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Features Behind the Scene at the Monaco Grand Prix
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モナコGPの舞台裏 木曜日
2007年5月24日(木)

●木曜日:モナコはとにかく狭い!
「モナコでF1カーをドライブするのは、自宅のリビングルームで自転車に乗ろうとするようなものだ」
これはかつて3度の世界チャンピオンに輝いたネルソン・ピケの有名な言葉です。

もちろんグランプリドライバーなら一般の人たちよりも大きなリビングルームを持っているはずですが、それでもこれはうまい比喩だと言えるでしょう。モナコでは、ドライバーにとってもチームにとっても、とにかくスペースは貴重なのです。ラルフ・シューマッハーは木曜日午後の2回目のフリー走行でまさにこのことを私たちに示してくれました。彼はプールサイドのコーナーの出口でタイヤバリアに接触してしまったのです。ただし、このアクシデントが起こったのはこの日のセッションの後半のことでしたから、F1で最高の栄誉を賭けた今回のレースに臨むパナソニック・トヨタ・レーシングの準備に、それほど大きな影響はありませんでした。いっぽうで2004年に優勝している"モナコ・スペシャリスト"のヤルノ・トゥルーリは、この日の4番手となる好タイムを記録しています。

ラルフの接触について、「あそこは低速コーナーだったからそれほど大きなダメージはなかった」と説明するチームマネージャーのリチャード・クレーガン。「あのときはセッション終盤のプラクティスを始めるためにセットアップを進めている最中だった。不思議なことにこのコースではセッションが進むにつれてオーバーステアが強くなる。もしかしたらそれも接触の原因のひとつかもしれない。ラルフはあそこでブレーキングして、ほんのすこしだけコントロールを失い、そしてわずかにカーブに接触して止まってしまった。ターン1で目にした他チームのクルマのアクシデントと同じような感じだったね。このコースではああしたことが頻繁に起こるものなんだ!ドライバーは限界を見極めるためにすこしだけ余分にプッシュするからね」

現在のモンテカルロのピットレーンは、多額の資金を投じた港湾工事のお陰で以前よりは広くなりましたが、それでもやはりスペースが限られていることに変わりはありません。シーズンの中で最も華美なモナコのF1パドックは、港と崖の間に位置しています。崖の頂上にはレーニエ大公の宮殿と旧市街があり、また、チームのトラックはその崖を削って設置された駐車場(複数階になっています)に駐車しています。モナコGPは、毎年のことながら、ロジスティクスを担当するスタッフの腕が試される場なのです。
 
そんな中、唯一ぎゅうぎゅうに押し込まれていないのがレースのスケジュールです。レースの週末は通常よりも1日早い木曜日に始まり、金曜日はF1ドライバーたちの"自由行動の日"となります。これの理由ですが、かつてのモナコGPは常に休日となる(キリストの)昇天日と同じ週に開催されていたからだとか。そのため1日分日程が多いというわけです。ただし今年はこれに該当しませんし、また、誰もこのことに気づいてすらいないようです。モンテカルロでは今までもずっと4日間でレースが行われ、そして"億万長者たちの遊び場"で1日余分に日程が組まれていることに不満を述べる者などひとりもいないのです。というよりも、あの無数の巨大ヨットが実際の富の大きさを本当に象徴しているのだとしたら、そうした億万長者たちのために"遊び場"をもっと広げるべきなのかもしれません。

●ライバルチーム周辺で見つけたニュース

よく言われることなのですが、モンテカルロで勝つ秘訣は「レースの週末を通じて自分のクルマに傷をつけたり、クルマの開発やドライバーのリズムを損なうようなことを決してしないこと」です。路面にタイヤのゴムが乗ってグリップが高まり、それに伴って速く走れるようになると、ドライバーのリズムにも磨きがかかっていきます。そして土曜日の予選でそれが最高潮に達するのです。狭いストリートコースでは追い越しがほぼ不可能に近く、そのためスターティングリッドの位置が何よりも重要になります。

木曜日にアクシデントに見舞われたのはラルフひとりだけではありませんでした。スーパー・アグリのアンソニー・デビッドソンはサン・デボーテ(ターン1)でクラッシュしましたし、さらには現在タイトル争いのポイントリーダーでもあるマクラーレンのルイス・ハミルトンも、それとまったく同じような形でクラッシュし、クルマの左前部を損傷しています。彼はブリヂストンのスーパーソフトを履いて周回を始めた1周目にクラッシュしています。この日、朝からずっと速かったハミルトンですが、このアクシデントの影響で全体ではチームメートのフェルナンド・アロンソとフェラーリのキミ・ライコネンに次ぐ3番手タイムに終わりました。またサン・デボーテではスパイカーのエイドリアン・スーティルもクラッシュしていますし、ルノーのジャンカルロ・フィジケラも午前中のフリー走行でクラッシュしています。

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