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2013 SUPER GT/GT500クラス・チャンピオンの軌跡
No.38 ZENT CERUMO SC430

例年以上の激戦となったSUPER GTのGT500クラス。中盤の3戦連続ノーポイントという危機的状況から、奇跡的な逆転劇でシリーズチャンピオンを決めたのは、LEXUS TEAM ZENT CERUMOでした。このチームを牽引したのが、チームのエースドライバーの立川祐路選手。チームの危機に、そしてチャンスにこれまで2度のチャンピオンを獲得してきた立川選手とチームは、どう対応したのでしょうか? 立川選手の視点と言葉で激動の2013年シーズンを振り返ってみたいと思います。

開幕前から手応えがあり、いけるぞと思っていました

 LEXUS TEAM ZENT CERUMOの立川祐路/平手晃平組は、昨シーズンを惜しくもランキング2位で終え、シリーズチャンピオンを獲り逃がした。LEXUS Racing陣営は、2012年型のLEXUS SC430の熟成をさらに進め、性能を向上させると共に信頼性を確保して必勝態勢で2013年シーズンを迎えた。進化したLEXUS SC430の性能を、立川は開幕前テストで感じ取っていた。

「去年からクルマの調子は良かったんです。でも去年は、もうちょっとのところでチャンピオンを逃しているので、今年こそはと思っていました。今年のクルマは去年の延長で進化していて、開幕前テストから手応えがあり、これはいけるぞと思っていました」

 立川と組むのは今年でコンビ3シーズン目となる平手。パートナー平手の成長も立川の自信につながっていた。

「平手は、元から速さはあったんですけど、どこか気持ちが空回りしている部分が最初のうちは多かったですね。でも去年の後半あたりから落ち着いてきちんとレースを組み立てられるようになったので、最近は安心して見ていられる、頼もしい存在になりました」
 現代のSUPER GTは速さだけでは勝てない。では平手は速さ以外の何を学び取って立川の信頼を得るに至ったのだろうか。立川は、平手のこれまでを振り返る。

「1年目から2年目だった去年の前半くらいまでは、つまらないミスでレースを落とすことがありました。『もったいないよ、そんなことやっていたら、いつまでもチャンピオンにはなれないよ』という話はしました。たとえば接触したとき、相手が悪くても結果的に自分も損するわけですから、接触は避けなければいけない。でも当初の平手は、ぶつかっても『自分は悪くない、相手のせいだ』という言い訳をしていました。でもそれはSUPER GTでは通用しない。そういうことがわかってきたんだと思うんです。そこから本当に彼は変わりましたよね」

 こうしたある種の割り切りは、立川自身がレース経験を通して積み重ねてきた「実戦ノウハウ」である。2人のドライバーが1台のクルマを分担して走らせひとつのレースを組み立てる。SUPER GTでは通常のスプリントレースとは異なる取り組みが必要なのだ。

「ぼく自身も、かつては平手のような時期があったんですよ。でもSUPER GTって、そういうことがわからないと勝てない。たまに勝つことはできても、チャンピオンを獲るのは無理。1年間戦えば、当然調子の良いとき悪いときがありますし、ウェイトハンディも増減するので、苦しい立場に立たされる事も多いという条件の中、常にいい成績を残すのは本当に難しいんです。レースだから攻めることも大事だけど、引くところで引けるようにならないと、結果は残せないんですね。平手はその点で大きな成長をしました」

  • 立川は開幕前のテストから進化した2013年型LEXUS SC430の手応えを感じていた。

  • 3年目になる平手とコンビも熟成。今季はGT500でも速さ自慢のふたりが見事に噛み合った。

  • 速さは認められていた平手だが、一方でミスも目立った。(写真は2012年)

  • 「平手は大きく成長した」と立川の評価。本来の明るさを発揮し、ムードメーカーにもなっていた。

  • 「若いのが頑張ればいい」と当時のチームメイト竹内浩典は、立川を前面に出していた。(写真は2003年)



  1. 2013 SUPER GT/GT500クラス・チャンピオンの軌跡(2013年12月5日公開)
    1. 1. 開幕前から手応えがあり、いけるぞと思っていました
    2. 2. 勝てたはずなのに...。久々に悔しさを噛みしめました
    3. 3. 3連続ノーポイント。でもチームの雰囲気は変わらなかった