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シャシー部門シニア・ゼネラル・マネージャー パスカル・バセロンに聞く2008.01.10

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TF108の開発はいつ始まりましたか?

2006年シーズン終盤にTF108の方向性に対する最初の決断をした。それからTF107と平行して序々にTF108に力を注いで来た。しかし、9月の日本GP以降は100%の力をTF108に注いできた。

TF108には大きな変更が見られますか?

車両の空力コンセプトが変わった。TF107はTF106の進化版だったが、今回の新しいパッケージは、近年のトヨタF1カーとは異なるものとなった。TF108の主要な空力デザインフィロソフィは、周回を重ねて行く中でもバランスやダウンフォースの変化が最小限になるよう、F1カー全体を適正化する方向に向けられ、結果的には運転しやすく、空力性能が安定したなF1カーに仕上げることにある。空力面の変更の他の基的な変更としてはホイールベースの延長がある。メカニカルな面に関しては、TF107がしっかりとした基礎を持っていると思っていたので、数点の小改良を施すことに焦点をあてた。構造上の効率を改善することで重量と剛性のバランスを見直しその結果、同等の剛性を保ちながら軽量化を達成することが出来た。

何故ホイールベースを変更したのですか?

これはTF108プロジェクト立ち上げ当初から決めていたことだ。非常に大きな影響があるので理由は明白だ。主要な理由は安定性を得るためではあるが、加えて、ホイールベースを延長することにより、空力担当者により大きな開発の余地を与えることにより、空力性能向上の可能性を拡げられると期待している。

TF108は風洞実験やその他のシミュレーションで目標を達成していますか?

喜ばしいことに現在TF108は目標通りに進行しており、空力的な効率や関連する性能のデータは速いペースで進化しているが、もちろん本当のテストはサーキット上で走らせてからだ。TF108は良く仕上がっており、我々の高い期待に応えてくれるかどうか、実際に走る姿を目の当たりにするのを非常に楽しみにしている。

どのくらい高い目標が設定されていますか?

トヨタはいつでも高い目標を持ち続けている。ライバルチームとの比較を行い、彼らがパフォーマンス面でどれだけの成果を出しているか検討した時、我々が持つべき目標と、どのような空力的数値を達成するべきなのかは明確だった。TF108で達成すべきことは分かっていた。しかし、目標を設定することは容易いが、それを実際にサーキットでのパフォーマンスに繋げることが本当の挑戦だ。

どの分野で改善が必要だと認識していますか?

2007年のパフォーマンスは全体的に必要なレベルに達しておらず、いくつか明らかな弱点があった。TF108開発の目標は空力上の効率と運転しやすさを手に入れることだ。2008年は、よりセッティングの自由度が高いF1カーを望んでいる。そしてそれは、主要な空力安定性のデータの理解を深めること車両全体の空気の流れと温度を管理することを含めて、車両全体の空力安定性の主要な要素を理解することによって成し遂げられた。

外観に大きな変化はありますか?

もちろんある。大きな変更点はサスペンションターニングベイン、バージボード、そして下部をえぐった形状のサイドポッドを組み合わせて採用したことにある。

TF108にはどのくらいの努力が費やされました?

プロジェクトに関連する全員がTF108開発に大変な努力をして来た。開発は早い時期から始まり、早期始動を目指して2006年終盤には全体的なコンセプトが決定されていた。それからTF108チームは、シミュレーションや風洞実験から得られる結果を受けながら、時間的なスケジュールを守るために多大な努力を重ねてきた。TF108は、デザイナー、風洞担当者、テストベッドやシミュレーション担当者、そして車輌組み立て担当者ら、チーム全員の努力の成果だ。最初のテストまでに新車両を準備するのは、いつでも時間との競争となるが、チーム全員が非常に素晴らしい貢献をしてくれた。

TF108の次なる段階は?

スタッフ全員が非常に良く働いてくれたが、まだまだこれからの道のりが長い。今後はまずセットアップや開発の方向性を見定めるために、サーキットでの特性を把握するために専念する。その作業は1月13日からのヘレステストで開始される。シーズン開始前までに最大限に性能を引き出すためにまだまだたくさんの課題が残されているので、最後まで全力を尽くす。

TF108にはBバージョン投入の予定はありますか?

Bバージョンを導入する計画は今のところはないが、シーズンが進むうちに、かなり違うパッケージを導入していく予定はある。最初の新パッケージは開幕戦オーストラリアではお目見えする。

TF108の開発にはどのようにしてトヨタ・ウェイが適用されましたか?

トヨタ・ウェイは我々の血管の中を流れているので、どのように資源を有効活用するか、どのように問題に対処するかという観点で、必ずその原理や方法が適用される。トヨタ・ウェイはすでに我々の哲学の根底にある。

現在のタイヤ規定が導入されてから2年目となりますが、TF108をどのようにこの規定にあわせて来ましたか?

大抵、新しいタイヤ規定に即するためには新車両の主要なパラメータを調整することになる。タイヤを活かすためには重要な要素がある。重量配分の幅やキャンバー変化といったものである。我々はTF107のときからこれらの要素を的確に理解できていたと思っているので、TF108でもタイヤ性能を最大限に引き出すために、我々が通常使用して来たセットアップパラメータの中から、条件に合うものを予測していくつもりだ。もちろん、常に小さな改善はなされていくので、今後もタイヤの能力を最大限活かす術を日々学習して行く。2008年シーズンのタイヤは、若干の構造的変化以外は2007年のそれに非常に近いため、車両への影響という点では大きな要素にはならないようだ。

2007年の結果からチームは何か学び取りましたか?

F1ではいつでも何か新しいことを学び続けている、特に我々はそうだ。我々はまだ若いチームであるために、他のチームより学習曲線は概して急である。すなわち、短い時間でたくさんのことを学ばなくてはならない。車両の性能、レース・マネージメント、スタート管理の側面で我々は多くを学んで来た。ミスを犯すということは、その時に効率的にかつ前向きに対処すれば、より強力になれるという点で良い面もある。トップチームと競い合うためにはまだまだ学ぶ部分が多いが、我々は常に学習し、進化を続けている。

2008年の目標は?

個人的には、2008年には規則的に表彰台を狙えるようになるべきだと思っている。来シーズンは、BMWザウバーが2007年シーズンに達成した場所を目標にすべきだと考えている。つまり、トップ2チームを除いた中での最上位ということだ。今シーズン、タイトル争いに加わるというのはあまり現実的ではないが、大きな進歩を遂げたい。

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