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Rd.14 Grand Prix of Belgium
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新居章年リポート
2007年9月17日(月)

いつもご声援ありがとうございます。イタリアGPから2週連続での開催となったベルギー。今季のF1はこの第14戦ベルギーGPがヨーロッパラウンドの最終戦となります。では、その模様をご報告いたしましょう。

●日本GPを見据えた空力と前戦の対策を施してベルギー入り

超高速のモンツァ仕様から、富士と同レベルのスパ仕様になると同時に、トップクラッシュウイングの構造を強化してレースウイークを迎えた。
前回、イタリアGPが行われたモンツァは、エアロダイナミクス的に非常に特殊なコースだったわけですが、今回のベルギーGPが行われるスパ-フランコルシャンは、通常の高速タイプ。したがって、空力パーツも次戦日本GPを見据えた仕様となっています。具体的には、モンツァで金曜日に不具合が生じたトップクラッシュウイングが新しくなり、ウイングを支えるステーが車体から1本出ています。また、モンツァでは削ぎ落としていたロールフープウイングを通常の位置に戻しました。

●タイムだけでなく、順調にプログラムを遂行でき収穫の多い金曜日

山間部の長いコースレイアウトとなっているスパ。このため、周回数がこなせないため、セッティングの確認などの回数がいつもよりも少なくなる。

ヤルノ(トゥルーリ)が5番手、ラルフ(シューマッハー)が6番手に入り、まずまずの一日だったと思います。ただし、金曜日の時点では燃料搭載量も異なれば、どのタイミングでどちらのタイヤで出したのか、詳細にはわかりませんので、順位が良かったからといって、安心はできません。しかしながら、7月にこのスパ-フランコルシャンで合同テストを行っているので、空力のレベルは予想通りでした。あとは車体のセットアップ。まだ、コーナーが連続する第2セクターでアンダーステア気味なので、土曜日のフリー走行てはその辺のセッティングを詰めていきたいと思っています。

このスパ-フランコルシャンは1周が7.km程と全17戦の中で、最も全長が長く、結果的に走行できる周回数がいつものグランプリよりも制限されます。ですから、1時間という限られた時間を有効に使い、効率的にセットアップを進めていかなければなりません。とはいえ、トラブルなく初日を終え、2年ぶりのスパ-フランコルシャンで、まずは順調なスタートが切れたと思います。

●前日までのスピードが発揮できず、悔しさの残る予選
金曜日の練習走行の内容と、土曜日午前中のフリー走行の出来を考えると、公式予選の内容はハッキリ言って、不満の残る結果となりました。

1コーナーでのポジションが恵まれず、軽い車両で序盤から速いペースで展開するという戦略が活かせず、惜しいレースとなったヤルノ。

まず第2ピリオドを通過することができなかったラルフは、最後のタイムアタックで1コーナーがアンダーステア気味で通過しなればならず、自己ベストを更新することができませんでした。テレメトリーのデータでも、このアタックラップでは車がアンダーステア傾向にあったので、おそらくタイヤの空気圧か温度の上がり方の違いでバランスがずれたと思います。今年のF1は中団がひしめき合っているので、ちょっとしたミスやセッティングの変化でも大きく順位が変わってしまいます。特にタイヤの温め方をもう少し研究する必要があると感じました。

一方、8戦連続で最終ピリオドへ進出したヤルノも、第2ピリオドを10番手でなんとか通過。さらに最終ピリオドも9位に終わりました。前回のイタリアGPの8位と大きな違いはないかもしれませんが、この結果は、われわれが期待していた順位よりも当然低く、残念な予選となりました。

エンジン交換するドライバーが2人現れたため、ヤルノは8番手から、ラルフは10番手からのスタートとなり、課題のスタートさえうまく克服できれば、いい結果が付いてくると思います。

●課題のスタートはクリアしたが、好ポジションを得られず苦しいレースとなった
前回、うまくいかなかったスタートは、今回そう悪くなかったと思います。ただ、1コーナーでのポジション取りがうまく行かず、ポジションを落としてしまったのが痛かったです。2ストップ作戦を敷き、ライバル勢よりも軽い燃料で走っているヤルノが、1ストップ作戦で重い燃料を積んでいるドライバーの後となった時点で、今日のヤルノのレースはかなり厳しいものとなりました。

10番手からのスタートではあったが、柔軟な戦略変更が功を奏し順調なレース運びを見せていたラルフだったが、終盤はペースが延びず10位でゴールした。

一方、ラルフは1コーナーで大きな不利を被ることなく、序盤はスタートポジションと同じ10番手をキープし、得点を狙える位置にいました。もともと、第1スティントを長めに採る2ストップ作戦を敷いていたのですが、ライバル勢との比較から、1ストップ作戦のほうが有効だと考え、途中で1ストップ作戦に切り替えました。ただ、タイヤ交換を行った後から、タイムが予定したよりも伸びず、終盤ヘイキ・コバライネン(ルノー)を抜くこともできなければ、ロバート・クビサ(BMWザウバー)にも先行を許し、惜しくもポイント獲得はなりませんでした。

このベルギーGPでヨーロッパラウンドも終了。次は我々の地元、富士スピードウェイで日本GP。その前にスペイン、ヘレスでの合同テストで新パーツを試して、富士スピードウェイでは持てる力をすべて出し切るレースをお見せしたいと思っていますので、ご声援よろしくお願いします。


スパ・フランコルシャンでの新居章年。今回は作戦も空しくポイント獲得ならず。更なる改善を果たすべく、今週のヘレス・テストを経て次戦富士には万全の体制で臨む。