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サルト・サーキット徹底解剖

ル・マン24時間の変遷をたどる

名勝負の舞台、ル・マン24時間サーキットを巡る(3/4)

2012年も名勝負が生まれたアルナージュ

ポルシェ・コーナーを走行するTS030 HYBRID
ポルシェ・コーナーを走行するTS030 HYBRID
⑥. 短い直線に続いて直角の右コーナー、「アルナージュ・コーナ−(Virage d'Arnage)」が現れる。このサーキットで最も低速で抜けるコーナーだ。LMP1車両でも速度は80km/h程度まで落ちる。アルナージュも近隣の村の名前。ここにも観客のための観戦エリアがある。2012年、アウディR18 e-tron quattro 1号車と激しくトップを争うニコラス・ラピエールのトヨタTS030 HYBRID 7号車が何度も順位を入れ替えた末にトップに立ったのがアルナージュを抜けて次のポルシェ・コーナーへと至るまでの区間だった。

⑦. 「ポルシェ・コーナー(Virage Porsche)」はLMP1車両なら200km/h以上で抜ける高速コーナーで、イン側に観戦エリアも設けられている。このポルシェコーナー(ポルシェ・カーブとも言われる)には「ポルシェだけがノーブレーキで走り抜けたから」という説も聞かれるがこれは俗説。あとに出るフォード・シケインと同様に、安全対策で造られたコーナーに対する資金の提供によるネーミングライツである。ここがハイブリッド車のブレーキングゾーンNo.6となる。

⑧. 橋を通過したところにある「Virage du Pont(橋のコーナー)」、「コルベット・コーナー(Virage Corvette)」と続いていく。コルベット・コーナーは、少し前までカート・サーキットが間近にあるので「カーティング・コーナー(Virage du Karting)」と呼ばれていた。そして次が「メゾン・ブランシュ」。ここは、コースサイドに建つ白壁の家(Maison Blanche)からその名がついた。レストランの名前に使われそうなお洒落な名称だ。

⑨. そして最終の「フォード・シケイン」へと至る。ここは「フォード"S"("S" Ford)」「接続コーナー(Virage du Raccordement)」とも言われ、もともとストレートだったところに1968年に作らたシケインで、このコーナーから先はブガッティ・サーキットのトラックだ。「フォード」は7ヶ所目のハイブリッド車のブレーキングゾーン。ここを抜けるとグランドスタンド前のストレートへと至り、1周を走り終える。

サルト・サーキット

コースは安全のため変化し続ける

ダンロップ・カーブからテルトル・ルージュの「S」までの区間は2002年に改修された
ダンロップ・カーブからテルトル・ルージュの「S」までの区間は
2002年に改修された
2012年のポールタイムは3分23秒787、そして優勝クルーは24時間でこのサーキットを378周回している。
2013年で90周年を迎えるル・マン24時間。サーキットは初開催の1923年から何度もレイアウトを変更、改修されて来た。その目的の大半は安全性の向上であった。ランオフエリアの整備などは今後も引き続き行われるだろう。