サルト・サーキット徹底解剖
名勝負の舞台、ル・マン24時間サーキットを巡る(4/4)
90年に渡る歴史の中、ル・マン24時間サーキットのレイアウトは幾度となく変わってきた。これもクルマの性能向上と安全対策の歴史と言えるだろう。
No.1 1923〜1928
ル・マン24時間が初開催されたのがこのサーキット。全長17.262kmで北端に位置するポンリュー・ヘアピンが特徴。コースレコードは1928年にベントレーでH.バーキンが記録した8分07秒(平均127.604km/h)。
No.2 1929〜1931
全長16.340km。事故が多発したため、鋭角のポンリューがゆるい複合コーナーとされ、距離も922m短縮。また、インディアナポリスとアルナージュの間に観戦エリアが設置された。
No.3 1932〜1955
テルトル・ルージュにS字コーナーが作られて全長13.492kmとなった。第二次世界大戦でサーキットは大きく損傷。グランドスタンド、ピット周り、コースの舗装等、大規模な復旧工事が行われ、1949年に再開された。
No.4 1956〜1967
1955年の大事故の教訓からピット周辺が全面的に改修され、ピットへの減速ゾーンも設置。ダンロップ・カーブの半径も変更され、全長13.461kmに。また、シグナル・ピットがミュルサンヌ・コーナーの先に新設された。
No.5 1968〜1971
車両のトップスピードが大きく上がったことからピット、グランドスタンドの安全性を高めるため、メインストレート手前にシケイン(フォード・シケイン)が設置された。全長13.469km。
No.6 1972〜1978
アルナージュ・コーナーからグランドスタンドまでを改修。速度が高すぎ、コース幅が狭すぎるとの理由でメゾン・ブランシュ・セクション一帯が短い直線とカーブの連続とされ、全長は13.640kmとなった。
No.7 1979〜1985
ル・マン市の南東のバイパス道路建設を受けて、テルトル・ルージュ周辺を改修。それまでの90度コーナーから半径50mのタイトコーナーになり、イン側に観戦エリアも整備された。全長13.626km。
ミュルサンヌの国道と県道が交差する地点にロータリーが建設されたことから、このコーナー周辺を改修。全長は98m短縮されて13.528kmとなった。1986年にのみ使用された。
No.9 1987〜1989
二輪フランスGPのためにダンロップ・カーブ入口を改修。これにより全長が7m延びて13.535kmとなった。1988年にはユノディエールのストレートの再舗装も実施された。
No.10 1990〜1996
ユノディエールのストレートにふたつのシケインが設けられて全長が13.600kmに。1990年7月からコントロールタワー、ピットビルが建て替えられ、併せてパドック、ピットロードも改修された。
No.11 1997〜2001
ダンロップ・カーブ周辺を改修。グラベルベッドが拡大され、全長が5m延長されて13.605kmに。また、2000〜2001年の冬の間にミュルサンヌのギャップが平らにされた。
No.12 2002〜2005
ダンロップ・カーブからテルトル・ルージュの「S」までを改修。これにより長きにわたって24時間レース開催時の日曜日にミサが行われていたチャペルのモニュメントもなくなった。全長13.650km。
No.13 2006
二輪フランスGPのためにダンロップ・カーブの半径を狭め、グラベルベッドを拡幅。全長は13.650kmで変わらず。2006年にのみ使用された。
No.14 2007〜
現在のレイアウトとなる。テルトル・ルージュの半径を大きくして3%の勾配を付け、さらにアウト側のグラベルを拡幅。ピットガレージがそれまでの46から55に増設された。全長13.629kmで、2007年から使用されている。