スーパーフォーミュラ 2014年 第7戦(最終戦)鈴鹿 決勝
中嶋一貴が最終レース ポール・トゥ・ウィンで戴冠
新技術を採用した2014年スーパーフォーミュラシリーズで、
トヨタエンジンが圧倒的な強さを見せ、チャンピオン獲得で締めくくる
全日本選手権スーパーフォーミュラの最終戦が鈴鹿サーキットで、1大会2レース制として開催され、レース1は4番手グリッドから抜群のスタートを切ったジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(Lenovo TEAM IMPUL)が完勝。中嶋 一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)が2位、アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)が3位に入り、タイトル争いは中嶋とオリベイラが1点差でレース2へ。レース2はポールポジションから逃げた中嶋一貴が後続を大きく引き離しポール・トゥ・ウィンで圧勝。中嶋一貴は2012年に続き、2年ぶり2回目の国内トップフォーミュラチャンピオンを獲得した。
決勝レース1
9日(日)は朝から雨に見舞われた。雨脚はそれほど強くはないものの、コース路面は完全なウェットコンディションで午前10時10分にフォーメーションラップが開始。しかし、スターティンググリッドに車両が整列したところで、後方でエンジンストールさせた車両が居たため、赤旗が出され、再度フォーメーションラップを行い、予定よりも1周減算した19周でレースがスタートした。
最前列に並んだロッテラーと中嶋一貴が並んで先陣を競り合う一方で、2列目4番手グリッドのオリベイラが絶好のスタートダッシュを見せ、1コーナーの大外からトムスの2台をパス。一気に首位に躍り出た。ロッテラーと中嶋一貴はほぼ並んだまま、1コーナーへと進入していったが、中嶋一貴が先行。首位のオリベイラを追った。
3番手グリッドの国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)がやや遅れ、これをかわして4位に浮上したロイック・デュバル(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)だったが、グリッドでのスタート待機時にほんの少し車体が動いてしまったとして痛恨のフライングスタート判定を取られ、ドライブスルーペナルティ。17位へと後退を余儀なくされ、タイトル争いからは事実上脱落してしまった。
首位を行くオリベイラは、ハイペースで後続を引き離して行き、レースが折り返しとなった10周目には2位に6秒もの大差をつけたが、レースが進んで行くにつれ雨が強さが増していく中、11周目の130Rでクラッシュが発生。ドライバーは無事だったが、セーフティカーが導入されることとなった。
その直前には、17位を走行していた中山雄一(KCMG)が、トランスミッショントラブルに見舞われヘアピンでコースアウト。レースを終えることとなってしまった。
セーフティカーが導入されたことで、首位のオリベイラが築いていたマージンは帳消しとなり、14周目に再スタート。再スタート直後はオリベイラに肉薄した中嶋一貴だったが、その後もオリベイラのハイペースは変わらず、再び徐々に差は開いていくことに。
最後は3.8秒の差をつけ、オリベイラがトップチェッカー。中嶋一貴は2位、ロッテラーが3位でフィニッシュ。逆転タイトルの可能性を残していた国本は4位、石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)が5位、ジェームス・ロシター(KONDO RACING)が6位で続いたが、レース1の結果、タイトル争いは上位の3人に絞られることに。ランキング首位の中嶋一貴とオリベイラはわずか1ポイント差。ロッテラーは中嶋一貴に7.5ポイント差で可能性を残したものの、事実上、オリベイラと中嶋一貴による一騎打ちという状況でレース2を迎えることとなった。
決勝レース2
レース2のスタート前には雨はほぼ止んでいたが、路面はウェットのまま。車両がフォーメーションラップを開始した午後3時、再び軽い雨が降り始めた中で、レース2(28周)のスタートが切られた。
ポールポジションの中嶋一貴は好スタートで首位をキープ。チームメイトのロッテラーも好スタートで2番手グリッドのデュバルをかわし、トムスが1-2状態に。これをデュバル、そして6番手グリッドから4位へと順位を上げたオリベイラがこれを追う形となった。
雨は小康状態とはいえ、ストレートや高速セクションでは高い水煙が舞い上がる中、前走車に視界を妨げられることの無い中嶋一貴はハイペースで後続を引き離して行き、4周目には2位以下との差を5秒以上に広げた。
上位勢の差がやや開き、順位が硬直状態となる一方で、後方では、スタートで順位を落とした石浦がポジションアップ。また、好スタートで7番手グリッドから5位へと順位を上げた平川亮(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)に、国本が猛追。2台は数周にわたってテール・トゥ・ノーズの激しい5位争いを繰り広げた。
13周目、国本はストレートで平川に並びかけるもパスはならず。追撃の手を緩めない国本は、その周の最終シケイン進入でついに平川をパスしたが、続くストレートでは、平川がオーバーテイクシステムを使用し、ストレートで並ぶと、1コーナーでアウトから国本をパス。何とか再逆転を狙った国本だったが、2コーナー進入で平川に接触しそうになり、痛恨のスピン。11位まで順位を落としてしまった。国本はその後、順位を取り返すべく猛プッシュを開始したが、15周目にコースアウト。無念のリタイアとなってしまった。
レースが後半に入ると、逃げる中嶋一貴と、追うデュバル、オリベイラが互いにファステストラップを塗り替え合いながら周回を重ねていった。
24周目にはオリベイラがデュバルに迫り、デュバルはシケイン進入でブレーキングをミス。この隙を逃さずオリベイラはストレートで並びかけ、2台は共にオーバーテイクシステムを点滅させながらのサイド・バイ・サイドの激しいバトルとなったが、1コーナー進入ではデュバルが抑えきり、3位を死守。このバトルで、前を逃げる中嶋一貴、ロッテラーとの差は若干開くこととなってしまった。
27周目にもデュバルがファステストラップをマークするなど速さは見せたが、首位の中嶋一貴は一時2位以下に10秒以上の大差をつけるなど独走でチェッカー。今季最後のレースをポール・トゥ・ウィンの圧勝で飾り、自身2年ぶり2度目のシリーズチャンピオンを決めると共に、レース1との総合結果で今大会にかけられた「JAF鈴鹿グランプリ」も獲得した。PETRONAS TEAM TOM'Sは前戦の時点でチームタイトルを確定しており、チーム設立40周年を迎えた記念すべき年に、ドライバーとのダブルタイトルを獲得した。
2位にはロッテラー、3位デュバル、4位オリベイラ、5位平川、7位に石浦、8位にクマール・ラム・ナレイン・カーティケヤン(Lenovo TEAM IMPUL)が続き、ポイントを獲得。
新しい技術を採用した新型エンジン、新型シャシーの組み合わせでとなった今季の「新生」スーパーフォーミュラは、トヨタエンジン搭載車が全7大会9レース中8勝という圧倒的な勝利を収め、ランキングではチャンピオンの中嶋一貴に続き、オリベイラが2位、ロッテラーが3位、デュバル4位、石浦5位、ロシター6位、国本7位、平川8位と、トヨタ勢がトップ8を占めて幕を閉じた。
PETRONAS TEAM TOM'S 37号車 ドライバー 中嶋一貴:
「レース2はポールポジションからのスタートと言うことで、しっかりスタートを決めればレースの主導権が握れると思っていた。ウォームアップでのペースがあまり良くなかったので、多少心配はしていたが、スタートを上手く決められた。特にクルマの状態が良いわけではなかったが後続との差を築くことができ、結果的に完璧なレースが出来た。レース1で決められれば午後は楽だったはずだが、そんなに簡単ではなかった。ウェットだったこともあり、28周は長かったが、なんとか耐えてタイトルを決めることができてほっとしている。一昨年のタイトル獲得の時と、今回もプレッシャーは同様だったが、今回は自分の力で勝って決められて良かった。シーズンを通して思い返すと、満足出来ていない部分もあったので、またタイトルを獲れるよう頑張りたい」
PETRONAS TEAM TOM'S 36号車 ドライバー アンドレ・ロッテラー:
「難しいレースだったが、3番手スタートから2位フィニッシュというの結果は悪くない。4周目くらいからずっとオーバーステア症状に苦しみながらの走行だっただけに、2位でフィニッシュ出来て良かった。シーズンについては、勝つために戦っているのだし、ランキング3位は残念な結果だ。開幕戦が良くなかったことや、欠場レースがあったことが結果に影響しているのかも知れないが、今更言っても仕方ないし、何よりトムスチームの一員として今シーズンを戦い、チームとして最良の結果で終われたのは良かった」
KYGNUS SUNOCO Team LeMans 8号車 ドライバー ロイック・デュバル:
「レース1に続き、レース2もスタートはあまり良くなかったのだが、ペナルティを受けなかったのは良かった。頑張ってアンドレ(ロッテラー)を追い上げたが、向こうもミスのないドライバーだし、なかなかオーバーテイクするチャンスもなく、前に出る事は叶わなかった。それでも最終戦を表彰台フィニッシュ出来たのは良かった。今シーズンは、欠場を含め厳しい1年でもあった。チームの努力もあり、クルマの調子は非常に良くなったが、トムスには及ばなかった。改めてトムスにはおめでとうと言いたい。トヨタとチームで素晴らしいクルマを用意してくれて、楽しいシーズンを過ごすことが出来た。来季こそは、是非全戦出場してタイトルを争いたい」
スーパーフォーミュラ 2014年 第7戦(最終戦)鈴鹿 決勝レース1結果
順位 | No. | ドライバー | 車両名/エンジン | 周回 | 所要時間 | 差 | ベストラップ |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 19 | ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ | Lenovo TEAM IMPUL SF14 TOYOTA RI4A | 19 | 39'41.541 | 166.78km/h | 1'55.837 |
2 | 37 | 中嶋 一貴 | PETRONAS TOM'S SF14 TOYOTA RI4A | 19 | 39'45.387 | 3.846 | 1'56.520 |
3 | 36 | アンドレ・ロッテラー | PETRONAS TOM'S SF14 TOYOTA RI4A | 19 | 39'47.118 | 5.577 | 1'56.416 |
4 | 39 | 国本 雄資 | P.MU/CERUMO·INGING SF14 TOYOTA RI4A | 19 | 39'55.652 | 14.111 | 1'56.835 |
5 | 38 | 石浦 宏明 | P.MU/CERUMO·INGING SF14 TOYOTA RI4A | 19 | 39'58.942 | 17.401 | 1'56.935 |
6 | 3 | ジェームス・ロシター | フジ・コーポレーション KONDO SF14 TOYOTA RI4A | 19 | 40'02.239 | 20.698 | 1'56.915 |
7 | 1 | 山本 尚貴 | TEAM 無限 SF14 Honda HR-414E | 19 | 40'03.352 | 21.811 | 1'57.058 |
8 | 10 | 塚越 広大 | HP SF14 Honda HR-414E | 19 | 40'04.501 | 22.960 | 1'57.275 |
9 | 31 | 中嶋 大祐 | NAKAJIMA RACING SF14 Honda HR-414E | 19 | 40'05.564 | 24.023 | 1'57.533 |
10 | 20 | クマール・ラム・ナレイン・カーティケヤン | Lenovo TEAM IMPUL SF14 TOYOTA RI4A | 19 | 40'06.182 | 24.641 | 1'57.696 |
11 | 8 | ロイック・デュバル | Team KYGNUS SUNOCO SF14 TOYOTA RI4A | 19 | 40'06.908 | 25.367 | 1'56.642 |
12 | 40 | 野尻 智紀 | DOCOMO DANDELION M40T SF14 Honda HR-414E | 19 | 40'07.981 | 26.440 | 1'57.019 |
13 | 41 | 武藤 英紀 | DOCOMO DANDELION M41Y SF14 Honda HR-414E | 19 | 40'09.338 | 27.797 | 1'57.270 |
14 | 34 | 伊沢 拓也 | DRAGO CORSE SF14 Honda HR-414E | 19 | 40'19.032 | 37.491 | 1'58.573 |
15 | 11 | ヴィタントニオ・リウッツィ | HP SF14 Honda HR-414E | 19 | 40'20.636 | 39.095 | 1'57.655 |
16 | 7 | 平川 亮 | ACHIEVEMENT Team KYGNUS SUNOCO SF14 TOYOTA RI4A | 19 | 40'22.305 | 40.764 | 1'56.614 |
2 | 中山 友貴 | TEAM 無限 SF14 Honda HR-414E | 14 | 30'14.657 | 5Laps | 1'57.716 | |
62 | 嵯峨 宏紀 | DENSO Le Beausset SF14 TOYOTA RI4A | 14 | 30'18.619 | 5Laps | 1'59.721 | |
32 | 小暮 卓史 | NAKAJIMA RACING SF14 Honda HR-414E | 9 | 18'06.452 | 10Laps | 1'57.936 | |
18 | 中山 雄一 | KCMG Elyse SF14 TOYOTA RI4A | 9 | 18'12.684 | 10Laps | 1'58.303 |
スーパーフォーミュラ 2014年 第7戦(最終戦)鈴鹿 決勝レース2結果
順位 | No. | ドライバー | 車両名/エンジン | 周回 | 所要時間 | 差 | ベストラップ |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 37 | 中嶋 一貴 | PETRONAS TOM'S SF14 TOYOTA RI4A | 28 | 54'37.300 | 178.61km/h | 1'55.937 |
2 | 36 | アンドレ・ロッテラー | PETRONAS TOM'S SF14 TOYOTA RI4A | 28 | 54'46.131 | 8.831 | 1'56.112 |
3 | 8 | ロイック・デュバル | Team KYGNUS SUNOCO SF14 TOYOTA RI4A | 28 | 54'46.709 | 9.409 | 1'55.869 |
4 | 19 | ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ | Lenovo TEAM IMPUL SF14 TOYOTA RI4A | 28 | 54'48.119 | 10.819 | 1'56.110 |
5 | 7 | 平川 亮 | ACHIEVEMENT Team KYGNUS SUNOCO SF14 TOYOTA RI4A | 28 | 54'59.356 | 22.056 | 1'56.418 |
6 | 1 | 山本 尚貴 | TEAM 無限 SF14 Honda HR-414E | 28 | 55'11.504 | 34.204 | 1'57.229 |
7 | 38 | 石浦 宏明 | P.MU/CERUMO·INGING SF14 TOYOTA RI4A | 28 | 55'15.540 | 38.240 | 1'56.829 |
8 | 20 | クマール・ラム・ナレイン・カーティケヤン | Lenovo TEAM IMPUL SF14 TOYOTA RI4A | 28 | 55'16.498 | 39.198 | 1'56.789 |
9 | 40 | 野尻 智紀 | DOCOMO DANDELION M40T SF14 Honda HR-414E | 28 | 55'16.956 | 39.656 | 1'56.761 |
10 | 3 | ジェームス・ロシター | フジ・コーポレーション KONDO SF14 TOYOTA RI4A | 28 | 55'20.065 | 42.765 | 1'57.329 |
11 | 11 | ヴィタントニオ・リウッツィ | HP SF14 Honda HR-414E | 28 | 55'20.761 | 43.461 | 1'57.057 |
12 | 41 | 武藤 英紀 | DOCOMO DANDELION M41Y SF14 Honda HR-414E | 28 | 55'28.877 | 51.577 | 1'56.591 |
13 | 10 | 塚越 広大 | HP SF14 Honda HR-414E | 28 | 55'42.149 | 1'04.849 | 1'57.383 |
14 | 34 | 伊沢 拓也 | DRAGO CORSE SF14 Honda HR-414E | 28 | 55'43.979 | 1'06.679 | 1'57.353 |
15 | 31 | 中嶋 大祐 | NAKAJIMA RACING SF14 Honda HR-414E | 28 | 55'44.610 | 1'07.310 | 1'57.650 |
16 | 32 | 小暮 卓史 | NAKAJIMA RACING SF14 Honda HR-414E | 28 | 55'45.946 | 1'08.646 | 1'57.521 |
17 | 2 | 中山 友貴 | TEAM 無限 SF14 Honda HR-414E | 28 | 55'47.075 | 1'09.775 | 1'57.473 |
18 | 18 | 中山 雄一 | KCMG Elyse SF14 TOYOTA RI4A | 28 | 55'52.567 | 1'15.267 | 1'57.927 |
19 | 62 | 嵯峨 宏紀 | DENSO Le Beausset SF14 TOYOTA RI4A | 28 | 56'00.189 | 1'22.889 | 1'58.013 |
39 | 国本 雄資 | P.MU/CERUMO·INGING SF14 TOYOTA RI4A | 14 | 27'59.240 | 14Laps | 1'57.824 |