スーパー耐久シリーズ2012第2戦が、栃木県ツインリンクもてぎにて4月28日(土)、29日(日)の両日に開催された。
改めて、「スーパー耐久シリーズ」とはどのようなレースなのか?
(参考記事) http://toyotagazooracing.com/archive/gr/motorsports/supertaikyu/about.html
GT3クラス(FIA-GT3仕様)からST-5クラス(1,500cc以下)まで、6クラス40台以上の多様なクルマが、4時間の耐久レースを争う。
クルマもドライバーのレベルも多種多様。言わば“草レース”だ。奇しくも、今週末にGAZOO Racingも参戦していたニュルブルクリンク耐久レース(VLN3)も、スケールの大きさは違えども括りは同じ、クルマに情熱を傾ける人たちが沢山集まるカテゴリー。そんなサーキットに集う“クルマ好き”の方々から、いったいどんな言葉が飛び出してくるのだろうか?と胸を躍らせピットを訪問した。
今般、GT3クラスへKONDO Racing、日産自動車大学校とスリーボンドがコラボしたスリーボンド日産自動車大学校GT-Rが参戦し、そのシェイクダウンが行われた。近藤監督は会見で、「若者のクルマ離れを食い止めたいと思った。日産自動車大学校の学生には、メカニカルな領域からチーム運営のノウハウまで、すべて学んで欲しい。そして優勝することで新たな喜びも味わって欲しい。」と豊富を語った。日産自動車大学校の教育の一環として、今回は横浜校と栃木校の学生約120名が来場(うち、約20名がチームスタッフとして参加)。クルマ好きを真のクルマ好きに育てたいという近藤監督の想いは、今後全国にある日産自動車大学校へ展開して行くそうである。
当初はシェイクダウンのみの予定だったが、急遽公式予選にアタック、また決勝グリッドへクルマを並べるなど、お客様を楽しませてくれた。
フォーミュラ・ニッポンでは監督、SUPER GTでは今でもドライバーとして活躍され、今季もST-1クラスに監督兼ドライバーとして参戦する土屋武士選手。なぜスーパー耐久に、自チームを率いて参戦するのか?この疑問を彼にぶつけてみた。
開口一番、「このレースに出たい!チームという仲間と一緒に、常に何かにチャレンジしたい。みんなで一緒に戦うことのできるステージ、それがこのスーパー耐久というレースで、日本で一番長く続いているカテゴリーである理由は、そこにある。」と断言した。
そして、これまで自身が長年プロとしてレースをやって来て、沢山の方と出会い、そういう人と人とのつながりも大事にしたい、そしてこのレースには出れば出るほどクルマ・レースが好きな人・仲間も集まって来て、また次のレースに出走したくなる気持ちが生まれるそうだ。参戦する上での一番の根本は、「楽しく!」やりたい事をやるのだから、これを忘れてはいけないとも語った。「真剣に楽しく!」と…。レースが好きでレースしたい!きっと「好き」に理由は無い、そう強く感じる土屋選手の言葉だった。
最初は、親子で一緒に耐久レースに出たいという目標のもと参戦したと語るのは、チーム代表の大澤監督。すでに、還暦を超えた人生の大先輩であるが、なんと!3年前まで現役でこのレースに参戦していたそうだ。時を同じくして開催されていたニュルブルクリンク耐久レースVLN3に参戦中のチームスタッフの方もいるそうだ。
Aドライバーを務めるご子息に負けず、一緒にJOY耐なども参戦され、ご子息のタイムの2秒落ちなら自分の許容範囲ということで頑張って来られたそうだ。現役を退いた3年前…、すでに赤いちゃんちゃんこは着たあとだと語ってくれた大澤氏。クルマ好きの情熱に、年齢など関係ないと感じずにはいられなかった。
大阪トヨペットグループが、スタッフすべて内製でレクサスGS350を駆って、ST-3クラスに参戦している。ドライバーは大阪トヨペットの契約ドライバー。大阪トヨペット広報宣伝グループモータースポーツ担当加藤氏に話を聞いた。レクサスGS350を選んだ理由は、まだ誰もレースに使用していないクルマで新しいことをしたいという意識から。
グループ内からメカニックを公募するなど、「手作り」の参戦を目指している。会社をあげて福利厚生の1つとしてモータースポーツを積極的に取り入れ、社員の士気をあげる為に活用している。そして、今年は社内に“モータースポーツ部”も設置され、開幕戦の反響はとても大きかったそうだ。今回はクラス3位で表彰台を獲得、更にグループ内で盛り上がることは間違いないだろう。
一番クルマの性能差が少なくて、勝負しやすいのがこのST-5クラス!と語るのは、マツダ車をこよなく愛するチーム代表の野上氏。これまで、N1耐久選手権、全日本GT選手権GT300クラス、JOY耐などにも参戦と経験豊富。現在モータースポーツ・シーンにマツダ車が減っているのを嘆き、マツダファンへのアピールも含め、このブランドの中でも販売台数の多いデミオでスーパー耐久初参戦を果たした。チーム内は、いわゆる“寄り合い”で和気藹々、レースがうまく行った時のそのおもしろさを皆で共有できることに魅力を感じると語ってくれた。
ゴールデンウィークの旅行の日程に、スーパー耐久観戦を組み込み来てくれた。共に21歳の素敵なカップルは、F1のファンでハコレースは初観戦。昨年開催された東京モーターショーを見学し、ハコ車にも興味を持ったようだ。今回は、エコカーの燃費が普段から気になると言う彼女の愛車ホンダFitでドライブデート。まだ愛車をお持ちでない彼はスポーツカータイプのクルマがお好きのようだが、将来何のクルマを駆るのか?楽しみである。
レーシングドライバー土屋武士選手が、“やればやるほどやめられなくなるのがこのレース” と言っていたが、聞けば聞くほど興味深い話がサーキットには転がっていた。楽しみ方は、当然一様ではない。エントラントも、ご来場のお客様も。
来場した子どもたちへは、「はたらくクルマ」が沢山用意されていて、誰もが最初に出会う身近なクルマが、将来のクルマ好きへのアプローチとなっていたことも忘れてはならない。
大人から子どもまで、沢山のクルマ好きが集ったスーパー耐久第2戦ツインリンクもてぎ。レース終了とともに夕焼けの中を笑顔のお客様が家路についた。
次戦スーパー耐久シリーズ第3戦 SUGOスーパー耐久3時間レースは、スポーツランド菅生にて、5月20日(日)開催される。
次回の主役はあなたかもしれない!お楽しみに!