ハンガリーGPを振り返る
ラルフ・シューマッハー Q+A
●ハンガリーGPではしっかりした走りで6位入賞を果たしたわけですが、いかがでしたか?
「目標は常にポイントを獲得することだが、ハンガロリンクの前の数戦ではすこし運に見放されていた。たとえばニュルブルクリンクでもポイント目指して戦えていたのに、ニック・ハイドフェルドとのアクシデントが起こり、ノーポイントとなってしまった。レースではああいったことが起こるものだし、とにかくドライバーとしてはそういったことともうまく折り合いをつけていくしかない。でもハンガリーではかなり満足がいく結果となった。予選順位がかなり上位だったし、さらにはアロンソがペナルティで降格となったため、5番グリッドからのスタートとなった。これは自分にとって今シーズン最高のグリッドだ。5番グリッドはコースのきれいな側だったため、スタートもうまくいき、最初のいくつかのコーナーでは4番手を争うことができた。クルマの調子はよかったが、最初のスティントではちょっと神経質な動きをする部分もあったね。でも1回目のピットストップでフロントウィングを調整し、この症状を改善することができた。その後、チームによって異なる戦略をとってきたのがわかった。BMWの2台は3回ストップを選択してきたが、われわれは2回だけだった。あれは適切な判断だったし、お陰でレースは最後まで面白いものになったね」
●チームは一歩前進できたと言えるのでしょうか?
「6月のアメリカとモントリオールの時点で、われわれはすでにかなり速かったんだ。でもいろいろな要因が重なり、全体的にうまく結果に結びつかなかった。セーフティーカーに絡んだ不運もあったりしたしね。でもポテンシャルはあのときから十分にあったんだ。最近のレースでは予選で2台そろってトップ10入りできているし、われわれは正しい方向に進んでいると思うよ」
●ハンガリーでは何かクルマに関してアップデートはありましたか?
「ファクトリーで働くみんなの努力のお陰で、われわれはコンスタントにクルマのアップデートができている。ハンガリーではクルマのフロア部分に大きな変更を施した。これは今後のレースでも使用するパーツだ。ブダペストは平均速度が遅く、ハイダウンフォース仕様のパッケージが必要になる。そのため空力パッケージに関しては、あのレース専用のものを使用した。ハンガリーでは最初からクルマの調子がよかった。ただしハンガロリンクはいつも路面が埃で汚れているから、初日は判断が難しかったね。コースの路面状況が整ってきたら、セットアップにいろいろと手を加えるのは避けなければならないが、いっぽうで土曜日になればおおよそ自分たちがどのくらいの位置にいるのかがつかめてくる。今回は1周のタイムアタックでかなり競争力が高かったし、それにロングランでのペースもよかったからかなり満足できたよ」
●ハンガリーでタイヤはどのくらい重要だったのでしょう?
「ハンガリーではタイヤがとても重要な要素になる。今回はスーパーソフトを履いた際に最後のセクターが辛くなると訴えて、予選で硬いほうのタイヤを使っていたドライバーがいたね。あれはかなり興味深い状況だった。今回はタイヤの使い方をうまくマネージメントしなければならず、同時に日曜日のレース終盤でラバーが十分に乗ったときの路面状況がどうなるかを予測しなければならなかった。チームによってレース戦略が異なったのはそのせいだ。お陰でますます興味深い戦いになったと思う」
●ハンガロリンクはお気に入りですか?
「実はそうなんだ。ハンガロリンクは身体的にかなり厳しいコースで、普段からのトレーニングの成果がモノを言うサーキットのひとつでもある。コックピットでは休む暇がないほどだし、追い越しも難しい。ただしサーキットそのものはいいリズムで走ることができるコースのひとつと言えるね。全体的に言ってレースそのものも好きだ。ブダペストは素晴らしい都市で、楽しく過ごせる場所だからね」
●トップチームとの差を縮めるためにトヨタは何をやらなければならないでしょうか?
「簡単な答えはひとつもない。最も大きな成功を手にしているチームを見てみればわかるが、そういったチームにはものすごい量の経験があるんだ。もちろんそういったものを手にするための近道なんてないけど、でもチームのみんなは誰もが一生懸命仕事をしているし、モチベーションも非常に高い。今年は望んでいたような結果を手にできていないかもしれないが、それでもわれわれはシーズン中に進歩できているし、これからもどんどんプッシュしていくつもりだよ」
●夏休みは楽しみですか?
「そうだね。自分の家族と普段より長めに過ごせるのはいつもながらいいものだ。またコースやファクトリーで一生懸命仕事をしているチームのほかのスタッフたちにとって休暇はなおさら重要だね。もちろん仕事そのものが完全に止まるわけではないが、いつも移動ばかりの生活をしているスタッフにとっては、1カ所にすこし長めに留まっていられるというのはいいものだ」