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スーパーフォーミュラ 2015年シーズン開幕へのプロローグ Part 4

トヨタ自動車 モータースポーツユニット開発部
スーパーフォーミュラ担当エンジニア

関 貴光エンジニア
「今季型エンジンはドライバビリティがさらに向上
性能制限の強化にも対応し、パワーの低下を抑える」

スーパーフォーミュラ担当エンジニア 関 貴光エンジニア 今シーズンのスーパーフォーミュラはエンジンのレギュレーションが少し変わり、性能制限を行うための燃料リストリクターの燃料流量が去年までの100kg/h(1時間に100kgを流す)から、95kg/hに落とされました(※1)。そのため、まずは95kg/hの燃料流量に適合させることがエンジンを開発する上での大きなポイントになりました。5%燃料が減るということは、普通に考えれば5%性能が落ちるということになりますが、その性能低下をいかに抑えるかがテーマとなります。そして、去年から開発を続けてきた結果、何とかキャッチアップすることができたと思います。この鈴鹿テストの時点では、85%ぐらいの完成度と言えるでしょうか。
去年のエンジンはドライバビリティ(操縦追随性)という点で課題が残り、いろいろなドライバーの好みにセッティングを合わせ込むことが難しい部分がありました。エンジン特性に対する個々のドライバーの要求はけっこう異なるものです。とにかく乗りやすく自然吸気エンジンのような特性を求めるドライバーもいれば、多少ピーキーでもターボエンジンらしいパワーの出かたが好きなドライバーもいます。そこで、今年のエンジンは、個々のドライバーの好みの特性にセッティングを合わせやすいように改良しました。具体的にはスロットルを変更し、マップ(操作に合わせて出力を決める基本データ)の制御も見直しています。その結果、例えば鈴鹿サーキットのS字コーナーではどのドライバーもアクセルコントロールを行いやすくなったと思います。
今シーズンはライバルも去年よりパフォーマンスを上げてきているようなので、我々も負けないようさらに性能を高めるための攻めたセッティング、制御をしています。また、今年は第4戦が2基目のエンジンを投入するタイミング(※2)なので、そこに向けての開発も続けています。
スーパーフォーミュラ、そしてSUPER GTでは燃料リストリクターにより性能制限を行っているので、決められたエネルギーの中からいかに多くの出力を引き出すかが開発のポイントになります。それはつまり市販車エンジンの省燃費化もにつながる技術ですので、トヨタ自動車として高い熱効率のエンジンを作るという目標に向けて努力しています。

※1:鈴鹿など基本となるサーキットの場合。第2戦岡山は90kg/hとなる。
※2:競技規定により第1戦から第3戦の間はエンジン本体の変更はできない。第4戦に改良版を投入することができ、以後最終戦まで同じエンジンを使用することになる。