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天然系の感覚派!?蒲生尚弥2010年04月8日
皆さんこんにちは!TDP事務局のフクです。 先週末は、F1GP第3戦、スーパーGT第2戦がそれぞれ開催され、可夢偉君が初のQ3進出を果たすなど、土曜日は岡山もセパンも期待の高まる結果でしたが、日曜は・・・どちらも不完全燃焼に終わってしまいましたね・・・でも、次回にまた頑張ってもらいましょう! そして、今年初となるTDPドライバー『プレイバック編』は、今季TDPに新加入となった蒲生尚弥君です。去年のFCJドライバー達の紹介の中にいたのを覚えて頂いている方もいらっしゃるかと思いますが読んでいない方はこちらをどうぞ 178cmとなかなかの長身・イケメンです ところで、皆さん『蒲生』って読めますか?なかなか珍しい名字なのですが、『がもう』と読みます。昨年成人したばかりの20歳で、岡山国際サーキットがある岡山県、倉敷市の出身です。倉敷と言えば、私がF1ドライバーを夢見る高校生だった頃に修学旅行で行った地です。いつもながらどうでも良い話ですが・・・ さて、そんな蒲生君が初めてフォーミュラトヨタ・レーシングスクール(以下FTRS)に来たのは、2006年のことでした。しかし、残念ながらその年スカラシップを獲得することが出来なかった蒲生君は、翌2007年に再び受講をすると、そこで見事にスカラシップの権利を掴み取ったのです。 こちらはFTRS参加申し込み時の蒲生君、まだ高校の制服です そして国本雄資君らと共に、TDPドライバーとして、2008年のフォーミュラチャレンジ・ジャパン(以下FCJ)に参戦することとなりました。しかし、2年目のFCJで快進撃を見せた雄資君とは対照的に、4輪(カートに対してフォーミュラなどをこう呼びます)デビューイヤーの蒲生君は、1回のポールポジション獲得こそあったものの、苦戦が続いたことで、シーズン途中でTDPから降格の憂き目となってしまいました。 しかしながら、TDPドライバーではないながらも、トヨタ支援ドライバーとして、2シーズンのFCJ参戦を経て、再びTDPドライバーとなって、今季F3・ナショナルクラス(Nクラス)に参戦することとなりました。 そんな蒲生君の感覚の優れたところなのですが、以前に富士スピードウェイ内にあるモビリタという施設で、トヨタの若手支援ドライバー達が交通安全の講習会を受けた事があるのですが、その中の特別メニューで普通の乗用車を使って、"低μ路"という滑りやすいコースを走行するトレーニングを行った事がありました。 マシンコントロールに長けたレーシングドライバーといえども、そこを「速く」且つ「上手く」走らせるのは至難の業なのですが、その中でその時のF3ドライバー達を押しのけて一番上手くコントロールしていたのが、FCJデビュー前、18歳の蒲生君だったのです! その非凡な感覚は、デビュー10戦目でのポールポジション獲得という結果となって表れました。しかし、経験の少なさから初優勝を果たすまでには、翌年を待つこととなりましたが・・・。2シーズン目には、時にその感覚を発揮し、3勝を挙げてシリーズ3位という成績でシーズンを終えました。(「時に」というところがチャンピオンを獲れなかった一因ですかね^^;) 蒲生君は『がもチェカ』としての顔も持っています それ以外の蒲生君の特徴はといえば、題名にもあるとおり少し"天然系"なところ。今回はそんな"天然系"故に巻き起こした、ある事件を紹介したいと思います。それは2008年シーズンのFCJ最終ラウンドが行われる9月、杜の都・仙台での出来事でした。 翌日は予選と1回の決勝レースが行われるという金曜日の夜、私がコンビニで買い物をしていると、蒲生君と同じ宿に泊まっているドライバーから、「蒲生君の腹痛が酷くて救急車を呼びました!」と1本の電話が・・・。コンビニの外に出ると、確かに遠くから救急車のサイレンが聞こえて来ました。 私は買ったアイスが溶けないかと心配しながら(蒲生君ではなくアイスです)、サイレンの音を頼りに救急車の到着した宿に辿り着きました。そこには、苦悶の表情で腹部を押さえる蒲生君が居ました。そして救急車に一緒に乗り込み、仙台市内の救急病院に向かいました。そして点滴治療を受け、やや落ち着きを取り戻したところで、宿泊している宿に帰ることとなりました。 その時すでに時計は2時近くを指していました・・・。夜が明けて予選当日になっても、まだ完全に体調が治りきらない蒲生君は、時間ギリギリまで体調を回復させるため車の中で寝ていて、そのまま予選に臨みました。その予選で2回とも上位のグリッドを獲得し、更にはそれまで1回しか立ったことのなかった表彰台に2レース続けて立ってしまったのです! これだけを聞くと、「何でこれが天然系なの?逆境をはねのけて結果を出した素晴らしいドライバーじゃない!」と思われる方がいるかと思いますが・・・問題はそうなった原因にあるのです・・・。蒲生君が病院に運ばれたのには、その日の晩御飯に原因があったのです。 蒲生君、それまでにも、ある魚にアレルギーがあったらしく、以前にもその魚で同じ症状に見舞われた事があったそうなのです。そんな蒲生君が大事なレースの前日にオーダーしたメニューは、何と『海鮮丼』!!しかも、口に入れた瞬間その魚だと気付いたらしいのですが、とてもお腹が減っていた蒲生君は、「いいや」とそのまま飲み込んでしまったそうです・・・ しかも話にはまだおまけがあって、蒲生君がほかのドライバー達と一緒に入ったそのお店は"仙台名物・牛タン"のお店。何も牛タンのお店に入って『海鮮丼』を頼まなくても良いと思うのですが・・・しかもアレルギー持っている人が・・・しかも大事な予選の前日に・・・ 一体何のチャレンジだったのでしょう???おかげで私も長いこと生きてきて、初めて"動いている救急車"に乗ることが出来たのですが(笑)。しかもこの騒動があったにも関わらず、しばらくして御殿場で蒲生君は、またしてもこの魚を食べてしまったそうです・・・(-_-) その感覚の鋭さと天然ぶりは動物を思わせる蒲生君、眠り方も動物と一緒です(笑) 話は変わって、あるイベントで帰る時のことです。蒲生君が「新幹線って窓側ですか?」と尋ねて来ました。「何で?」と聞くと、「僕、窓側じゃないと酔っちゃうんです・・・」と。そうです!蒲生君は乗り物に弱いレーシングドライバーなのです。三半規管がデリケートなのか、今まで2度チャレンジした富士登山でも高山病を発症し、頂上まで辿り着けなかったそうです。 これでは、F3で好成績を残してマカオGPに出場することになっても、香港からマカオに向かうフェリーでダウンしてしまう事に疑いの余地はないでしょう(笑)。ただ、私も昔ちょっとだけレースをやっていた事があるのですが、子供のころはやっぱり乗り物酔いをする子供で、バスで行く遠足の日には、"エチケット袋"を3つも4つも用意して憂鬱になっている子供でした。 それが、免許を取って自分で車を運転するようになると、車に酔う事も少なくなりました。それでも飛行機や船で揺れが酷いと酔ってしまう事もありますが・・・。だから、これを読んでいるレーシングドライバーを夢見る少年たちは、「自分は車酔いするから・・・」と、それを原因にレーシングドライバーの夢を諦める必要はありません! そして最後に、これもどうでも良いのですが、我々の関係者の中(かなり偉い人です)に、蒲生君に関する話をすると、「蒲生がもうタイムを出した」「蒲生がもうピットに入ってきた」といったような、いわゆる『おやじギャグ』を連発したくてしょうがない方がいます。 それをいつも聞かされる我々は、ひきつった愛想笑いを浮かべるしかないのですが、今年の9月頃には、その方が「蒲生がもうタイトル取っちゃった」なんて事を言っていることを願いたいと思います!(しかし、その前にその方がこのコラムを読まないことを願いますが・・・笑) 皆さん、こんな蒲生君の応援を是非宜しくお願いします!サーキットで見かけたら気軽に声を掛けて上げて下さい。反応がやや鈍いかもしれませんが、不機嫌な訳ではなく、シャイなだけなので許してあげて下さい。 飾らない性格で周囲に愛される蒲生君、でもアスリートとして食事には十分気をつけましょう・・・ あと、これはTDPドライバーに直接関係する話ではないのですが、もうご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、スーパーGTで晃平君のチームメイトであるクート選手の息子さんのアフォンソ君が、難しい病気を抱えているそうです。 これまでも興味はあったのですが、こうして身近なところで骨髄ドナーを必要としている人が居ることがきっかけとなって、私も先週ドナー登録をして来ました。白血球の型が一致する可能性は非常に低いらしく、私が登録した事が即、アフォンソ君を助けることにつながる可能性は少ないのかもしれません。 しかしながら、モータースポーツを通じてたくさんの方の協力の輪が広がり、「モータースポーツを愛する」人達1人1人の小さな協力の細い糸が、少しでも太い可能性となって紡がれて行くことを願ってやみません。 【TDP情報】 |
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