タイヤに関しては、若干パラメータが変更になった。これ以上のタイヤの開発は行われないだろうが、それはタイヤがF1カーの開発に影響しないという意味ではない。タイヤの特性がどうであれ、そこから最大の能力を引き出していくということには変わりはないからだ。そしてもちろん、休むことなく続けられる空力の開発は、“TF107”においても重要な性能要因として考慮されている」
昨年型と比較して最も大きな変化は何ですか?
「パッケージにおいて、いくつかの大きな変更が行われている。エンジンとギアボックスは前方に移動した。そして車体前部はより高くされた。これらの変更の多くは、空力的な開発によって進められた。そしてこの“TF107”では新しいサスペンションシステムが導入できるようになっており、そのコンセプトは、いくつかのステップで発展していくことになるだろう」
“TF107”はそれまでのものとどのくらい異なっていますか?
「“TF107”は全体的に変わっている。“TF106”や“TF106B"のパーツで使えるものはほとんどない。昨年のモナコGPで“TF106B"を投入したことは、“TF107”の開発においては全く影響していない。“TF106B"の開発で忙しかったにもかかわらず、我々は“TF107”のコンセプトを2006年1月にはスタートさせていた。昨年の進化とは全く別のスケジュールで進行してきたが、それは正式に決定されたものだ。分岐点となったのは2005年中盤の“TF105B”からで、そこから105B/106/106Bというサイクルで開発は進んでいる」
より厳しくなったFIAのクラッシュテストの影響は?
「車体前部及び後部でのクラッシュについて、テストの状況が変更された。それは大きな変更ではなかったが、我々のデザイングループはそれを考慮に入れる必要があった。しかし、これらの進化はほとんど目に見えるものではない。それを除けば、基本的な後部クラッシュエリアは規定されたものだが、この規定は全てのチームに共通であり、このため全チームが若干の性能低下を余儀なくされるだろう」
“TF107”のアップグレードの予定は?
「まずこの発表会で紹介したバージョンがあり、開幕戦までには、完全に新しくされた空力パッケージを用意する。そして2番目の大きなアップグレードを、シーズンの早い時期、北米への遠征戦の後に予定している。そしてもちろん各レースに特化した、ダウンフォースの異なったパッケージやモンツァ用パッケージなども開発する。これらの大きなアップグレードを別にしても、基本的に全てのレースでアップグレードは行っていくつもりだ」
日本のトヨタ本社からはどのような援助を受けていますか?
「トヨタ自動車は巨大な企業であり、そこからベストなものを得るべく試みている。もちろん、日本のトヨタ自動車のスタッフにF1カーのセットアップや、現場で要求されるような、短期的な要項について尋ねるようなことは出来ない。しかし、もっと基本的な、材料の研究やシミュレーションなどで大きな協力を得ている。特に重要なのはCFD(数値流体力学)であり、現在も、我々が利用可能な計算能力を確認するために、協力体制を見直している。日本にもフルタイムで働いているスタッフがいて、週に一度はビデオ会議で活動内容についての調整を行っており、そこでは非常に重要な情報も得られている」