特集 > モナコGPの舞台裏 > 土曜日
Features Behind the Scene at the Monaco Grand Prix
Features
モナコGPの舞台裏 土曜日
2007年5月26日(土)

●土曜日:ジレンマを抱えながらの予選アタック
パナソニック・トヨタ・レーシングのヤルノ・トゥルーリとラルフ・シューマッハーは予選でそれぞれ14位と20位となり、どうやら難しいレースを迎えることになりそうです。

今シーズンここまでのところ、トヨタの2台はほとんどの予選でトップ10入りしていたのですが、今回ふたりが直面した問題はモンテカルロ攻略に必要となるセットアップが非常に独特であることを証明する形となりました。

「自分たちには十分なグリップが欠けているような感じがしたし、おそらくクルマ自体がすこし硬すぎたと思う」とラルフは説明していました。伝統的にモナコのコースはタイヤのラバーが路面に乗っていくにつれてどんどんグリップが高まっていきますし、木曜日のフリー走行ではブリヂストンのスーパーソフトの“オプション”タイヤがその力を発揮していました。

ところが土曜日の午前中のフリー走行は雨の中での走行となってしまい、サーキットの路面が洗い流されて、そういったプロセスがやり直しになってしまったのです。トヨタのふたりにとってこの状況はまったく助けになりませんでしたし、また、ヤルノはアタックラップで渋滞に捕まってしまったばかりか、ブレーキトラブルにも悩まされてしまいました。

シャシー部門シニア・ゼネラル・マネージャーのパスカル・バセロンは今回の予選について次のように説明しています。

「モナコでのパフォーマンスを左右する要素は他のサーキットの場合とまったく異なる。それはここの平均速度が非常に遅いという単純な理由からだ。サーキットのほとんどの場所においてクルマのパフォーマンスはタイヤを通じて得られるメカニカルグリップ次第だし、そのため加速とトラクションが非常に重要になる」

「モナコではエンジン馬力そのものは他のサーキットと比べてそれほど重要ではないし、空力の効率も大きな要素にはならない。とにかくとても低速なコーナーが多いからね。そのため最大限のダウンフォースを得るため、一番大きなウイングを使用することになる。また、いくつかの低速コーナーを問題なく曲がれるよう、機械的な部分にも変更を施している。路面が盛り上がっている部分があるためライドハイトをいつもより高めにしているし、カーブでのパフォーマンスを向上させるため、クルマはいつもより柔らかめにしてある」

「ほかにも色々な要素がある。たとえばあのタイトなヘアピンを曲がらなければならないため、ステアリングが回転する範囲を通常よりも大きくする必要がある。また、モナコはクルマ全体のパフォーマンスの中でドライバーが占める割合が大きくなるサーキットでもある」

「レース用の燃料を搭載して予選を走るようになってからは、モナコ特有のジレンマを抱えるようになった。過去のレースを振り返ってみると、モナコで一番いいのは予選で前方のグリッドを確保することだ。ここでは追い越しがとにかく難しいし、また、集団の中にいると大きくタイムをロスすることになるからね。つまり、予選ではできるだけ軽い燃料で走ることになるわけだ。ただし、モナコでは追い越しが非常に難しいだけに、通常は第1スティントをできるだけ長めにしなければならない。つまり、予選では前列を確保しなければならないのに、同時に第1スティントはできるだけ長めにしなければならないわけだ。これは明らかな矛盾だ。仮にスティントを長くすると、予選結果は悪くなってしまう。モナコでは各チームがかなり異なった戦略をとるのはこれが理由だ。いつもなら各チームの燃料補給は3~5周以内に収まるが、モナコではそれが10周程度にばらつくことになる」

●ライバルチーム周辺で見つけたニュース
フェルナンド・アロンソが2年連続でポールポジションを獲得したマクラーレン・メルセデスが、フロントローからモナコGP決勝を戦うことになりました。ただしイギリス人ルーキーのルイス・ハミルトンは、過去にF3とGP2でここを走った際に優勝しており、一度もモナコで負けたことがないのです。また、チームメートのアロンソよりも燃料が重いことを示唆していますし、予選でもレッドブルのマーク・ウェバーから邪魔されなければポールポジションを獲れたはずだとコメントしています。

いっぽうフェラーリの望みは予選3位のフェリペ・マッサの双肩にかかっていると言っていいでしょう。チームメートのキミ・ライコネンは予選第2セッションでプールサイドのタイヤバリアに右前輪を接触させてしまい、それ以上予選を勝ち上がることができませんでした。F1カレンダーの中で最も追い越しが難しいとされるモナコのコースで、15番グリッド(暫定結果)からスタートする彼は、非常に厳しい日曜の午後を迎えそうです。

コンストラクターズ・チャンピオンのルノーは、ジャンカルロ・フィジケラが4位となり、今シーズン最高の結果を手にしています。また、5位のニコ・ロズベルグもウィリアムズに今季ベストのグリッドをもたらしたことになります。

6位はレッドブルのマーク・ウェバーで、それに7位と8位で続いたのはBMWのふたり、ニック・ハイドフェルドとロバート・クビサです。ただし燃料の軽い最適な条件で走る第2セッションでBMWはマクラーレンにかなりタイムで接近していましたから、あるいは第3セッションは燃料を重めにしていた可能性もあります。その場合、戦略的に優位な立場になり、レースでは好結果につながるかもしれません。

ウェバーのチームメート、デビッド・クルサードは(彼はマクラーレン時代にモナコGPを2度制覇しています)ヘイッキ・コバライネンの予選アタックを妨害したとしてレーススチュワードからペナルティを受けています。

そして予選トップ10の最後はホンダの2台、9位がルーベンス・バリチェロ、10位がジェンソン・バトンとなりました。

モナコGPの魅力

詳細..

デイリーレポート

木曜日
詳細..
金曜日
詳細..
日曜日
詳細..

ヤルノが語るモナコGP

詳細..