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Rd.13 Grand Prix of Italy
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新居章年リポート
2007年9月10日(月)

いつもご声援ありがとうございます。F1も9月に入り、いよいよ終盤戦となりました。今週行われるイタリアGPは平均スピードが17戦中もっとも高い超高速サーキットです。それでは、モンツァで開催された伝統の一戦、イタリアGPの模様を報告しましょう。

●合同テストで超高速コース、モンツァへの対応を準備
イタリアGPが開催される前の週に、グランプリが行われるモンツァで合同テストが行われました。ロングストレートを3つのシケインと2つのコーナーで結んだモンツァは、ほかのサーキットとはまったく異なるキャラクターを持っているため、エアロダイナミクスも専用のものを用意しなければなりません。ですから1週間前の合同テストでは、モンツァ仕様の空力パーツでのセットアップが主なプログラムとなりました。モンツァはストレートエンドのブレーキングと、3つあるシケイン通過時の縁石対策がポイントとなるサーキットですが、テストではその対策に関しても、いい結果を得ることができました。ここ数戦は連続して予選トップ10を獲得しているように、我々のクルマのパフォーマンスは悪くないと思っていますが、どうしてもそれが結果に結びつかないレースが続いています。ここからはクルマの速さだけでなく、その課題を克服できる戦いをしていきたいと思っています。

イタリアGP初日は、サイドポンツーンに装着するトップクラッシュウイングにクラックが入り、急きょ取り外して走行することに

●初日フリー走行で、空力パーツに予期せぬトラブルが発生
事前にテストを行って準備してきたにもかかわらず、いきなり初日フリー走行の1回目からクルマに不具合を発生させてしまったことは、反省しなければなりません。トップクラッシュウイングと呼んでいるサイドポンツーン前方上方部に装着している空力パーツにひびが入るという予期せぬアクシデントが発生。午後のフリー走行2回目は、それを完全に取り除いた形で走行しなければなりませんでした。我々は急きょファクトリーから対策を施したものを取り寄せ、土曜日は朝から問題なく走ることができました。

そういったこともあってか、初日午後のフリー走行ではヤルノ(トゥルーリ)が11番手、ラルフ(シューマッハー)も12番手と不満の残る結果となりました。特にラルフは、ヤルノが順調にセットアップを進めていたのに対して、思うようにセッティングを煮詰めることができず苦労していました。アンダーステア傾向にあり、縁石でのクルマの挙動にも不満を持っていて、前後のトーションバーやサードエレメントの交換などに時間を費やしました。しかし、トップスピードは悪くないので、空力的な変更ではなく、メカニカルな部分でハンドリングを変えていく方向で対処していきました。

●予選第2ピリオド、ヤルノが会心のアタックでトップ10入り
今回イタリアGPの公式予選は非常に接戦となり、我々パナソニック・トヨタ・レーシングにとっては、予想以上に厳しい戦いとなりました。そんな中でヤルノが第2ピリオドの2回目のアタックで素晴らしい走りを披露して、8戦連続で最終ピリオドへと進出したことは評価したいと思います。1分22秒台を狙っていたのでタイム的には少し残念でしたが、決して悪くない結果だと思います。

予選第1ピリオドは1秒以内に16人がひしめく大混戦。セットアップに苦戦していたラルフは渋滞にも悩まされ、脱落してしまった
一方、ラルフは前戦トルコGP同様、結果的に第1ピリオドで予選を終えることになってしまいました。第1ピリオドを突破するかどうかというのは、レースで満足のいくパフォーマンスを発揮できるかどうかの大きなポイントとなるので、本当に残念です。今回、第1ピリオドは1秒以内に16人がひしめく大混戦で、16番手までは、わずかに100分の5秒。ラルフ本人は口にしませんでしたが、渋滞の影響があったことも確かです。タイムという点では、ほとんど前の数台とは差がなく、ダンゴ状態となっているので、決勝レースでは力強い走りを見せられるだろうと期待をつないでいました。

ヤルノはシングルグリッドからスタートしたが、ポイント獲得ならず。スタートでの出遅れとブルツに前を押さえられたことが響いた
●スタートでの出遅れによって、ポイントが一気に遠のく
気をつけていたスタートでの出遅れが、今回再び出てしまったことは、今後の大きな反省材料です。9番手からスタートしたヤルノはこれで1コーナーまでに3つポジションを落としてしまいました。さらに直後のシケインで、後続にいたアレクサンダー・ブルツ(ウイリアムズ)がシケインをショートカットして、そのままヤルノの前に出てきて、しばらく前を走り続けるという不運も、ヤルノの1ストップ作戦を台無しにしました。ヤルノの1つ前のグリッドだったニコ・ロズベルグ(ウイリアムズ)が6位入賞を果たしているだけに、スタートでの出遅れが残念です。

次戦はダブルヘッダー、ベルギーGP。それが終われば、いよいよ母国ラウンド、富士スピードウェイでの日本GP決戦が待っている
ラルフは問題なくスタートしたものの、前後のグリッドからスタートしたライバル勢も同じ1ストップ作戦を敷いていたために、ピットストップでの逆転はなりませんでした。コース上でも、最終コーナーで前のクルマに近づきすぎると、前の車の乱気流に入りコーナー中でアンダーが強くなるため距離を少しとらざるを得ず、ついては離れ、離れてはつくという展開の繰り返しとなりました。

今回のイタリアGPでは、予選でのパフォーマンス向上と、レースでのスタートの改善という2つの課題ができました。次戦、2週連続開催となるベルギーGPまで時間はありませんが、できる限りの対策をして、日本GPにつながるようなレースを行いたいと思っています。ご声援よろしくお願いします。


モンツァでの新居章年。事前テストでの成果を踏まえ上位フィニッシュが期待された今回だったが、決勝レースは悔しい結果に終わった。日本GPまで残りは1戦。スパで巻き返しを狙う。