ヨーロッパGPを振り返る ヤルノ・トゥルーリ Q+A
●ヤルノ、今回のようなレースは滅多にないですよね?
「そう、ありがたいことにね! 今回は確かに波乱だらけのレースだった。ああいった状況では、物事が自分にとって都合よく働く場合もあればそうじゃないこともある。今回の私はとにかく常に悪いタイミングで悪い場所にいる、という感じだった」
●最後尾にいたドライバーが4周後には33秒差をつけてF1デビュー戦でトップを走っていたことを見ても、ああした状況で何が起こり得るのかがわかりますよね?
「リスクを冒す準備がどのくらいあるかは、その人がどのくらい失うものを持っているかに左右されると思う。中団よりも前のグリッドにいたら、たいていのドライバーは他のドライバーがどうするのか、その様子を窺うのが普通だろう。ニュルブルクリンクではスターティンググリッド上でまだ雨が降っていなかったため、全員がドライタイヤでスタートした。雨が降りそうなのはわかっていたが、乾いた路面をウェットタイヤで走ってしまうとすぐにタイヤが壊れてしまう。でもあそこでウェットタイヤに履き替えるという賭けに出たマーカス・ビンケルホックの場合は、十分にその価値があったんだ。そしてすぐに雨が降り、彼にとって都合のよい状況となった。彼が不運だったのはあまりにも雨が激しくなりすぎて、多くのクルマがコースアウトし、レースが中断されてしまったことだ。私にとってもこれはありがたくなかったね」
●あなたのレースはどんな流れだったのですか?
「8番グリッドからスタートし、1周目は調子がよく5位を走行していた。ただし天候がどうなるのかわからなくて、それが問題だった。私は、1周目の最後にウェットタイヤに交換すべくピットに入らなかったわずか7台のうちの1台となった。当初はにわか雨なのかもっと激しい雨になるのかわからなかったが、この時点では雨がかなり降っており、ドライタイヤのまま2周目を走るのは非常に困難だった。とにかくクルマをコース上にとどめておくだけで精一杯だったんだ。そのせいで私はかなりのタイムを失い、しかもタイヤ交換をしてピットを出るとすぐに雨が更に激しくなり、エクストリームウェットタイヤを履いたほうがいい状況となったので、すぐにまたピットインした。これで私はさらにタイムを失ったが、この時点でほとんどのクルマはエクストリームウェットタイヤではなく、通常のウェットのブリヂストン・ポテンザ・タイヤを履いていたから、私のクルマは有利な状況にあった。だが残念なことに、1コーナーであれだけの多くのクルマがコースアウトしたため、レースが中断されてしまい、リスタートの際、すでに2度のピットストップを終えて大きくタイムロスしていた私の後ろには2台しかクルマがいなかったんだ。そしてリスタートの後にタイヤ交換すべくピットインした際にはピット作業に遅れが生じてしまった。こういった状況が重なったため、私はあまりにも後方に追いやられてしまい、まったく活躍できなかった。この週末の序盤はかなり上位に行けそうな流れだっただけに、これは残念だった」
●予選はいかがでしたか?
「そこそこ良かったね。私とラルフは8番グリッドと9番グリッドにそろってクルマを並べることになり、いい仕事ができたと思う。もしあとコンマ1秒速ければ、6番グリッドと7番グリッドになっていたはずだ。現在トップチームとの差はかなり接近しているが、彼らに追いつくためにはまだまだやるべき仕事が多くある」
●トヨタの競争力のレベルは、開幕当初と比べると上がっていますか?
「このところのわれわれのパフォーマンスは以前よりも良好だと思う。その理由は、最近のレースで走っているサーキットがハイダウンフォース傾向が強く、それがTF107に適しているからだ」
●予選第3セッションではルイス・ハミルトンのアクシデントにより赤旗になりましたが、あれのせいで予選はいつもより難しくなったのでしょうか?
「ドライバーの立場からすると、アクシデントはどんなときでも見たくはないものだ。でもルイスはどうやら大丈夫そうだったから、あとはあの中断にうまく対処して、コース上でいい位置を確保するだけのことだった。ああいう状況では気持ちを再度集中させる必要があるけれど、でもわれわれはクルマに飛び乗ってすぐにアタックラップを走るのに慣れているからね」
●この先に向けて、どのくらい自信がありますか?
「クルマとチームに関しては今も自信を持っている。明らかにニュルブルクリンクは普通のレースではなかったが、私自身は常にポイントを獲得できるという自信を持っているんだ。ヨーロッパGPではロングランの調子がかなりいい感じだったし、シルバーストーンでの状況と比べたら私もはるかにハッピーだった。次のハンガリーでのレースでは、まったく異なるセットアップが必要になる。平均速度が遅く、かなりのダウンフォースが必要とされる。これがまた新たな要素になるわけで、われわれは自分たちがどんなパフォーマンスを発揮できるか、これからしっかりと見極めていかなければならないだろう」