新しい富士スピードウェイの印象
●ラルフ、フォーミュラ・ニッポンを走っていた頃、改修前の富士スピードウェイを走っていますよね。リニューアル前の富士の印象を聞かせてください。
「長いストレートが印象に残っている。オーバーテイクができるいいサーキットだったし、景色もいいよね」

●その頃の何か特別な思い出はありますか？
「チャンピオンを決めたことだね。1996年、フォーミュラ・ニッポンの最終戦が富士だったんだ。実は富士に初めて訪れたのは93年のことだ。あの頃はマカオＧＰの後、富士でもレースをやっていて、そのときメカニックとして来ているんだ」

●そうだったんですか！　ところで当時はここでポールポジションも獲得していますよね。富士は得意なコースでしたか。
「好きなコースではあったね。それに当時、ここ（富士）から20kmの山中湖のそばに住んでいたこともあるしね」

●では、新しい富士スピードウェイの印象を聞かせてください。（この段階でラルフは午前中に１周のみ、新コースを走っている）
「だいぶモダンになったね。コースレイアウトも変わったし、ピットの設備も充実した。オーバーテイクポイントもありそうだね」

●以前と今のスピードウェイの違いは？
「ランオフエリアを含めて、サーキットが広くなったのが印象的だね。バンプは少ないし路面はスムーズだし。いいレイアウトであることは間違いないよ」

ラルフが普段乗っているクルマは？
●すこしプライベートなことを質問させてください。
「オーケー」

●何カ国語話せるんですか？
「英語とドイツ語だけだね。日本語は難しすぎるよ。でも、少し勉強しないといけないだろうね」

●好きな食べ物は？
「イタリアン。とくにパスタが好きだな」

●お酒は飲むんですか？
「飲んだことないよ。だってほら、僕は運転するのが仕事だろ。たばこも吸わないよ。試したこともないんだ。ただしシガーを試したことはあるけど、苦手だったね」

●普段乗っているクルマを教えてください。
「レクサスのLS430。大きいやつね。去年から乗っている」

●どんな音楽が好きですか？
「もっぱらイージーリスニング。クルマで移動するときはたいていラジオのスイッチを入れているよ。バックに流している感じで、真剣に音楽に聴き入っている感じじゃないんだけど」

●ところで利き足はどちらですか？　ブレーキングにどのように影響していますか？
「実際の所、力が強いのは右足だろうね。でもブレーキングは別の足だ。（トヨタＦ１の）クルマは左足ブレーキだから、左足でも強い圧力がかかるようにクルマを調整しておかなければならないんだ」

夢の実現へ向けて
●子どもの頃、何になりたいと思っていましたか？
「警官（笑）。いや、子供の頃からずっとモータースポーツをやっていたから、他のことを考えたことないんだ」

●では、あなたのようなＦ１ドライバーになることを夢見ているファンに向けて、何かアドバイスがあればぜひお願いします。
「本当に役立つメッセージとなると難しいけど……、まずはモータースポーツに取り組む自分を信じなければならないし、モータースポーツが好きでなければならない。そして一歩ずつステップを刻んでいくことだ。カートから始めて、すぐにＦ１のことを考えるのではなく、その次のステップを考えるんだ。ミハエルと僕はそうやってやってきた。幸運なことに２人ともそこそこ腕がよかったから、各カテゴリーをどんどん上っていくことができた。でも同時に、現実的なことを言えば、今は才能に加えてなんらかの支援が不可欠だね。お金もかかるから、簡単なことじゃないんだよ」

●素晴らしいドライバーになるための魔法はない、と？
「残念ながらね。仮にそういった魔法があったら、いいドライブをするために何度でも使ってしまうだろうけど。でも、そんなことはあり得ないんだよ」

●最後に、トヨタでの目標を教えてください。
「もちろん、いつの日かチャンピオンになれる日のことを楽しみにしているけど、まだまだその段階からはほど遠い。最初のステップとしては、できるだけポイントを獲得すること。そのなかで何回か表彰台に上がれればうれしいね」