SUPER FORMULA 第6戦 スポーツランドSUGO 決勝
ロイック・デュバルがポール・トゥ・ウィンで今季初勝利!
激戦を繰り広げたアンドレ・ロッテラーが100分の4秒差で2位
スタートシーン
29日(日)はさわやかな秋晴れとなり、気温22度、路面温度29度と過ごしやすい気候の下、午後3時に68周で争われる決勝レースがスタートした。
スタートではポールポジションのロイック・デュバル(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)がややホイールを空転させながらもポジションを守る一方で、好ダッシュを決めたアンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)が2位に浮上。
2周目の1コーナーで、16番手スタートから追い上げを図ろうとしていた平手晃平(P.MU/cerumo・INGING)がスピンしコースアウト。順位を落としながらもコースに復帰した平手だったが、3周目にクラッシュ。セーフティカーが導入された。
このセーフティカーラン中に中団グループ以降の数台がピットイン。8周目に再スタートが切られたが、そのストレート上でジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(Lenovo TEAM IMPUL)と平川亮(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)が接触。ホイールを破損したオリベイラはまっすぐ1コーナーに突っ込む激しいクラッシュ。再びセーフティカー導入となった。
このセーフティカーラン中には、デュバル、ロッテラー、中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)、松田次生(Lenovo TEAM IMPUL)ら上位勢がピットへ。同一チームのためロッテラーのピット作業を待つこととなった中嶋一貴はポジションを落としてしまった。
このセーフティカーラン中、国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)を含む数台がピットに入らずコース上に残り、国本は2位に浮上。デュバルが7位、ロッテラー8位で12周目に再スタート。デュバル、ロッテラー共に徐々に前走車をパスして順位を上げていった。
中団をリードする安田裕信(KONDO RACING)
参戦2年目にして初ポイントを獲得した
27周目、国本同様にコース上に残ったことで順位を上げ、7位を走行していたリチャード・ブラッドレー(KCMG)がクラッシュ。この日3度目のセーフティカー導入となった。
ここで国本らがピットイン。しかし、それまでに築いていたマージンを活かし、国本は7位でコースへ復帰。デュバルが3位、ロッテラーが4位で32周目に再スタートが切られると、デュバルは前を行く2台を激しく攻め立てたが抜くまでには至らず。
37周目に首位を争う伊沢拓也(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)と小暮 卓史(NAKAJIMA RACING)が接触。伊沢はその場でレースを終え、小暮もこの接触でペナルティを受けることとなり後退。再びデュバルとロッテラーが1-2で首位を争うこととなった。
56周目、11位走行中の平川が白煙を吹いてコース上にストップ。58周目には前走車をパスすべく激しい追い上げを見せていた中嶋一貴が接触でコースオフ。逆転チャンピオン目指し追い上げていた中嶋一貴だったが、ここでレースを終えることとなってしまった。
その直後に別のクラッシュが発生し、4度目のセーフティカー導入。レースは残り4周での再スタートとなり、超スプリントでの、デュバルとロッテラーによる手に汗握る首位争いが再開された。
ロイック・デュバル(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)と
アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)
2人のトップ争いはゴールライン直前まで続いた
追うロッテラーは、毎周1コーナー進入でデュバルに並びかけ、2台はサイド・バイ・サイド、テール・トゥ・ノーズの接触寸前バトルを展開。しかし、デュバルは巧みなテクニックで首位を堅守。
最後まで諦めないロッテラーは、ファイナルラップの最終コーナー立ち上がりからデュバルに食らいつくと、ストレートでのスリップストリームからラインを変え、2台はほぼ並んだままチェッカー。僅か0.041秒差で逃げ切ったデュバルが今季初勝利を飾った。チーム ルマンにとっては、10年ぶりの勝利となった。
ロッテラーは2位に入り、トヨタエンジンが1−2フィニッシュ。リタイア8台、セーフティカー導入4回という大荒れのレースで、健闘した国本が自身最上位タイとなる4位フィニッシュ。松田は5位。安田裕信(KONDO RACING)が6位に入り、参戦2年目にして初入賞、初のポイント獲得を果たした。
ランキングではロッテラーが首位を堅守。ロッテラーとランキング2位のデュバルは共に次戦最終戦を欠場することとなるが、逆転タイトル獲得の可能性を残すランキング3位の山本尚貴(TEAM無限)との差は13ポイント。最終戦は2レース制のため、1レースの優勝8ポイント+ポールポジションでの1ポイントで、最大18ポイントが獲得出来るが、山本がどちらかのレースで3位以下、もしくは両レースのポールポジションを獲得せず2位以下でフィニッシュした場合、ロッテラーのチャンピオンが決定する。
KYGNUS SUNOCO Team LeMans 8号車 ドライバー ロイック・デュバル:
朝のフリー走行では、路面コンディションにセッティングが合わなかったが、セッションの終わりにまでに状況を改善することが出来た。しかし、我々のクルマは、タイムは速いがタイヤに厳しく、30周を過ぎた頃からリアが流れオーバーステア症状が強くなってしまった。この難しい状況で迎えたアンドレ(ロッテラー)との終盤のバトルは、これまで日本で経験したフォーミュラのレースの中で一番タフな戦いだった。昨年このチームで参戦する前、1年間フォーミュラでのレースを休んでいたこともあり、慣れることに少し時間を要したが、昨年の後半から調子も上がり、やっと勝つことができた。チャンスを与えてくれたチーム、メーカー、スポンサーに感謝している。
PETRONAS TEAM TOM'S 2号車 アンドレ・ロッテラー:
セーフティカーが入るタイミングで、チームとピットに入るか入らないか無線でやりとりしたが、チームも混乱していて決断を迷ったことで、一度山本(尚貴)選手に先行されポジションを落としてしまった。自分で再びポジションを上げることには成功したが、優勝できる完璧なポテンシャルを持ったクルマだっただけに、2位で終わったことはとても複雑な思いだ。ロイック(デュバル)との終盤のバトルは楽しかったが、前に行くことは叶わず本当に残念だ。シーズン中2戦も欠場しなくてはいけないのに、スーパーフォーミュラへの参戦を許してくれたチームとメーカーに感謝したい。
SUPER FORMULA 第6戦 スポーツランドSUGO 決勝結果
順位 | No. | ドライバー | チーム/エンジン | 周回 | 所要時間 | 差 | ベストラップ |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 8 | ロイック・デュバル | KYGNUS SUNOCO Team LeMans TOYOTA RV8K | 68 | 1h37'08.879 | 155.571km/h | 1'09.310 |
2 | 2 | アンドレ・ロッテラー | PETRONAS TEAM TOM'S TOYOTA RV8K | 68 | 1h37'08.920 | 0.041 | 1'09.179 |
3 | 16 | 山本 尚貴 | TEAM無限 Honda HR12E | 68 | 1h37'11.399 | 2.520 | 1'09.399 |
4 | 39 | 国本 雄資 | P.MU/CERUMO·INGING TOYOTA RV8K | 68 | 1h37'13.519 | 4.640 | 1'08.998 |
5 | 20 | 松田 次生 | Lenovo TEAM IMPUL TOYOTA RV8K | 68 | 1h37'14.103 | 5.224 | 1'10.368 |
6 | 3 | 安田 裕信 | KONDO RACING TOYOTA RV8K | 68 | 1h37'17.982 | 9.103 | 1'10.537 |
7 | 31 | 中嶋 大祐 | NAKAJIMA RACING Honda HR12E | 68 | 1h37'18.688 | 9.809 | 1'09.249 |
8 | 32 | 小暮 卓史 | NAKAJIMA RACING Honda HR12E | 68 | 1h37'18.833 | 9.954 | 1'08.633 |
9 | 62 | 嵯峨 宏紀 | TOCHIGI Le Beausset Motorsports TOYOTA RV8K | 68 | 1h37'19.803 | 10.924 | 1'10.501 |
10 | 41 | 武藤 英紀 | DOCOMO TEAM DANDELION RACING Honda HR12E | 68 | 1h37'20.671 | 11.792 | 1'10.260 |
11 | 15 | 佐藤 琢磨 | TEAM無限 Honda HR12E | 66 | 1h37'32.149 | 2 Laps | 1'10.213 |
10 | 塚越 広大 | HP REAL RACING Honda HR12E | 57 | 1h20'26.806 | 11 Laps | 1'10.493 | |
1 | 中嶋 一貴 | PETRONAS TEAM TOM'S TOYOTA RV8K | 57 | 1h20'26.850 | 11 Laps | 1'10.407 | |
7 | 平川 亮 | KYGNUS SUNOCO Team LeMans TOYOTA RV8K | 55 | 1h18'05.074 | 13 Laps | 1'10.390 | |
11 | 中山 友貴 | HP REAL RACING Honda HR12E | 52 | 1h37'21.207 | 16 Laps | 1'09.600 | |
40 | 伊沢 拓也 | DOCOMO TEAM DANDELION RACING Honda HR12E | 36 | 55'28.941 | 32 Laps | 1'09.749 | |
18 | リチャード・ブラッドレー | KCMG TOYOTA RV8K | 25 | 38'38.452 | 43 Laps | 1'10.527 | |
19 | ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ | Lenovo TEAM IMPUL TOYOTA RV8K | 7 | 13'36.077 | 61 Laps | 1'11.017 | |
38 | 平手 晃平 | P.MU/CERUMO·INGING TOYOTA RV8K | 2 | 2'40.860 | 66 Laps | 1'18.119 |