TOYOTA GAZOO Racing WRC チャレンジプログラム ラリー・エストニアに7組が参戦、多くの学びを得る

2026.07.21(火)- 17:00配信

2026年7月17日から19日にかけて行われたFIA世界ラリー選手権第9戦ラリー・エストニアに、TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの7組が出場しました。エストニアでの高速グラベルラリーへの挑戦は、プログラムにとってはハプニングの多い大会となりましたが、全クルーにとって今後の成長につながる重要な学びと経験の場となりました。

山本・フルトン組
山本・フルトン組

GR Yaris Rally2でWRCイベントに継続参戦中の2期生の山本雄紀は、2025年の同大会でのクラス7位という結果を踏まえ、さらに上位を目指して臨みました。初日のSS1でスピンにより約20秒を失いましたが、その後は高速ステージを得意とするエストニアやフィンランドの多数の強豪を相手に力強いペースを示しました。土曜日にはWRC2クラスのトップ10圏内まで徐々に順位を上げていましたが、SS15の高速コーナーでワイドに膨らみ横転を喫しました。クルーに怪我はなく、車両も修復可能であったため、日曜日に再出走し、WRC2クラス16位でラリーを終えました。

この大会では、今年からRally2車両にステップアップした3期生の後藤正太郎、松下拓未、プログラム初のグローバル生であるヤスパー・ヴァヘルもWRC2デビューを果たしました。松下と後藤は、各ステージを完走して貴重な経験を積み、WRC2クラスでそれぞれ10位、11位でフィニッシュ。Rally2でのWRCイベント初参戦ながら、セクションによっては好ペースも示しました。また、フィンランド・ラリー選手権やヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)での好成績を受け、この大会でも期待されたヴァヘルは、初日のSS1でスピンするもうまく立て直し、SS3でステージウィンを獲得して金曜日終了時点でクラス4位、トップからわずか7.4秒差に迫りました。しかし残念ながら、土曜日の最初のステージでコースアウトして木に接触しました。クルーは無事でしたが、車両の損傷が大きく、再スタートはかないませんでした。

4期生の尾形莉欧と柳杭田寛太は、ルノー・クリオ Rally3でWRC3クラスに初出場しました。尾形は非常に力強いスタートを切り、SS1と2でステージウィンを飾りましたが、SS3にできていた深い轍でコントロールを失いクラッシュし、早々に週末を終えることとなりました。柳杭田は安定したクリーンなラリーを展開し、土曜午前まではクラス2位を走行、2つのステージウィンを記録しましたが、土曜日の午後は車両のテクニカルトラブルで走行できず、デイリタイアを余儀なくされました。再出走した日曜日はその日の両ステージでクラストップタイムを記録し、クラス5位でラリーを終えました。

また、コ・ドライバーの前川富哉は、ヤルッコ・ニカラとのコンビで今季2度目のWRC3出走。金曜日に2つのステージウィンを記録しクラス2位につけましたが、土曜日最初のステージの低速コーナーでの横転により土曜日は早々に終了となりました。日曜日に再出走し、両ステージで柳杭田に次ぐ2番手タイムを記録しました。

結果 (WRC2クラス)

  1. 1 Robert Virves/Jakko Viilo (Škoda Fabia RS Rally2)

    2h39m49.6s

  2. 2 Teemu Suninen/Janni Hussi (Toyota GR Yaris Rally2)

    +7.6s

  3. 3 Roope Korhonen/Anssi Viinikka (Toyota GR Yaris Rally2)

    +8.8s

  4. 4 Emil Lindholm/Gabriel Morales (Škoda Fabia RS Rally2)

    +51.3s

  5. 5 Mille Johansson/Johan Grönvall (Škoda Fabia RS Rally2)

    +1m48.4s

  6. 6 Patrick Enok/Silver Simm (Škoda Fabia RS Rally2)

    +2m02.4s

  7. 10 松下拓未/ペッカ・ケランダー (Toyota GR Yaris Rally2)

    +4m52.6s

  8. 11 後藤正太郎/ユッシ・リンドベリ (Toyota GR Yaris Rally2)

    +6m04.4s

  9. 16 山本雄紀/ジェームス・フルトン (Toyota GR Yaris Rally2)

    +22m45.5s

  10. リタイア ヤスパー・ヴァヘル/ライト・ヤンセン (Toyota GR Yaris Rally2)

結果 (WRC3クラス)

  1. 1 Tymoteusz Abramowski/Jakub Wróbel (Renault Clio Rally3)

    2h52m35.5s

  2. 2 Nicolas Otto/Hugo Magalhães (Renault Clio Rally3)

    +7m57.5s

  3. 3 André Martínez/Matías Aranguren (Ford Fiesta Rally3)

    +21m08.1s

  4. 4 Nataniel Bruun/Pablo Olmos (Ford Fiesta Rally3)

    +46m50.8s

  5. 5 柳杭田貫太/ユホ・コスキ-ランミ (Renault Clio Rally3)

    +50m02.0s

  6. 6 Kerem Kazaz/Corentin Silvestre (Ford Fiesta Rally3)

    +1h14m16.9s

  7. 7 ヤルッコ・ニカラ/前川富哉 (Renault Clio Rally3)

    +1h29m57.1s

  8. リタイア 尾形莉欧/ミカエル・コルホネン (Renault Clio Rally3)

ユホ・ハンニネン(インストラクター)
今回のラリーには、各クルーがそれぞれの目的を持って臨みました。山本は昨年のエストニアで良いラリーをしていたので、競争レベルの高いWRC2でも高い期待をしていました。土曜日のミスは残念でしたが、チームが車を修理して最終日に走行再開できたので、次のラリー・フィンランドに向けて前向きに準備を進めることができました。ヤスパーについては、彼のホームラリーということもあり大きな期待があり、序盤から良いペースを見せていましたが、トップ勢に追いつこうと少し攻めすぎてしまったかもしれません。長丁場のラリーでは、我慢強く全体を見ながら走ることが必要だという学びになったはずです。松下と後藤は轍の大きいステージでは苦戦しましたが、共に大きなミスを避け、まずまずの走りで将来に向けて多くの学びを得ました。WRC3では、尾形が序盤に良いペースを見せていましたが、小さくとも致命的なミスを犯してしまいました。ここでも長いラリーでのペース配分を学ぶ難しさが表れました。柳杭田はトラブルはありましたが安定して良い走りを見せ、前川はこのレベルでさらに経験を積み、ヤルッコも前川のパフォーマンスに満足していました。

山本雄紀
今回のラリーでは望んでいた結果は得られませんでした。最初のステージでスピンをしてしまいましたが、その後は良いペースで走ることができ、徐々に順位も取り戻していました。ですがSS15のコーナーでコースアウトし、転倒してしまいました。本当に残念でしたが、車を完璧に直してくれたチームには本当に感謝しています。翌日ステージに戻れたことで、次のフィンランドに向けていくつか試すことができたのは良かったです。ポジティブな点もいくつかありましたし、次のイベントでのさらなる改善に向けて準備をしていきます。

後藤正太郎
今週末の結果にはとても満足しています。ペースは今シーズンこれまでで最も良く、数ラリー前のスウェーデンで苦戦したことを考えると、多くのセクションでトップのドライバ―たちに近いスプリットタイムを出せるとは思っていませんでした。轍が大きい区間でのスプリットタイムはあまり良くなかったので、これは今後取り組むべき明らかな課題ですし、この大会で多くの経験を積めたことを嬉しく思います。

松下拓未
今回のラリーは非常に堅実な内容だったと思います。金曜日から良いフィーリングでスタートし、ステージタイムも悪くありませんでした。土曜日は違うことを試してみて苦戦をした部分もありましたが、日曜日にはリズムをつかんで少しプッシュしたところ、タイムがこれまでより良くなりました。ポジティブな感触でラリー・エストニアを終えられてとても満足していますし、ラリー・フィンランドを楽しみにしています。

ヤスパー・ヴァヘル
金曜日は全体的にうまくいったと思いますが、最初のステージで小さなミスをしてしまい、日中もいくつかトラブルがありました。そのためタイムは失いましたが、上位争いには踏みとどまることができ、概ね満足していました。ですが土曜の最初のステージでは、攻めすぎてコーナーへの進入が速すぎました。あと少しで持ちこたえられそうだったのですが、リアタイヤがひっかかり、木にぶつかってしまいました。とても残念でチームにも申し訳なく思っています。何が起きたかを分析し、今後はこれを改善します。

尾形莉欧
ラリーは良いスピードでスタートしました。一部の区間はフィンランドの路面よりも速く感じられ、走っていてとても楽しかったです。ですがSS3で驚くほど非常に深い轍があり、気づくのが遅く、すでにスピードが乗りすぎていて避けることができませんでした。クルマの姿勢が乱れ、コントロールを失ってしまいました。今後はこうした区間でも生き残れるよう良いバランスを見つける必要があります。ラリー・フィンランドではアプローチを改め、より多くの経験を積めるようにします。

柳杭田貫太
このラリーでは、ステージタイムをあまり気にせず走行距離を積んでできるだけ多くを学ぶことを目標にしていて、うまくいきました。初日は路面とコンディションを確認するために比較的安全なペースで走りました。二日目に車両トラブルがあったのは残念でしたが、メカニックが素晴らしい仕事で直してくれ、最終日はとても楽しめましたし、最終ステージではより攻めることができました。総じて良いラリーになったと思うので、この感触をラリー・フィンランドにもつなげていきたいです。

前川富哉
今回のラリーは、前回のポルトガルでのWRC参戦とは異なる意味で難しい挑戦でした。ステージは非常に高速で、ノートのリーディングのタイミングはよりコミットする必要がありました。今回のイベントで見つかったリーディングでの自分の弱点をさらに改善するための練習をしようと思っています。SS8で残念なコースオフをしてしまいましたが、日曜日にも貴重な走行経験を得られるようにクルマを直してくれたチームには感謝しています。次回はより良い結果を目指します。

後藤・リンドベリ組
後藤・リンドベリ組
松下・ケランダー組
松下・ケランダー組
ヤスパー・ヴァヘル
ヤスパー・ヴァヘル
尾形・コルホネン組
尾形・コルホネン組
柳杭田・コスキ-ランミ組
柳杭田・コスキ-ランミ組
前川富哉
前川富哉