全日本ラリー第8戦
奴田原文雄が年間総合チャンピオンを獲得!
2014年全日本ラリー選手権 第8戦 M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ レポート
伝統のターマックラリーで年間タイトル決戦!
今年で42回目を数える伝統のラリー、全日本ラリー選手権第8戦「第42回M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ」が10月18日(土)?19日(日)に開催された。
前戦ラリー北海道を終えた時点で、トップクラスのJN6のチャンピオン争いは奴田原文雄と勝田範彦に絞られていた。シリーズポイントは奴田原の96.2点に対して勝田は80点。このラリーで勝田がフルポイントで勝ったとしても、奴田原が4.6点を獲ればタイトルが決まるという天王山だ。
ラリーは、岐阜県高山市郊外のモンデウス飛騨位山を拠点に、初日に10SS(38.26㎞)、2日目に4SS(31.46㎞)が設定され、2日間あわせて69.82㎞、総走行距離361.99㎞で争われた。路面はオールターマック(舗装路)で、サービスパークの隣山にあたる舟山スノーリゾートアルコピアにはギャラリーステージが設定された。
[ JN6クラス ] 奴田原文雄が年間タイトルを奪取
JN6クラスは、ここで負けると後がない勝田範彦/足立さやか組(スバル・インプレッサ)がオープニングステージから圧倒的な速さでベストタイムを連取し、後続を引き離す。一方、奴田原文雄/佐藤忠宜組(三菱ランサーエボリューションⅩ)は、タイトルに照準を合わせ、無理のないペースで2位につける。初日の最終サービスに戻ってきた時点で、勝田はデイ1すべてのSSでベストタイムをマークし、2番手の奴田原に26.9秒の差をつけて折り返す。
ところが、ここでドラマは起きる。SS4からタービンに異音が発生していた奴田原は、この最終サービスでタービン交換を行うことを決断。しかしサービスの規定時間内に交換を終えることができず、最終TCに3分遅れでチェックインし、30秒のペナルティを受けて6位へと転落してしまう。
2日目も勝田は渾身のアタックを続け、終わってみれば全SSでベストタイムを奪う完全勝利を達成。しかし奴田原もSS9で5位に浮上、デイ2でも3位のデイポイントを獲得して4点+1点の5点を獲得。2009年以来となる悲願のチャンピオン奪回を成し遂げた。2位には新井敏弘/竹下紀子(スバル・インプレッサ)、3位には高山仁/河野洋志(スバル・インプレッサ)が入った。
[ JN5クラス ] 勝田貴元が全日本ラリー初優勝
前戦ラリー北海道で、鎌田卓麻/市野諮組(スバルBRZ)のタイトルが決まったJN5クラス。今回は第6戦丹後半島ラリーで2位に入賞したレーシングドライバーの勝田貴元/永山聡一郎組(トヨタ86)や、JN3クラスチャンピオンで今回トヨタ・ヴィッツGRMN Turboを全日本ラリーに初投入した天野智之/井上裕紀子組などがエントリーし、この三者がどのような戦いを展開するかが注目となった。序盤から好調の貴元は、今回が新車のシェイクダウンとなる天野や、セッティングやタイヤに苦しむ鎌田を抑えてトップで初日を折り返す。2日目もそのまま首位を守り切り、全日本ラリー初優勝を遂げた。2位は初日の3位から巻き返した鎌田が奪い、3位には天野が入り早くも新型車で表彰台を獲得した。
[ JN4クラス ] 全日本ラリー初出場の佐藤隆行が優勝
[ JN3クラス ] 若手ドライバーの活躍が光る
[ JN2クラス ] 高橋悟志が2勝目、田中伸幸が王者に
[ JN1クラス ] 中村晃規が今季3勝目をマーク
勢力図を塗り替えた勝田貴元と天野智之
第6戦丹後半島ラリーで2位に入賞したレーシングドライバーの勝田貴元選手が、ついに全日本ラリー初優勝を果たした。第6戦丹後半島ラリーのステージは道幅が広いうえに高速コーナーが多く、レーシングドライバーとしての素性を活かしやすいステージでもあったが、第8戦ラリーハイランドマスターズは道幅が狭くツイスティなコーナーが連続する典型的なラリーステージ。しかも道の両脇には湿った落ち葉が積もり、さらに道幅が狭くなっているという状況だ。そのコースコンディションにしっかりと対応した貴元選手だが、その秘訣はペースノートにあった。
「第6戦である程度ペースノートの精度を上げることができたのですが、今回はさらに精度に磨きをかけることができました」と勝因を語る貴元選手。ラリーのトップドライバーになるためには、ドライビングテクニックはもちろん、ペースノートを作る能力も要求される。「ペースノートの重要性を学ぶことができました」という貴元選手。ラリードライバーとしてもトップドライバーへの扉を開ける1戦となった。
また、今回がシェイクダウンとなったトヨタ・ヴィッツGRMN Turboも、ラリーカーとしての高いポテンシャルを示した。ドライバーの「暫定仕様で3位に入賞することができ、予想以上の成果を上げることができた。あらためてこのクルマのポテンシャルの高さを実感することができ、今後のセッティングの方向性が見えてきた」と、ドライバーの天野智之選手。今後のJN5クラスの勢力図を塗り替える可能性があるほど、高いパフォーマンスを発揮した。
クラス別順位結果(上位3クルー)
1位 |
ドライバー/コ・ドライバー 勝田 範彦/足立 さやか |
---|---|
スバル・インプレッサ | |
2位 |
ドライバー/コ・ドライバー 新井 敏弘/竹下 紀子 |
スバル・インプレッサⅩ | |
3位 |
ドライバー/コ・ドライバー 高山 仁/河野 洋志 |
スバル・インプレッサ |
1位 |
ドライバー/コ・ドライバー 勝田 貴元/永山 聡一郎 |
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トヨタ86 | |
2位 |
ドライバー/コ・ドライバー 鎌田 卓麻/市野 諮 |
スバルBRZ | |
3位 |
ドライバー/コ・ドライバー 天野 智之/井上 裕紀子 |
トヨタ・ヴィッツGRMN Turbo |
1位 |
ドライバー/コ・ドライバー 佐藤 隆行/鈴木 裕 |
---|---|
スバルBRZ | |
2位 |
ドライバー/コ・ドライバー 竹内 源樹/加勢 直毅 |
スバルBRZ | |
3位 |
ドライバー/コ・ドライバー 加納 武彦/横手 聡志 |
スバルBRZ |
1位 |
ドライバー/コ・ドライバー 岡田 孝一/石川 美代子 |
---|---|
マツダ・デミオ | |
2位 |
ドライバー/コ・ドライバー 伊藤 隆晃/大高 徹也 |
トヨタ・ヴィッツRS | |
3位 |
ドライバー/コ・ドライバー 石川 昌平/竹原 静香 |
トヨタ・ヴィッツRS |
1位 |
ドライバー/コ・ドライバー 高橋 悟志/箕作 裕子 |
---|---|
トヨタ・ヴィッツRS | |
2位 |
ドライバー/コ・ドライバー 田中 伸幸/藤田 めぐみ |
スズキ・スイフトスポーツ | |
3位 |
ドライバー/コ・ドライバー 濱岡 卓也/美細津 正 |
プロトン・サトリアネオ |
1位 |
ドライバー/コ・ドライバー 中村 晃規/古川 智崇 |
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マツダRX-8 | |
2位 |
ドライバー/コ・ドライバー 中西 昌人/美野 友紀 |
ダイハツ・ストーリアX4 | |
2位 |
ドライバー/コ・ドライバー 鈴木 隆司/佐竹 尚子 |
ダイハツ・ストーリアX4 |
全日本ラリー選手権のクラス区分はこちらを参照ください。