(1)時代の変化
「車って格好いい」単純にそう感じていた時代は終わり、「便利な乗り物」という認識になっている様です。確かに技術の進歩の方向性は「より便利に」「より快適に」「より安全に」で、正しいと思います。そして、それは「誰が運転しても快適で、安全で、スマートに」と進化し、車の運転技術が要らない時代になって来ました。F1レースも見ていてあまり面白くありません。とても寂しいことだと思います。ドライバーに求められる運転技術はゴーカート並みに単純化し「速く走ることへの憧れ」はいつしかお金があればかなえられる夢へと変化しました。(実際はそんなに単純ではない事は理解しています)
(2)現在の市販車
今買えるモータースポーツ系の市販車って何車種あるのでしょう。
マニュアルトランスミッション搭載車種を考えても国内全メーカー合わせて10車種前後。
そんな馬鹿な!
「自分で買った車でモータースポーツしたい」と考えるなら何に乗るか?
以前はコンパクトカーからハイパワースポーツ車まで豊富な選択肢がありましたが、今は・・
ヴィッツ、デミオ、スイフト・・・・ランサー、インプレッサ・・・終わり。さびしい・・・。
もちろん、オートマチック車でもモータースポーツはできます。でも、スポーツである以上、勝った時の喜びを求めて参加するものです。モータースポーツを入門するB級ライセンスで参加可能なジムカーナ、ダートラ、ラリーにおいて新車を選べない状況が続いて久しい。この状況に合わせて排気量クラス分けも1500ccクラスを設けたり、JAF、JMRC、モータースポーツ関係者さんの努力に頭が下がります。自動車メーカーが経営難に直面した時に真っ先に削減してしまうモータースポーツへの費用ですが、本当に正しいのか、甚だ疑問です。
(3)新車で選べるモータースポーツ系市販車の実際
実際にヴィッツRS 5MTを購入して乗りこなす為にトライを続けています。そこで気付いた事。電子デバイスが多くて運転しづらい。「ドライバーに運転技術を求められていない」という現実をはっきりと確認しました。アクセル、ブレーキ、運転に関するこの2代要素が完全に電子デバイス化していてドライバーの意思とリンクしません。アクセルのレスポンスの悪さはインジェクターが詰まっているのかと思いました。ブレーキに至ってはスリップ以前の領域でドライバーの意思を完全無視で危険ですらありました。(これはブレーキアシスト機能が原因でした。ABSの性能は昔より向上しています。)
昨年のモーターショーで各社がトライし始めているブレーキもステアリングも完全電子化(サーボモーターによる)が現実化すると、もっと恐ろしい事が起きるのではないか?と不安が頭をよぎります。すでに、一部の高級車などで電子制御のエラー、プログラムミスなどで問題は起きていますが、これがレーシングスピードで発生すると確実に死者が出ますよね。どんなに、運転技術が優れていても、アクセル、ブレーキ、ステアリングの操縦の3大要素の一つでもコントロール不能になれば容易に大事故は発生します。メーカーさんは開発方向性を少し修正していただく事が必要なのではないかと思います。
ただし、素晴らしく改良されている部分も多くあります。整備性の向上は特筆に値します。単純に環境性能やコストだけを追求するのでは無く、組み立て性、整備性も大幅向上していることも忘れてはならない進化と感じています。
(4)提言「モータースポーツ発展の為に、どんな市販車が世に出るべきか?」
いままで述べてきた事より、モータースポーツに興味を持ち始めた人が入手しやすいサイズ、価格の車で、機能は至ってシンプル(完全電子デバイス化はNG、操縦にリニア感を求める)、スタイリングは子供達が憧れるスポーツ系。こんな車両が良いのだと思います。
例)排気量1500cc、価格100~150万円(装備簡素化グレード)、2ドアクーペスタイル(4ドアでもスタイリッシュである事)、マニュアルトランスミッション搭載、ABSレス選択可、アクセルはワイヤー式、ステアリングはラック&ピニオン、ロールバー付き選択可。
(5)まとめ
やはり、モータースポーツの入り口が無ければ車もモータースポーツも盛り上がる事は無い。
興味を持った人が、簡単に始められて、車を操るのは楽しいと感じ、競技で勝利するのはもっと楽しいと教えられたら、盛り上がる事間違い無し。
「モータースポーツはじめたいんですけど・・・」と聞かれたら、「それでは、○○メーカーの○○って言う車両をまず買って練習会に参加しましょう」と、自信を持って勧められるような世の中になるようにメーカーに働きかけて行きましょう!