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4.F1を通じて伝えたい“走り続けるトヨタの意志”
松井誠(モータースポーツ部主査)
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F1を通じて伝えたいメッセージ
● そうやって耐久レースのル・マンから今度はレース距離が300キロ限定のF1へと、トヨタのモータースポーツ活動はしっかり系譜が続いていっているわけですよね。
「ええ。しかもF1の最初のテスト車はル・マンのクルマを設計したのと同じ人間が設計していますからね。ただしル・マンに参戦した当初、F1参戦はまだ未定でした」

● つまり、そういった活動の流れの中でトヨタF1というものが芽生えてきたと?
「もともとエンジニアたちはずっとF1をやりたい、と思ってはいたわけです。ただし、実力も実績もないのにF1をやらせてもらえるわけはありません。したがって、F1をやりたいというのならまずは実績を積もう、という意識があったわけです」

テスト走行で併走するTS020とTF101。トヨタのモータースポーツ活動の中でもひとつの歴史的瞬間だった。  

● そうすると、今こうして振り返ってみるとF1進出に対してル・マンでの成果は大きな意味があったわけですね。
「ええ、それは大きな意味があったと思います。実はF1をやると決めたのは、ル・マンのクルマを作っている途中だったんです。ですから結果は出ていなかったわけです。しかし、ドイツの現場でどんなクルマの作り方をしているのか、というのは日本にも理解してもらっていました。いっぽうアメリカのCARTではエンジン供給をしていましたが、F1参戦が決まったのは、そちらでもまだ勝ち始める前の段階でした。だけれども、そういったル・マンという有名なレースやアメリカのトップクラスのオープンホイールのレースに自分たちが作ったものを出す、というレベルまで到達した、ということを経営のトップが見ていたわけですね。ですから明確な結果が出る前に、そのときF1参戦を決断できたというのはある意味、素晴らしいことだったと思います」

● F1はやはりトヨタのさまざまなモータースポーツ活動の中でも特にスポットライトがあたるカテゴリーでもあるわけです。トヨタはそのF1活動を通じて“クルマが持っている夢や可能性”、また“モータースポーツの楽しさ”といったものをどのような形で伝えていきたいと考えているのでしょうか?
「まず、F1を通して、という部分ですが、われわれが狙っていることをF1だけでカバーできるとは思っていません。その上で、F1についてとなると――やはり“成長過程”でしょうね。レース毎のドラマもそうですけれども、長い目で見た場合にどうなのかということです。F1でも当初の滑り出しはよかったですが3年目は逆に後退してしまいました。しかし、4年目の今シーズンはかなり盛り返して全体の3番目くらいの所にいるわけです。こういったプロセスを見ていただくのが――つまりこんなことをやるとこんな成果を手にできるんだという道程ですね――それを見ていただいて、そこから何かを感じ取って欲しい、ということだと思います」

 
  F1の研究開発に終わりはない。勝利を目指して、日々前進が続く。

● これから先のF1におけるビジョンですが、松井氏の目にはどんなビジョンが見えていますか?
「F1についてはル・マンのときと違って短期プロジェクトだとは思っていません。だから究極まで行かなければダメなんです。チャンピオンになり、タイトルを獲り、そこまで行かないとダメですね。その後ですが、じゃあタイトルを獲ったからもういい、ではなく、あるレベルを保って継続することがまた大切だと思います」

● そこに向かっていく原動力、そこに到達したいとトヨタに思わせているものは何なのでしょうか?
「それはやはり挑戦をしたら最初の目標を、地道でもなんでもいいからやめられない、ということでしょうね。やっぱり究極の所へ辿り着くまで絶対にやめないですね。それができるかできないかということについては――、これはね、自信があるんです。トヨタにはできるんです。なぜならCARTのときに非常に苦労して――その過程ではものすごい大変なときもありましたが――ちゃんと実力を高めて勝利まで辿り着いたわけです。そういった成功体験がわれわれにはあるんです。ですから、やればできる、というそういった強い自信を持っています」

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1.グッドウッド・フェスティバルとは? 詳細..
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