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WEC 2013年 ル・マン24時間レース プレビュー

トヨタ・レーシングとTS030 HYBRID ル・マン24時間レースへと準備万端

トヨタ・レーシングとTS030 HYBRID
ル・マン24時間レースへと準備万端

ピットで走行を待つ2013年型TS030 HYBRID 8号車 トヨタ・レーシングは、FIA世界耐久選手権(WEC)のハイライトとして来週6月22日、23日の両日、フランス・サルト・サーキットで行われる、第90回「ル・マン24時間レース」へと出場準備を整えた。

昨年、ル・マン24時間レースへTS030 HYBRIDをデビューさせたトヨタ・レーシングは、今年も#7にアレックス・ブルツ、ニコラス・ラピエール、中嶋一貴、#8にアンソニー・デビッドソン、セバスチャン・ブエミ、ステファン・サラザンという布陣の2台体制で臨む。

WEC前戦のスパ6時間レースでは#7のみ2013年仕様の参戦となったが、ル・マン24時間レースでは、2台共に2013年仕様のTS030 HYBRIDとなる。

先週、6月9日に行われたル・マン公式テストデーを含む、7回のテストを経て、2013年仕様のTS030 HYBRIDは、信頼性とパフォーマンスの確かな向上を示した。

ル・マンへ向けた準備プログラムには、成功裏に終えた耐久テストも含まれ、TS030 HYBRIDとチームは、30時間以上にわたる連続走行への手応えを得た。

ピットレーンを走行す2013年型TS030 HYBRID 7号車 トヨタ・レーシングの挑戦で要となるトヨタ・ハイブリッド・システム・レーシング(THS-R)は、ル・マン24時間レースの場合、レースコースに7か所指定されたハイブリッド回生区間でブレーキにより得られたエネルギーをキャパシタに蓄電し、加速時に自動的に300馬力に値するパワーを付加する。

先週日曜日に行われたル・マン公式テストデーでは、今週末へ向けた、TS030 HYBRIDとパワートレインのさらなる熟成と、タイヤの評価などを行い、多忙な一日となった。

昨年、TS030 HYBRIDの#7は、#8が遅い車による接触に巻き込まれ激しくクラッシュする中、エンジンの不調に見舞われるまでの6時間にわたり、スリリングな首位争いへのバトルを展開した。

今年のル・マン24時間レースは、トヨタ・レーシングにとっては2回目の参戦となるが、トヨタにとっては15回目の出場となる伝統的なレースでもあり、1992年、1994年、そして1999年に2位入賞を果たしている。

トヨタ・レーシングにとっては、準優勝からさらなる高みへの挑戦となるが、それは24時間レースで表彰台の頂上を目指すことにほかならない。

木下美明 チーム代表:
我々は、ル・マン24時間レースをとても楽しみにしている。昨年のル・マンは、我々にとってTS030 HYBRIDでの初めての戦いであり、いくつかの困難に直面することは予想していた。今年は準備も整い、上手く行くことを期待している。昨年のル・マンで首位争いを展開し、WECで3勝を挙げられたことでも、成功への手応えを感じている。そして、我々の夢は、この伝統のレースで表彰台の頂上に立つことだ。我々は、とても強力なアウディというライバルに立ち向かう以上、確信は持つのは難しいが、出来ることは全てやったし、勝つために100%の力を出し切るつもりだ。長い1週間になるし、様々なことが起こるだろうが、この挑戦のための準備は整った。

アレックス・ブルツ #7:
例年同様、今年もル・マンにやって来ると興奮する。これは本当に私が好きなレースで、既にテストの時点で酔わせてくれるほど、ここに戻って来られて嬉しい。ル・マンは、輝かしい歴史と伝統的スタイルのモータースポーツ、それにハイブリッドシステムやクルマの空力といった先進技術が絶妙に渾然一体となっている。そこで勝ち、表彰台の頂上に上るのは格別な感覚だし、もう一度味わいたいと思う。だから私は戻って来るのだ。去年は我々にとって最初のレースで、本当に難しかった。出来る限り備えはしたが、例え一時的にトップを走っても、本当の意味で戦い通す事は出来なかった。今回は冬をまたいで集中プログラムを実施したし、ライバルも同じように改良してきたようだが、私はこの挑戦を楽しみにしている。

ニコラス・ラピエール #7:
ここに戻って来られてとても興奮している。チームは昨年よりもずっと準備が整っているのと同時に、すごく頼もしい。今年の最初の2レースで少し残念な部分もあったが、ここでは、特に戦績において進歩を見せられると思う。昨年よりもチームの準備は出来ているし、チームの誰もがより経験を積んでいるわけだから、良くなっているはずだ。ル・マンはとても特別なレースで、WECのシーズン中最も重要なレースだ。フランス人ドライバーとして大切だと思うのは、フランスで開催されるレースということではなく、誰にとっても世界で最も有名なレースのひとつだからだ。これまで少しばかりツキに見放され、私自身がここで表彰台の頂上に立ったことはまだないが、昨年はレースをリードする気分を味わえたので、今年こそラッキーで行きたい。

中嶋一貴 #7:
インタビューに答える中嶋 一貴 私にとって2回目のル・マン24時間は非常に楽しみだ。昨年のことがまだつい昨日のように思える。1年経つのは本当に早いし、とても忙しい1年だった。昨年のル・マン以降はとても良いシーズンだったし、富士では、優勝チームの一人として楽しめた。更に、フォーミュラ・ニッポンのチャンピオンも獲得出来たのが良い記憶だ。昨年と比べると、準備はすごく出来ていると思うが、さらに、もう少し速さが欲しいし、レースに勝つための運も必要だと思う。個人的には、昨年の経験のお蔭でずっとリラックスしている。昨年は初めての経験で、その特別な雰囲気が印象的だった。ル・マンのコースは超高速でたくさんのドラマが生まれるが、昨年多くを学んだことで今年は心構えも出来ている。

アンソニー・デビッドソン #8:
ル・マンに戻って来られて興奮しているし、昨年よりはずっと良い結果が出せることを期待している。12ヶ月前にル・マンにやって来て以来、いろんなことが起こった。チームは多くを学び、成熟したし、私自身もあのアクシデントの後のリハビリを完了した。あの記憶よりももっと素晴らしいことを成し遂げるつもりだし、体調は万全だ。チームには絶対の信頼を置いているし、チ−ムメイトはとても速い。過去の何ヶ月か、短期間集中プログラムをこなし、昨年からいかに進歩したかをテストデーでも見せることが出来て嬉しい。いくつかの試練が待ち構えていることも承知しているが、準備は出来ている。我々は出来うる最善の仕事をして、最良の結果を出すべく、プッシュし続ける。

セバスチャン・ブエミ #8:
私にとって2回目のル・マン24時間レースであり、昨年の経験から、とても多くの事を学んだ。既に特別なコースであることは分かっていたが、初めてレースを戦ったことでさらに深く知ることが出来た。昨年、我々の#8はル・マンで初めてシェイクダウンを行ったが、理想的とは言えなかった。今回は、はるかに良い状況であり、全力で挑戦出来ることを願っている。もちろん、最も大事なことは、チェッカーフラッグを受けることだが、それすら過酷なレースでは容易なことではない。最終的に、我々は、トップでチェッカーフラッグを目指したいが、その前に、着実な積み重ねへと多くの仕事をこなすことが必要だ。チームは挑戦に何が必要かを知っており、とても信頼して良い仕事が出来る。しかし、ル・マンはル・マンであり、24時間はとても長い。

ステファン・サラザン #8:
インタビューに応えるステファン・サラザン 私の夢はル・マン、そこでの勝利だ。レースは厳しく、このイベントへと万全の態勢を整え、毎年レースを待ちわびることが私の人生でもある。何回も表彰台に上がり、多くのリードをものにしたが、残念ながら未だに勝利を手にしていない。今年こそはと期待している。とても厳しい24時間にわたるレースだが、我々はテストプログラムとトレーニングプログラムのお蔭で準備は整った。ル・マンのコースは、ほとんどが公道を使用するとてもユニークなものだ。木々は近くに迫り、多くの逸話を残してきた。そして、我々は、通常のサーキットとの違いを感じている。私はこの雰囲気が好きで、このコースの1メートル1メートルを知り尽くしている。ということで、スタートが待ちきれない。

6月19日(水)フリー走行(現地時間16:00−20:00)の後、予選1回目(22:00−00:00)、翌20日(木)の2回の予選(19:00−21:00、22:00−00:00)によって決勝レースのスターティンググリッドが決定。22日(土)の15:00に24時間レースのスタートが切られる。