オーストラリアGP テクニカル・プレビュー : パスカル・バセロンに聞く
●アルバートパーク・サーキットの特徴は?
アルバートパークと言えば、基本的に低いグリップとアンダーステアが特徴だ。少なくともタイヤ戦争が続いていたここ数年間は、メルボルンの典型的な特徴は、アンダーステア、グレーニング、そして全体的にグリップが低いということであった。それらはアスファルトの構造とコースレイアウトという、2つの主な要素によって引き起こされる。特に最終セクターでの、連続する右コーナーは右フロントタイヤに極めて厳しいものであった。
●それはセットアップがとても難しいトラックということですか?
それらの特徴によって、これまで、完璧なセットアップを達成するのは非常に難しいことだった。ただ、2007年シーズン向けのタイヤでは、非常に明確なキャラクター変更が行われたため、もうグレーニングに悩まされることはなくなる。このため、セットアップは、これまでとは、大きく異なり、簡素なものになるだろう。2007年シーズン向けタイヤはアルバートパーク・サーキットでも、グレーニングを起こさないと予想され、そのため、恐らくメルボルンについて我々がこれまでに知り得た全ての知識について、もう一度見直す要があるだろう。
●オーストラリアGPへ臨むにあたってチームはどのような準備をしてきましたか?
ある意味我々は全く白紙からセットアップをスタートすることになるだろう。しかしながら、全くのゼロからスタートすると言うわけではない。昨年の経験から、冬季のスペイン・バレンシア・サーキットが、メルボルンで直面する問題に関して適切に再現されるとわかっていた。我々は1月にバレンシアへ向かい、メルボルンで使用するものと同じスペックのタイヤでテストを行ってきており、それが力になってくれるだろう。
●2007年仕様ブリヂストンタイヤでのテストはどれだけ進展しましたか?
我々は冬のコンディション下で得られる限りの全てについて学んだ。例年通り冬季オフシーズンテストで作業をこなしてきたが、低い気温下でのタイヤの挙動は、レースシーズン後半に経験するものとは異なるものになってしまう。今年は、よく知られているこれらの問題を補填するために、オフシーズン中にバーレーンでのテストを行った。これによって、シーズン中のタイヤに関するチャレンジについて、最初の経験を得ることが出来た。
●新しいタイヤの鍵となる特性は何ですか?
我々が分かっているのはオーバーステア傾向になりやすいということで、もし弱点があるとすれば、それはフロントよりリアタイヤ側に起因するものになるだろう。
●トヨタにとって、この冬季テストはどれだけの進展が得られましたか?
信頼性について、全く問題のないテストというわけではなかった。しかし先週、スペイン・ヘレスで行った最後の2日間のテストで見せたように、完全とは言わないものの、信頼性に関する問題の大部分はコントロール下にあると信じている。この分野に関しては、適切なテストが出来たと言える。また、我々は新しいタイヤと新型車での学習段階を経てきた。この過程で、シーズン中、異なるコンディションに直面しても対応できるだけの、異なるセットアップオプションを開発する機会が得られた。
●メルボルンでトヨタはどれだけの競争力を発揮出来ると思いますか?
現段階で、我々が何を望んでいるのかについて予言することは出来る。しかしただ一つ言えるのは、メルボルンでは多くの人が驚くだろうと言うことだ。毎年の2月中の予測とシーズン開幕戦の結果を比較すれば、冬季テスト中の結果に基づいて正確な予想をするのが非常に難しいことが分かる。我々はシーズン開幕を待ち焦がれている。
●トヨタは今シーズンウィリアムズにエンジンを供給しますが、チームはウィリアムズと戦うことについてどのように焦点を合わせていますか?
ウィリアムズについては多くが語られているが、我々にとってはライバルチームの一つに過ぎない。確かに、我々は冬季テスト中、彼らのパフォーマンスをすぐ近くで見てきたが、我々は全てのライバルチームについて研究している。
●これまでの数年、トヨタはシーズン中にBスペックの車両を投入してきましたが、2007年シーズンもその予定はありますか?
現時点では“TF107B”の予定はない。しかしそれは作らないという意味ではなく、非常によい理由があれば作る可能性もある。現在のF1では当然のことだが、我々は全てのレースごとに改良を続けて行くだろう。その中で、シーズン中に何度かは大きなパッケージのアップグレードがあるということだ。